COBOL2002 操作ガイド


1.7.4 ファイルの種類の登録

開発マネージャでは,標準で登録されている以外の種類のファイルを,新しいファイルの種類として登録できます。新しいファイルの種類には,ビルド時に起動するツールや,ファイル編集時に起動するツールなどを,それぞれ登録できます。これによって,ユーザが任意のツールを使ってビルドを実行したり,ファイルの種類ごとに関連づけられたツールでファイルを編集できます。ここでは,新しいファイルの種類,およびファイルに関連づけるツールの登録方法について説明します。

なお,ここで登録したファイルの種類は,Windows開発環境の場合だけで有効です。

〈この項の構成〉

(1) 生成ツールと定義ツール

ファイルには,生成ツールと定義ツールの2種類のツールを関連づけできます。

(a) 生成ツール

生成ツールとは,ビルド時に呼び出されるプログラムのことです。

生成ツールとして登録できるプログラムは,次の条件をすべて満たしている必要があります。一つでも条件を満たしていないプログラムを生成ツールとして登録した場合,動作は保証しません。

  • コンソールプログラム(Windows CUIプログラム)として呼び出せるインタフェースがある。

  • コマンドラインから処理対象となるファイル名を引数として指定できる。

  • 入力元のファイル,および生成される出力ファイルが,それぞれ一つである。

  • メッセージは,すべて標準出力,または標準エラー出力に出力される。また,応答を求めるメッセージは出力されない。

  • 処理の結果をリターンコードで判定できる。また,正常終了したときのリターンコードが0である。

また,コマンドファイルを使ってオプションを指定する場合には,次の条件も満たしている必要があります。

  • コマンドファイルで渡される文字列の最後の改行を無視できる。

生成ツールには,次の二つの方法でオプションの引き渡しができます。

コマンドファイルを使用する方法

コマンドファイルと呼ばれるファイルにオプションを指定し,コマンドファイル名を生成ツールの引数に指定する方法です。

この方法を使用する場合は,新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスの[生成ツール]タブを選んで表示されるページで,「コマンドファイルインタフェースで起動する」チェックボックスをオンにします。新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスについては「(2) 新しいファイルの種類の登録ダイアログボックス」を参照してください。

起動形式
"ツール名の絶対パス"
〔@コマンドファイル名〕
コマンドファイルの形式
〔ファイルに指定されたオプション〕
〔入力オプション〕 入力ファイル名
〔出力オプション〕 出力ファイル名
オプションを直接引数に指定する方法

入力ファイル名,出力ファイル名,オプションなどを,直接ツールの引数に指定する方法です。

この方法を使用する場合は,新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスの[生成ツール]タブを選んで表示されるページで,「コマンドファイルインタフェースで起動する」チェックボックスをオフにします。新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスについては「(2) 新しいファイルの種類の登録ダイアログボックス」を参照してください。

起動形式
"ツール名の絶対パス"
〔ファイルに指定されたオプション〕
〔入力オプション〕 入力ファイル名
〔出力オプション〕 出力ファイル名
(引き渡される値の説明)
入力オプション

ファイルの種類の登録で,入力ファイル名の前に付ける起動オプションに指定した文字列が設定されます。

入力ファイル名

生成ツールの入力ファイル名が設定されます。

ファイルに指定されたオプション

開発マネージャのプロジェクト設定ダイアログボックスで,ファイルに指定したオプションが格納されます。

出力オプション

ファイルの種類の登録で,出力ファイル名の前に付ける起動オプションに指定した文字列が設定されます。

出力ファイル名

生成ツールの出力ファイル名が設定されます。

注意事項
  • 生成ツールの起動時には,ファイルに設定したオプション情報だけがコマンドファイルで渡されます。プロジェクトに設定したオプション情報は,生成ツールに渡されません。

  • オプションを直接引数に指定する方法の場合,コマンドラインの文字列長の制限は,使用しているOSに依存します。

(b) 定義ツール

定義ツールとは,ファイルの編集時に呼び出されるプログラムのことです。

定義ツールとして登録できるプログラムは,次の条件をすべて満たしている必要があります。一つでも条件を満たしていないプログラムを定義ツールとして登録した場合,動作は保証しません。

  • コマンドラインで起動するとき,処理対象となるファイル名を引数として指定できる。

  • ウィンドウプログラムである。

(2) 新しいファイルの種類の登録ダイアログボックス

新しいファイルの種類は,新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスで設定します。新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスの表示方法を次に示します。

  1. 開発マネージャのプロジェクトマスタを閉じた状態で,ウィンドウの[ツール]メニューから[開発マネージャのユーザカスタマイズ]の[新しいファイルの種類の登録]を選ぶ。

    新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスが表示されます。

次に,このダイアログボックスについて,各タブを選ぶと表示されるページごとに説明します。

(a) ファイル情報の設定

[図データ]

定義名一覧

ファイル定義名の一覧が表示されます。

ファイル定義名

定義名一覧で選択しているファイルの種類の定義名,または新規に作成しているファイルの種類の定義名が表示されます。

ファイル表示名

開発マネージャで扱うとき,ファイル種別として表示される名称を指定します。

ファイルの拡張子

登録するファイルの拡張子を指定します。ピリオド(.)を付けてはいけません。

複数の拡張子を指定する場合は,セミコロン(;)で区切って指定してください。拡張子は,五つまで指定できます。

(b) 生成ツールの設定

[図データ]

定義名一覧

ファイル定義名の一覧が表示されます。

ツール名の絶対パス

ファイルの種類に関連づける生成ツールの絶対パス名を指定します。

出力ファイル種別

生成ツールを起動してファイルをコンパイルするとき,生成される出力ファイルの種別を選びます。

ファイル名の前に付加する起動オプション

生成ツールを起動してファイルをコンパイルするとき,入力ファイル名や出力ファイル名の前に付けるオプションを指定します。オプションの指定が不要の場合は,何も指定しないでください。

コマンドファイルインタフェースで起動する

コマンドファイルを使用して生成ツールにオプションを引き渡す場合,このチェックボックスをオンにします。生成ツールの引数に直接オプションを指定する場合は,このチェックボックスをオフにします。

(c) 定義ツールの設定

[図データ]

定義名一覧

ファイル定義名の一覧が表示されます。

権限がないため編集できないファイル定義の場合,ファイル定義名の右側に「(編集不可)」と表示されます。詳細は,「(4) 登録したファイルの種類の情報の出力先と有効範囲」を参照してください。

ツール名の絶対パス

ファイルの種類に関連づける定義ツールの絶対パス名を指定します。

ファイル名指定時の起動オプション

ファイル名を指定してツールを起動する場合のオプションを設定します。

"%F"を含む文字列を指定する必要があります。

新規作成時の起動オプション

ファイルを新規に作成するためにツールを起動する場合のオプションを設定します。指定しなかった場合は,オプションの指定なしでツールが起動します。

エラージャンプ時の起動オプション

生成ツール実行時に出力されるメッセージと定義ツールとの関連づけを設定します。オプションには,"%A"または"%L"のどちらか一方を指定します。指定しなかった場合は,オプションの指定なしでツールが起動します。

メッセージウィンドウに表示されたメッセージをダブルクリックすると,ここで設定した方法でツールが起動されます。ツールの起動方法には,次の2通りがあります。

%A(ダブルクリックされたメッセージを一時ファイルに書き出し,その一時ファイル名称をコマンドライン引数として渡す)

この方法では,ダブルクリックされたメッセージを一時ファイルとして書き出し,そのファイル名をツールに渡します。

一時ファイルはダブルクリック1回につき1個,環境変数TEMPで示されるフォルダに作成されます。このファイルは,開発マネージャの終了時に削除されます。

この方法で起動する場合には,次の機能を持つツールを使用してください。

  • ファイル名をコマンドライン引数で受け取る機能

(例)

ツールに「fsed.exe」,オプションに「/error△%A」を指定した場合のコマンドラインは「fsed.exe /error 一時ファイル名」となります。

△は半角空白文字を表します。

%L(ダブルクリックされたメッセージの1行をコマンドライン引数として渡す)

この方法では,メッセージウィンドウでダブルクリックされたメッセージ行を,直接ツールにコマンドライン引数として渡します。

この方法で起動する場合には,次のどちらかの機能を持つツールを使用してください。

  • コンパイラの出力メッセージをコマンドライン引数で受け取って,直接タグジャンプする機能

  • コマンドラインからのタグジャンプ機能は持たないが,コマンドラインの先頭作用対象をファイル名称として受け取り,ファイルを開く機能

(例)

ツールに「notepad.exe」,オプションに「%L」を指定した場合のコマンドラインは「notepad.exe ダブルクリックされた1行」となります。

(置換文字列の種類)

定義ツールのオプションに指定できる置換文字列を示します。

%F

編集対象となるファイル名(ドライブ名から始まる絶対パス)に置き換えられます。

%A

ダブルクリックされた時点のメッセージウィンドウの内容が一時ファイルに出力され,そのファイル名に置き換えられます。

%L

ダブルクリックされたメッセージウィンドウの1行と置き換えられます。

次に,定義ツールの設定項目に,これらの置換文字列をどのように指定するのか示します。

設定項目

%F

%A

%L

起動時のオプション

×

×

メッセージウィンドウをダブルクリックしたときのオプション

×

(凡例)

◎:常に指定する

○:どちらか一方を指定する

×:指定できない

なお,メッセージウィンドウのダブルクリックと定義ツールの起動を連携させない場合,この項目には何も指定しないでください。

(オプションの指定で使用する文字列についての注意事項)

オプションの文字列に「%」を使用したい場合は,「%%」と二つ続けて記述してください。

(例)

"%F" … 置換文字列とみなされ,編集対象となるファイル名に置換されます。

"%%F" … 「%F」という文字列とみなされます。

(3) ファイルの種類の登録方法

(a) ファイルの種類の新規登録

  1. 新しいファイルの種類の新規登録ダイアログボックスで,[新規作成]ボタンを選ぶ。

    次のダイアログボックスが表示されます。

    [図データ]

  2. ファイルの種類を識別するための定義名を指定して,[OK]ボタンを選ぶ。

    新しいファイルの種類の新規登録ダイアログボックスの「定義名一覧」に,指定した定義名が追加されます。

    定義名は,英字で始まる半角英数字8文字以内で指定してください。

ファイルの種類を新規に登録した場合は,続けてファイルの種類の情報を設定する必要があります。「(b) ファイルの種類の登録情報の編集」の2.以降の手順で情報を設定してください。

(b) ファイルの種類の登録情報の編集

  1. 新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスの「定義名一覧」から,情報を設定したいファイルの種類の定義名を選ぶ。

    右側の「詳細」に,選んだファイルの種類の現在の登録情報が表示されます。

  2. 「詳細」にファイル情報,ツールの設定を入力して,[定義の更新]ボタンを選ぶ。

    ファイルの種類の登録情報が更新されます。

(c) ファイルの種類の削除

  1. 新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスの「定義名一覧」から,削除したいファイルの種類の定義名を選ぶ。

  2. [定義の削除]ボタンを選ぶ。

    削除してよいか確認するダイアログボックスが表示されます。ここで[OK]ボタンを選ぶと,ファイルの種類の登録情報が削除されます。

(d) ファイルの種類の保存

  1. 新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスで[終了]ボタンを選ぶ。

    新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスでファイルの種類の登録情報を変更していた場合,変更を保存するかを確認するダイアログボックスが表示されます。

  2. [はい]を選ぶ。

    登録情報の変更が保存されます。

    なお,新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスでの設定内容を破棄したい場合は,[キャンセル]ボタンを選んでください。

(4) 登録したファイルの種類の情報の出力先と有効範囲

(a) ファイルの種類の情報の出力先

新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスで登録した情報は,パッケージ情報ファイル(.pkg)に出力されます。パッケージ情報ファイル名の形式とパッケージ情報ファイルの出力先を次に示します。

パッケージ情報ファイル名の形式

_CSTM_定義名.pkg

定義名:

新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスで指定した,ファイルの種類の定義名

パッケージ情報ファイルの出力先
  • Windows(x86) COBOL2002の場合

    環境変数ALLUSERSPROFILEが示すフォルダ¥Hitachi¥COBOL2002¥PLUGIN

  • Windows(x64) COBOL2002の場合

    環境変数ALLUSERSPROFILEが示すフォルダ¥Hitachi¥COBOL2002 64bit¥PLUGIN

環境変数ALLUSERSPROFILEで指定されたフォルダに作成するファイルは,デフォルトではファイルを作成したユーザだけが更新できます。複数ユーザでパッケージ情報ファイルを更新したい場合は,必要に応じて,パッケージ情報ファイルにアクセス権限を設定する,開発マネージャを管理者権限に昇格して起動し,更新するなど,対処してください。

(b) ファイルの種類の情報の有効範囲

登録したファイルの種類の情報の有効範囲は,パッケージ情報ファイルの属性によって次のように異なります。

有効範囲

パッケージ情報ファイルの属性

読み込み権限だけ

読み込みと書き込み権限

開発マネージャでファイルの種類の登録情報を利用する

新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスでファイルの種類を参照する

新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスでファイルの種類を変更する

×

(凡例)

○:できる

×:できない

なお,パッケージ情報ファイルの定義情報に矛盾がある場合,パッケージ情報ファイルの属性に関係なく,定義情報は開発マネージャで利用することも,新しいファイルの種類の登録ダイアログボックスで参照/変更することもできません。

(5) 注意事項

(例)

ファイルの種類「AAA」を登録した環境で次のようなプロジェクトを作成し,ファイルの種類「AAA」が未登録の環境で開こうとした場合

[図データ]

ファイルの種類が未登録の環境で開いた場合に表示されるメッセージ

[図データ]

ファイルの種類が未登録の環境で開いた場合のプロジェクト構成

[図データ]