3.7.2 運用上の注意事項(AIXの場合)
システムのOSがAIXであるSNMPエージェントの,AIX固有の運用上の注意事項について説明します。OS共通の注意事項については,「3.7 運用上の注意事項」を参照してください。
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AIXのMIB pageグループの取得時の注意事項
システム構成によっては,日立企業固有MIBのpageグループのMIBを取得しようとすると,エラーが頻発する場合があります。この場合,まず,SNMPエージェントが提供するpage.exeコマンドの実行時間を計測してください。
page.exeコマンドの実行が10秒以上掛かる場合,pageグループのMIBを正しく取得することはできません。その状態のまま運用を続けると,page情報取得時に実行されるOSコマンドのプロセスが不当に動作し続け,システムに負荷を掛けるおそれがあります。
この問題を回避するためにpage.exeを次のように修正してください。修正するとpageグループのMIBを取得した場合も,コマンドは実行されなくなり,pageグループのMIB値としては常にページ数0を意味する擬似情報が返されます。
(修正前)
lsps -a > $OUTFILE
(修正後)
echo exit 0
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ネイティブエージェント機能の注意事項
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SNMPエージェントが提供するネイティブエージェントアダプター(naaagtプロセス)は,SNMPv1のSNMP get/get-next-requestにコミュニティ名「public」を指定して,AIXが提供するネイティブエージェント(snmpdプロセス)からMIBを取得します。snmpdプロセスのデフォルトの設定では,SNMPv1でコミュニティ名「public」のSNMP get/get-next-requestを許可しているので問題はありません。ただし,snmpdプロセスのコミュニティ名の設定を変更する場合は,必ずSNMPv1のSNMP get/get-next-requestを許可してください。またsnmpdプロセスのコミュニティ名を「public」以外に変更した場合は,naaagtプロセスの設定も変更してください。naaagtプロセスの設定変更方法については,「6. 定義ファイル」の「構成定義ファイル(naa.cnf)」を参照してください。
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snmpdプロセスはAIXが提供するsnmpv3_sswコマンドによってsnmpdv1エージェントを使用するかsnmpdv3エージェントを使用するのかを切り替えることができます。AIXのデフォルトはsnmpdv3エージェントを使用します。
SNMPエージェントとsnmpdv1エージェントまたはsnmpdv3エージェントを同時に起動すると,SNMP受信ポート(161/udp)の競合が発生します。そのため,snmpdv1エージェントまたはsnmpdv3エージェントのSNMP受信ポートを変更する必要あります。SNMPエージェントは,AIXのデフォルトで使用されるsnmpdv3エージェントを前提としてポートを変更します。変更方法はAIXのドキュメントを参照してください。
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OSのメモリー不足によるプロセス終了の回避についての注意事項
AIXではOSでメモリー不足が生じるとSIGKILLが発行され,プロセスが終了することがあります。この現象を回避するには,SNMPエージェントを起動するユーザーの環境変数にPSALLOC=earlyを設定し,設定後,SNMPエージェントを起動してください。なお,環境変数PSALLOCにearlyを設定する場合には,同時に環境変数NODISCLAIM=trueを設定してください。指定後にSNMPエージェントを再起動してください。
環境変数PSALLOCおよびNODISCLAIMはSnmpMasterファイルに設定してください。
次に例を示します。
(例)
SNMP_MASTER_OPTIONS="-tcplocal" # Master Agent options export SNMP_MASTER_OPTIONS PSALLOC=early export PSALLOC NODISCLAIM=true export NODISCLAIM
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物理メモリーの空き容量の取得についての注意事項については,「2.13 物理メモリーの空き容量についての注意事項」を参照してください。
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CPU利用率情報の取得についての注意事項については,「2.15 CPU情報についての注意事項」を参照してください。