JP1/Power Monitor

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19.6 FAQ

UNIXホストのJP1/Power Monitorを運用する場合によく寄せられる質問と,それに対する回答を次に示します。

Q1:ホストの稼働中またはホストのシャットダウン中に予期せぬ停電があった場合,ホストの電源は,どうなりますか?
ご使用のホストの電源制御装置またはハードウェア仕様によって異なります。停電復旧後にホストへの電源供給が再開されるかどうかについては,ご使用の電源制御装置のハードウェアおよびソフトウェアの仕様を確認してください。
バックアップ電源を搭載していない電源制御装置の場合,停電と同時にホストの電源がオフになりますので注意してください。
Q2:ホストをシャットダウンする時刻をJP1/Power Monitorのスケジュールで設定していますが,その時刻に到達する前に予期せぬ停電があった場合,停電復旧後のスケジュールは,どうなりますか?
ご使用の電源制御装置の仕様によって異なります。仕様については,ご使用の電源制御装置のハードウェアマニュアルなどを参照して確認してください。
  • 停電から復旧したあとに,ホストへの電源供給が自動的に再開される電源制御装置の場合
    ホストをシャットダウンする時刻が,停電から復旧した時刻以降に設定されている場合,設定した時刻にホストはシャットダウンされます。
    停電中スケジュールのシャットダウン時刻に到達した場合,その設定は無効になります。停電から復旧したあとに電源供給が再開されると,次のシャットダウン時刻までホストの電源はオンのままとなります。
  • 停電から復旧したあとに,ホストへの電源供給が自動的に再開されない電源制御装置の場合
    手動またはマネージャーホストからホストの電源をオンにしてください。
    ホストをシャットダウンする時刻が,電源供給再開以降に設定されている場合,設定した時刻にホストはシャットダウンされます。
    停電中スケジュールのシャットダウン時刻に到達した場合,その設定は無効になります。電源供給が再開されると,次のシャットダウン時刻までホストの電源はオンのままとなります。
Q3:スケジュールが有効なのは1年間だけですか?
スケジュールの設定方法によって,有効な範囲が異なります。
  • 月単位でスケジュールを設定した場合
    月単位でスケジュールを設定すると,毎年同じスケジュールでホストを起動・終了できます。例えば,2001年8月1日にホストの起動時刻および終了時刻を設定した場合,2002年8月1日も,2003年8月1日も,同じ時刻にホストを起動・終了できます。
  • 年単位でスケジュールを設定した場合
    年単位でスケジュールを設定すると,設定した年だけそのスケジュールが有効になります。例えば,2001年8月1日にホストの起動時刻および終了時刻を設定しても,2002年8月1日は,新規にスケジュールを設定し直します。
Q4:システム時刻を変更した場合,どのような処理が必要ですか?
JP1/Power Monitor運用中にシステムの日時を変更する手順について説明します。
  • システムの時刻が遅れているため,時刻を進める場合
  1. JP1/BaseおよびJP1/Power Monitorのデーモンを停止する。
  2. システムの時刻を変更する。
  3. JP1/BaseおよびJP1/Power Monitorのデーモンを起動する。
  • システムの時刻が進んでいるため,時刻を戻す場合
  1. JP1/BaseおよびJP1/Power Monitorのデーモンを停止する。
  2. システムの時刻を変更する。
  3. システムの時刻が時刻を戻す前の時刻に達したら,JP1/BaseおよびJP1/Power Monitorのデーモンを起動する。
    例えば,手順2で「02:00」を「01:00」に戻した場合,システムの時刻が「02:00」になってから,JP1/BaseおよびJP1/Power Monitorのデーモンを起動します。
Q5:jaomstopコマンドが終了しないことがあります。どんな原因が考えられますか?
他ホストとの通信でタイムアウト待ちが発生したと考えられます。
電源がオフであるなどの理由で通信できない他ホストに何らかの要求をすると,タイムアウト待ちが発生します。タイムアウト待ちの間も,新しい要求は受け付けます。しかし,タイムアウト待ちの間に要求が次々と発生して要求過多になった場合,要求の受付もできなくなります。このような状態になると,要求をするプログラムは,最大で「1件当たりのタイムアウト待ち時間×要求件数」の間,要求が受け付けられないために終了しません。jaomstopコマンドが終了しない場合,コマンドの実行時にこのような状態になっていたと考えられます。このような状態は,エージェントホストを起動しないでマネージャーホストを起動した場合に発生しやすいと思われます。
Q6:電源制御装置を使用していますが,予定外の時刻にホストが起動しました。
電源制御装置によっては,ホストの停止から起動までの時間に制限がある場合があります。このような電源制御装置を使用している場合,ホストの停止から起動までの間隔が上限を超える設定をすると,予定外の時刻にホストが起動してしまうことがあります。このような場合は,停止から起動までの時間が上限を超えないように設定するか,途中で一時的に電源をオンにするなどの設定をする必要があります。
停止から起動までの間隔で設定できる値については,各電源制御装置のマニュアルを参照してください。
Q7:エージェントホストを電源オフできません。また,エージェントホストの状態が正しく表示されません。
以下の設定を確認してください。
  • マネージャーホストで設定されているエージェントホスト名が正しく設定されていないことが考えられます。
    エージェントホスト名が正しく設定されているか確認してください。エージェントホスト名とはエージェントホスト側のJP1/Baseのイベントサーバ名のことです。イベントサーバ名がFQDN形式で設定されている場合は,FQDN名が設定しているか確認してください。
    デフォルトのイベントサーバ名が設定されている場合は,デフォルトのイベントサーバ名(hostnameコマンドで返されるホスト名)を設定しているか確認してください。JP1/Baseのイベントサーバ名は,大文字と小文字が区別されますので注意してください。
    JP1/Baseのイベントサーバ名については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
    hostnameコマンドで返されるホスト名とイベントサーバ名が一致していなければ正しく運用できませんので,エージェントホスト側の設定で同じ名前で登録されているか確認してください。
  • エージェントホストで設定されているマネージャーホスト名が正しく設定されていないことが考えられます。
    マネージャーホスト名が正しく設定されているか確認してください。マネージャーホスト名とは,マネージャーホスト側のJP1/Baseのイベントサーバ名のことです。イベントサーバ名がFQDN形式で設定されている場合は,FQDN名が設定しているか確認してください。JP1/Baseのイベントサーバ名は,大文字と小文字が区別されますので注意してください。
    JP1/Baseのイベントサーバ名については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
Q8:JP1/Power Monitorで電源制御をしているホストのホスト名またはIPアドレスを変更した場合,関連して変更が必要な定義がありますか?
自ホストの電源を制御する場合
論理ホスト名を変更した場合,JP1/AJS3情報定義ファイルで定義している論理ホスト名を再設定してください。
他ホストの電源を制御する場合
エージェントホストまたはマネージャーホストのホスト名およびIPアドレスを変更した場合,次のように対処してください。
  • マネージャーホストのホスト名およびIPアドレスを変更した場合
    マネージャーホストでの設定
    エージェントホストのアドレスが解決できるか,pingコマンドなどで確認してください。
    エージェントホストでの設定
    1. リモート電源連携構成定義ファイルで設定されているマネージャーホスト名を再設定する。
    2. hostsファイルなどに古いアドレスが設定されている場合,新しいアドレスで再登録する。
    設定を変更したら,マネージャーホストのアドレスが解決できるか,pingコマンドなどで確認してください。
  • エージェントホストのホスト名およびIPアドレスを変更した場合
    マネージャーホストでの設定
    1. エージェントホストのホスト名を変更する場合,変更前のエージェントホストを,エージェントホストの設定から削除する。
    エージェントホストの設定の削除には,jaomdelagtコマンドを使用します。jaomdelagtコマンドの詳細については,「15. コマンド」を参照してください。
    2. hostsファイルなどに古いアドレスが設定されている場合,新しいアドレスで再登録する。
    設定を変更したら,エージェントホストのアドレスが解決できるか,pingコマンドなどで確認してください。
    3. リモート電源連携グループ定義ファイルで設定されているエージェントホスト名を再設定する。
    エージェントホストでの設定
    マネージャーホストのアドレスが解決できるか,pingコマンドなどで確認してください。
Q9:マネージャーホストとエージェントホストの間にファイヤーウォールがある場合,エージェントホストの電源を操作するにはどうしたらよいですか?
  • JP1/Power Monitorでエージェントホストの電源を操作したい場合
    JP1/Power Monitorでエージェントホストの計画終了や強制終了をする場合,マネージャーホストとエージェントホストの間でJP1/Base Eventサービスがファイヤーウォールを透過して使用できるように設定する必要があります。詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。しかし,これだけの設定では,電源オンや強制電源オフなどのように,エージェントホストに接続されている電源制御装置を直接制御してホストを起動・終了することはできません。エージェントホストの電源オンや強制電源オフをする場合は,電源制御装置を制御するソフトウェアがファイヤーウォールを透過して使用できるように設定する必要があります。詳細については,ご使用のソフトウェアのマニュアルを参照するか,またはソフトウェアの製造元にお問い合わせください。
  • JP1/AJS3のジョブネットの電源制御アクションジョブでエージェントホストの電源を操作したい場合
    例えば,ローカル電源制御アクションジョブを使用してエージェントホストの電源を操作したい場合,電源オフしたいエージェントホストを実行ホストとしたローカル電源制御アクションジョブをジョブネットに設定します。また,マネージャーホストおよびエージェントホスト両方のJP1/BaseおよびJP1/AJS3で,ファイヤーウォールを透過した通信ができるように設定する必要があります。詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」およびマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)」を参照してください。さらに,エージェントホストの計画終了や強制終了だけでなく,電源オンや強制電源オフしたい場合,エージェントホストの電源制御装置を制御するソフトウェアがファイヤーウォールを透過して使用できるように設定する必要があります。詳細については,ご使用のソフトウェアのマニュアルを参照するか,またはソフトウェアの製造元にお問い合わせください。
Q10:JP1/AJS3のジョブネットを利用して自ホストの電源をオフしたあとに計画的に電源をオンするには,どうしたらよいですか?
JP1/AJS3のジョブネットで自ホストの電源を操作する場合,次回電源投入時刻を指定できません。自動的に電源オンしたい場合は,自ホストのJP1/Power Monitorのスケジュールで次回電源投入時刻をあらかじめ設定してください。
Q11:JP1/Cm2/NNMまたはHP OpenView NNMを使っていますが,JP1/Power Monitorの状態が変わっても,JP1/AOMシンボルのステータスが変わりません。どんな原因が考えられますか?
JP1/Cm2/NNM 06-50以前,またはHP OpenView NNM 6.1を使用している環境から,JP1/Cm2/NNM 06-51,またはHP OpenView NNM 6.2にバージョンアップした場合が考えられます。この場合は,jaomovsupコマンドを実行し,再度セットアップしてからご使用ください。
Q12:クラスタシステムで運用していますが,実行系のホストで自ホストの終了ができません。
次の二つの条件を満たす場合,JP1/Power Monitorが終了できなくなります。
  • 論理ホスト上のJP1/AJS3の終了を待ってから,JP1/Power Monitorを終了するように設定している
  • クラスタソフトが異常を検知した時,すぐに待機系へ系を切り替えず,実行系でJP1/AJS3を再起動するように設定している
これは,JP1/Power MonitorによるJP1/AJS3の終了を,クラスタソフトがJP1/AJS3の異常と判断して,JP1/AJS3を再起動させてしまうためです。JP1/AJS3が再起動するため,ホストの終了条件が成立せず,ホストの電源がオンのままになります。
クラスタ運用しているホストで自ホストの電源のオン・オフをする場合,異常検出時には,実行系ホストでJP1/AJS3を再起動するのではなく,待機系に系を切り替えるようにクラスタソフトを設定してください。
もしも,これらの条件によって自ホストの周流ができない場合には,以下の手順を実行してください。
  1. 自ホスト上のクラスタを停止する
  2. jaomchang -f now -byまたはjaomchang -f now -br
上記の手順で,JP1のサービスの安全な停止シーケンスを実行してから,ホストの終了が実行できます。
なお,上記2.を実行してもホストが終了しない場合には,以下の手順によりホストの終了を実行してください。
  1. 物理ホスト上のJP1/AJS3を停止する
  2. OSのシャットダウンを実行する
Q13:マネージャーホストとエージェントホストで,異なるバージョンのJP1/Power Monitorを混在させることは可能ですか?
可能です。例えば,マネージャーホストにJP1/Power Monitor10-00を使用し,エージェントホストにJP1/Power Monitor09-00を使用できます。また,その逆も可能です。
JP1/Power Monitor10-00より前のバージョンのJP1/Power Monitorをインストール・セットアップする場合は,各バージョンに対応したJP1/Power Monitorのマニュアルを参照してください。
なお,使用できるJP1/Power Monitorの機能は,下位バージョンがサポートしている範囲となります。
Q14:他ホストのオフ・オンをしますが,複数のホスト名で1つのIPアドレスが求まる環境で運用する場合,注意事項はありますか?
JP1/Power Monitorは,プライマリホストを自ホストと認識して通信します。プライマリホストで登録されたホスト名で運用するように,JP1/Power Monitorをセットアップしてください。
Q15:AIXシステム上で,JP1/Power Monitorを使用してホストの終了を行う場合,注意することはありますか?
システムから自動起動する,またはシステム権限で動作するユーザープログラム,およびその他の常駐アプリケーションで,システムのシャットダウンを実行した場合に次のような影響があるものについては,シャットダウン実行前に手動で停止するか,OSの停止スクリプト(/etc/rc.shutdown)などで自動停止するように設定してください。
  • ネットワークの停止によって異常が発生する。
  • 動作中にシステムから「kill」されると異常が発生する。
注※
ここでの「シャットダウン」には,シングルユーザーモードへの移行を含みます。
Q16:設定した電源投入時刻に,ホストが起動しませんでした。
前回電源をオフにしたときに電源投入時刻が統合トレースログに出力されているかどうかを,統合トレースログを参照して確認してください。
統合トレースログに電源投入時刻が出力されていなかった場合は,jaomchecsコマンドを使用して,ホストが起動しなかった日が運休日に設定されていないかを確認してください。
Q17:バックアップおよびリカバリーを実行する場合,どのような作業が必要ですか?
次の手順で実行してください。採取したバックアップ情報は,情報を採取したホストにリカバリーすることを前提としています。なお,実行中の操作ミスによってデータが破壊した場合は,保証の対象外となります。
バックアップ操作
  1. JP1製品の各デーモンをすべて停止する。
  2. jaombkdefコマンドを実行する。
    jaombkdefコマンドの詳細については,「10.3 ファイルを退避・配布・回復する」を参照してください。
  3. 他ホストの起動および終了を設定するファイルをバックアップ領域に退避する。
    他ホストの起動・終了を行っている場合,次のファイルをバックアップ領域に退避します。
    /usr/lib/jp1_aom/rpw/agt_def
    /usr/lib/jp1_aom/rpw/rpw_conf
    /usr/lib/jp1_aom/rpw/grp_def
  4. jbsgetcnfコマンドを実行して,共通定義情報を退避する。
    jbsgetcnfコマンドを引数無しで実行することで,物理ホスト上に設定されている共通定義情報を退避します。jbsgetcnfコマンドについては,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
リカバリー操作
  1. JP1製品の各デーモンをすべて停止する。
  2. jaomrsdefコマンドを実行する。
    jaomrsdefコマンドの詳細については,「10.3 ファイルを退避・配布・回復する」を参照してください。
  3. 他ホストの起動・終了を設定するファイルをリストアする。
    他ホストの起動・終了を行っている場合,バックアップ操作の手順3で退避した次のファイルを上書きコピーし,リストアします。
    /usr/lib/jp1_aom/rpw/agt_def
    /usr/lib/jp1_aom/rpw/rpw_conf
    /usr/lib/jp1_aom/rpw/grp_def
  4. jbssetcnfコマンドを実行して,退避した共通定義情報を回復する。
    jbssetcnfコマンドを実行することで,物理ホスト上に設定されている共通定義情報を回復します。jbssetcnfコマンドについては,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
  5. 必要に応じて,JP1製品の各デーモンを起動する。