エージェントホストを制御するために設定するリモート電源連携エージェント定義ファイルについて説明します。リモート電源連携エージェント定義ファイルは,マネージャーホストで設定します。
リモート電源連携デーモンの起動中にこのファイルの内容を変更した場合,変更内容をすぐに有効にするためには,次のコマンドを実行します。引数の「l」は,小文字の「L」です。
jaompwagt l
リモート電源連携デーモンの停止中にこのファイルを変更した場合は,次にリモート電源連携デーモンを起動した時から変更内容が有効になります。
- <この項の構成>
- (1) パラメーターの指定形式
- (2) パラメーターの内容
- (3) パラメーターの指定例
リモート電源連携エージェント定義ファイルで指定する各パラメーターの内容について説明します。なお,パラメーターの内容に誤りがある場合,誤りのあるエージェントホストの定義は無効になります。
制御する電源制御装置へのアクセス方法によって,指定するパラメーターが決まります。例えば,電源制御装置へのアクセスにモデムを使用する場合は,numberパラメーターやpasswordパラメーターなどを指定する必要があります。電源制御装置へのアクセスにLANを使用する場合は,addressパラメーターやsnmp_comパラメーターなどを指定する必要があります。
電源制御装置を使わずにエージェントホストを運用する場合,machineパラメーターだけ指定してください。
- machine エージェントホスト名
- マネージャーホストで制御するエージェントホスト名を指定します。255バイト以内で指定します。マネージャーホストが制御するすべてのエージェントホストを定義します。
- ホスト名には,そのホストで動作しているJP1/Baseのイベントサーバ名を設定してください。イベントサーバ名がFQDN形式で設定されている場合はFQDN名を設定します。デフォルトのイベントサーバ名が設定されている場合はデフォルトのイベントサーバ名(hostnameコマンドで返されるホスト名)を設定します。JP1/Baseのイベントサーバ名の設定は,大文字と小文字が区別されます。例えば,「ABC」と「Abc」は,別のホストとみなされます。JP1/Baseのイベントサーバ名については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
- リモート電源連携エージェント定義ファイル内では,machineパラメーターにホスト名が指定されてから,次のmachineパラメーターを設定するまでが,1台のエージェントホストの定義になります。
- control 種別
- エージェントホストに接続されている電源制御装置の種別を指定します。ctrl_cmdパラメーターで電源制御コマンド名を指定した場合,このパラメーターは,指定できません。指定できる値を次に示します。
- APC
- APC社製の電源制御装置をエージェントホストに接続している場合に指定します。
- type通信手段
- エージェントホストに接続されている電源制御装置に対する通信手段を指定します。ctrl_cmdパラメーターで電源制御コマンド名を指定した場合,このパラメーターは,指定できません。指定できる値を次に示します。
- SNMP
- controlパラメーターに「APC」を指定した場合に指定します。
- number 電話番号
- エージェントホストにアクセスするための電話番号を指定します。50バイト以内で指定します。このパラメーターは,次の場合にだけ指定します。
- ctrl_cmdパラメーターで電源制御コマンド名を指定した場合
- address {IPアドレス|ホスト名}
- エージェントホストに接続されている電源制御装置のIPアドレスまたは電源制御装置の名称を255バイト以内で指定します。
- このパラメーターは次のどちらかの場合にだけ指定します。
- typeパラメーターで「SNMP」を指定した場合
- ctrl_cmdパラメーターで電源制御コマンド名を指定した場合
- password パスワード
- エージェントホストに接続されている電源制御装置に設定されているパスワードを指定します。8バイト以内で指定します。
- このパラメーターは,次の場合にだけ指定します。
- snmp_com コミュニティ名
- SNMPアダプターに設定したコミュニティ名を指定します。8バイト以内で指定します。
- このパラメーターは,次のどちらかの場合にだけ指定します。
- typeパラメーターで「SNMP」を指定した場合
- addressパラメーターでIPアドレスまたは電源制御装置の名称を指定した場合
- ctrl_cmd 電源制御コマンド名
- エージェントホストの電源制御装置を制御する電源制御コマンド名を指定します。255バイト以内で指定します。コマンド名はフルパスで指定してください。
- controlパラメーターで電源制御装置種別を指定した場合,このパラメーターは指定できません。
- クラスタシステムでエージェントホストの電源を制御する場合,クラスタシステムを構成するすべての物理ホストの同じディレクトリにコマンドを配置してください。
- interval 電源オフから電源オンまでの間隔
- エージェントホストを強制再起動する場合,電源オフから電源オンまでの間隔を指定します。1から300(単位:秒)の数値で指定します。デフォルトは,15です。
- ctrl_cmdパラメーターで電源制御コマンド名を指定した場合,このパラメーターは,指定できません。
- channel 機器番号
- マネージャーホストからエージェントホストに接続されている電源制御装置を制御するための識別子である機器番号を指定します。このパラメーターを省略した場合は,すべての機器番号の電源制御装置を処理の対象にするとみなします。
- このパラメーターは,ctrl_cmdパラメーターで電源制御コマンド名を指定した場合にだけ指定できます。
- 日立製作所製の遠隔電源制御装置(THE-RP-0020)を設定した場合には,パーティションのチャネル番号を指定してください。パーティションのチャネル番号を確認する方法については,遠隔電源制御装置のマニュアルを参照してください。
- timeout コマンド実行打ち切り時間
- エージェントホストを制御するコマンドの実行を打ち切るまでの時間を指定します。1から600(単位:秒)の数値で指定します。デフォルトは,300です。
- このパラメーターは,ctrl_cmdパラメーターで電源制御コマンド名を指定した場合にだけ指定できます。
- retry リトライ回数
- エージェントホストを制御するコマンドが異常終了した場合にリトライする回数を指定します。0から10(単位:回)の数値で指定します。デフォルトは,0(リトライなし)です。
- このパラメーターは,ctrl_cmdパラメーターで電源制御コマンド名を指定した場合にだけ指定できます。
- delay 猶予時間
- 電源制御コマンドを使用する場合に,実際に制御するまでの猶予時間を指定します。1から600(単位:秒)までの数値で指定します。デフォルトは,0です。
- このパラメーターは,ctrl_cmdパラメーターで電源制御コマンド名を指定した場合にだけ指定できます。
- このパラメーターは,猶予時間を指定できない電源制御装置では,無視されます。
リモート電源連携エージェント定義ファイルの指定例を次に示します。
次に,エージェントホストで使用している電源制御装置ごとに指定例を示します。
(a) 日立製作所製の無停電電源装置を接続したエージェントホストの場合
日立製作所製の無停電電源装置を接続したエージェントホストの指定例を次に示します。
リモート電源連携ログファイル「/usr/lib/jp1_aom/log/エージェントホスト名.rpwlog」に,デバッグ情報が出力されます。
machine host1
ctrl_cmd /usr/lib/jp1_aom/rm_shutdown
address 111.111.111.111
snmp_com private
(b) APC社製のSNMPアダプターを接続したエージェントホストの場合
APC社製のSNMPアダプターを接続したエージェントホストの指定例を次に示します。デフォルトでは,APC社製SNMPアダプターに対するマネージャーホストからの電源オン要求は,10秒間隔で3回リトライします。
machine host1
control APC
type SNMP
address 111.111.111.111
snmp_com private
(c) ISA社製の無停電電源装置を接続したエージェントホストの場合
ISA社製の無停電電源装置を接続したエージェントホストの指定例を次に示します。リモート電源連携ログファイル「/usr/lib/jp1_aom/log/エージェントホスト名.rpwlog」に,デバッグ情報が出力されます。
machine host1
ctrl_cmd /usr/lib/jp1_aom/isapmdasw
address 111.111.111.111
(d) 日立製作所製の遠隔電源制御装置(THE-RP-0010)を接続したエージェントホストの場合
日立製作所製の遠隔電源制御装置を接続したエージェントホストの指定例を次に示します。
リモート電源連携ログファイル「/usr/lib/jp1_aom/log/rpc_rmt.log」に,デバッグ情報が出力されます。
machine host1
ctrl_cmd /usr/lib/jp1_aom/rmt_shutdown
address 111.111.111.111
(e) 日立製作所製の遠隔電源制御装置(THE-RP-0020)を接続したエージェントホストの場合
日立製作所製の遠隔電源制御装置を接続したエージェントホストの指定例を次に示します。
machine host1
ctrl_cmd /usr/lib/jp1_aom/rmt_shutdown
address 111.111.111.111
channel 101
(f) 山洋電気社製の無停電電源制御装置を接続したエージェントホストの場合
山洋電気社製の無停電電源制御装置を接続したエージェントホストの指定例を次に示します。
machine host1
ctrl_cmd /usr/lib/jp1_aom/rm_shutdown
address 111.111.111.111
channel 1
(g) 電源制御装置を制御するコマンドを作成した場合
電源制御装置のメーカーから提供されたコマンドで,実行できない制御をした場合に,電源制御装置を制御するコマンドを作成します。この場合の指定例を次に示します。「電源制御コマンド名」には,ユーザーが作成した電源制御コマンド名をフルパス名で記述します。リモート電源連携ログファイル「/usr/lib/jp1_aom/log/エージェントホスト名.rpwlog」に,デバッグ情報が出力されます。電源制御装置を制御するコマンドについては,「6.1.7 電源制御装置を制御するコマンドを作成する」を参照してください。
machine host1
ctrl_cmd 電源制御コマンド名
address 111.111.111.111
snmp_com private
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