JP1/Power Monitor

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6.1.7 電源制御装置を制御するコマンドを作成する

提供ソフトウェアがない電源制御装置を使う場合,JP1/Power Monitorで電源制御装置を制御するコマンドを作成する必要があります。これらのコマンドを作成することによって,JP1/Power Monitorで電源制御装置にホストの電源をオン・オフする時刻を設定したり,設定した時刻を参照したりできるようになります。

電源制御装置を制御するコマンドを次に示します。

また,APC社製の無停電電源装置を使う場合は,これらのコマンドのほかに,apc_start_resetコマンドが必要です。

JP1/Power Monitorには,これらのコマンドのサンプルファイルが格納されています。これらのサンプルファイルを/usr/lib/jp1_aom/ディレクトリの下にコピーして使ってください。サンプルファイルを次の表に示します。

表6-3 電源制御装置を制御するコマンドのサンプルファイル

コマンド サンプルファイル
pwon_comコマンド /usr/lib/jp1_aom/sample/pwon_com.model
pwread_comコマンド /usr/lib/jp1_aom/sample/pwread_com.model
alt_shutdownコマンド
APC社製の無停電電源装置の場合
/usr/lib/jp1_aom/sample/alt_shutdown.apc.model
H9000シリーズ,H9000Vシリーズ,およびHP9000シリーズに対応している電源制御装置の場合,またはAIX標準shutdownコマンドの -t オプションに対応している機種の場合
/usr/lib/jp1_aom/sample/alt_shutdown.model
apc_start_resetコマンド /usr/lib/jp1_aom/sample/apc_start_reset

JP1/Power Monitorで提供しているサンプルファイル以外に,電源制御装置を制御するソフトウェアの中には,コマンドを提供している場合があります。これらのコマンドについては,各製品のマニュアルを参照してください。

<この項の構成>
(1) 電源制御装置の種類
(2) 電源制御装置を制御するコマンド

(1) 電源制御装置の種類

電源制御装置には,次の2種類があります。

それぞれコマンドの処理が異なります。処理の違いを説明します。

(a) 次回電源投入時刻を随時設定できる電源制御装置

次回電源投入時刻を随時設定する電源制御装置の場合,次のコマンドを作成する必要があります。

次回電源投入時刻を随時設定できる電源制御装置の場合のコマンドの処理を次の図に示します。次のような処理ができるようにコマンドを作成してください。

図6-2 次回電源投入時刻を随時設定できる電源制御装置の場合のコマンドの処理

[図データ]

(b) 次回電源投入時刻をホスト終了時に設定できる電源制御装置

次回電源投入時刻をホスト終了時に設定できる電源制御装置(3500シリーズに内蔵された電源制御装置以外)の場合,次のコマンドを作成する必要があります。

次回電源投入時刻をホスト終了時に設定できる電源制御装置の場合のコマンドの処理を次の図に示します。次のような処理ができるようにコマンドを作成してください。

図6-3 次回電源投入時刻をホスト終了時に設定できる電源制御装置の場合のコマンドの処理

[図データ]

(2) 電源制御装置を制御するコマンド

電源制御装置を制御するコマンドについて次の仕様で作成してください。

(a) pwon_comコマンド
形式
pwon_com[次回電源投入時刻|none]
機能
次回電源投入時刻を設定します。
次回電源投入時刻を随時設定できる電源制御装置の場合,次回電源投入時刻を電源制御装置に設定します。
次回電源投入時刻をホスト終了時に設定できる電源制御装置の場合,次回電源投入時刻を任意のファイルに設定します。
格納先ディレクトリ
/usr/lib/jp1_aom/pwon_com
引数
次回電源投入時刻
環境変数TZに従ったローカル時間で,mm/dd.HH:MMの形式で設定します。設定した時刻に電源制御装置の電源がオンになります。すでに時刻の設定がある場合は,その設定は解除し,設定されている時刻は常に一つにしてください。
none
電源制御装置に設定されている次回電源投入時刻を解除します。
注意事項
  • このコマンドは,実行してから10秒以内に終了させてください。終了しない場合は,実行を強制的に打ち切り,設定に失敗したものとみなされます。
  • JP1/Power Monitorは,このコマンドをJP1/Power Monitorデーモンの起動時,jaomchangコマンドの実行時,およびホスト稼働中の次回電源投入時刻到達時を契機に呼び出します。したがって,コマンドは何度も繰り返して呼び出されても不都合のないように作成してください。
戻り値
0(正常終了) 次回電源投入時刻の設定に成功しました。
0以外 次回電源投入時刻の設定に失敗しました。
使用例
次回電源投入時刻を2月28日の午前8時に設定します。
/usr/lib/jp1_aom/pwon_com 02/28.08:00
(b) pwread_comコマンド
形式
pwread_com
機能
次回電源投入時刻を随時設定できる電源制御装置の場合
JP1/Power Monitorでこのコマンドを実行すると,電源制御装置に設定されている次回電源投入時刻を読み出します。このコマンドは,jaomshowiコマンドの実行時に呼び出され,jaomshowiコマンドの出力結果に次回電源投入時刻を出力します。
次回電源投入時刻をホスト終了時にだけ設定できる電源制御装置の場合
JP1/Power Monitorでこのコマンドを実行すると,任意のファイルに設定されている次回電源投入時刻を読み出します。このコマンドは,jaomshowiコマンドの実行時に呼び出され,jaomshowiコマンドの出力結果に次回電源投入時刻を出力します。
格納先ディレクトリ
/usr/lib/jp1_aom/pwread_com
戻り値
0(正常終了) 次回電源投入時刻の読み出しに成功しました。
0以外 次回電源投入時刻の読み出しに失敗しました。
注意事項
  • 外付け電源制御装置に設定されている次回電源投入時刻を読み出し,time_t形式(GMT1970年1月1日00:00:00からの通算秒数)に従った10進数で,標準出力ファイルに出力するようにコマンドを作成してください。時刻が設定されていない場合は,「0」を出力してください。
  • 次回電源投入時刻を随時設定できる電源制御装置の場合,電源制御装置に時刻の読み出し機能がなくても,このコマンドは必ず作成してください。その場合,pwon_comコマンドで設定した時刻をディスクファイルに退避し,このコマンドで退避したファイルから時刻を読み出すなどの手段をとってください。
  • このコマンドは,起動されてから10秒以内に終了させてください。終了しない場合は,実行を強制的に打ち切り,読み出しに失敗したものとみなします。
  • コマンドの設定の成否は,戻り値で示すように作成してください。
(c) alt_shutdownコマンド
形式
alt_shutdown
機能
次回電源投入時刻を任意のファイルから参照し,その時刻を電源制御装置に設定してホストを終了させます。
ホスト終了時にしか次回電源投入時刻を設定できないタイプの電源制御装置を使用する場合など,標準のシステム終了コマンド以外の方法でシステムを終了したい場合は,このコマンドを作成してください。
格納先ディレクトリ
/usr/lib/jp1_aom/alt_shutdown
引数
引数をOSごとに次の表に示します。JP1/Power Monitorは,このコマンドがある場合,標準のシステム終了コマンドの代わりにこのコマンドを引数で呼び出すことでホストの終了をalt_shutdownコマンドに依頼します。
OS 終了後の処理(jaomchangコマンドの引数)
停止/電源切断(-by) 再起動(-br) シングルユーザー(-bn)
HP-UX -h -y 猶予時間 -r -y 猶予時間 -y 猶予時間
Solaris -i0 -y -g猶予時間 -i6 -y -g猶予時間 -is -y -g猶予時間
AIX -h +猶予時間 -r +猶予時間 -m +猶予時間
注意事項
  • このインターフェースを使用して次回電源投入時刻を設定するには,pwon_comコマンドで次回電源投入時刻をディスクファイルなどに記憶し,alt_shutdownコマンドで時刻を読み出して実際の設定およびホスト終了などの処理をしてください。
  • ホストの電源をオフにするには,ホストの終了処理が確実に完了するのに十分な時間が経過してから電源をオフにするように,電源制御装置で設定してください。
  • このコマンドを起動したら必ずホストを終了してください。ホストを終了しないでコマンドを終了した場合,自動運転を続けるには,JP1/Power Monitorの終了と再起動が必要になります。