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ノンストップデータベース HiRDB Version 10 構造型データベース機能


5.18.1 データベース回復の流れ

障害閉塞したRDエリアを回復して業務を再開するまでの流れを次の図に示します。

図5‒19 障害閉塞したRDエリアを回復して業務を再開するまでの流れ

[図データ]

〈この項の構成〉

(1) SDBディレクトリ情報ファイルの再作成要否

次に示す2つの条件を満たす場合は,SDBディレクトリ情報ファイルを再作成する必要があります。

  1. 回復対象のRDエリアにシステム用RDエリア※1がある

  2. バックアップ取得時点からpdrstrコマンドを実行する直前までの間に,次に示すどれかの操作をしている

    • HiRDB/SD定義ユティリティ(pdsdbdef)の次に示す操作

      ・*ENTRY DIRECTORY文によるSDBディレクトリ情報の追加

      ・*ALTER DIRECTORY文によるSDBディレクトリ情報の変更

      ・*DELETE DIRECTORY文によるSDBディレクトリ情報の削除

    • データベース回復ユティリティ(pdrstr)によるRDエリアの回復操作

    • データベース構成変更ユティリティ(pdmod)の次に示す操作

      ・expand rdarea文によるRDエリアの拡張

      ・initialize rdarea文によるRDエリアの再初期化※2

      ・alter rdarea文によるRDエリアの属性変更

      ・replicate rdarea文によるRDエリアのレプリカ定義

      ・define copy rdarea文によるRDエリアの構成情報複写

      ・recast rdarea文によるRDエリアの統合

    • pddbchgコマンドによるカレントRDエリアの変更操作

    注※1

    マスタディレクトリ用RDエリア,データディクショナリ用RDエリア,またはデータディレクトリ用RDエリアのどれかを回復した場合が該当します。

    注※2

    initialize rdarea文にRDエリア名だけを指定したRDエリアの再初期化の場合(RDエリアの属性やファイル構成を変更していない場合)は,SDBディレクトリ情報ファイルを再作成する必要はありません。

SDBディレクトリ情報ファイルのバックアップを取得している場合,そのファイルを配布することもできますが,間違ったSDBディレクトリ情報ファイルを配布するおそれもあるため,SDBディレクトリ情報ファイルは再作成することを推奨します。

(2) データベース回復の概要

5.18.2 例題1(全RDエリアをバックアップ取得時点に回復する場合)」以降で,代表的なデータベースの回復手順の例をケース別に説明しています。データベースの回復手順の参照先一覧を次の表に示します。この表から該当する例題を選択してください。

表5‒8 データベースの回復手順の参照先一覧

データベース回復時の条件

参照先

データベースをバックアップ取得時点に回復する

全RDエリアを回復する

5.18.2 例題1(全RDエリアをバックアップ取得時点に回復する場合)

回復対象RDエリアにマスタディレクトリ用RDエリアを含む

5.18.3 例題2(システム用RDエリアとユーザ用RDエリアをバックアップ取得時点に回復する場合)

回復対象RDエリアにマスタディレクトリ用RDエリアを含まない

5.18.4 例題3(マスタディレクトリ用RDエリアを除くRDエリアをバックアップ取得時点に回復する場合)

データベースを最新の同期点に回復する,または任意の同期点に回復する

全RDエリアを回復する

5.18.5 例題4(全RDエリアを最新の同期点に回復する場合)

回復対象RDエリアにマスタディレクトリ用RDエリアを含む

5.18.6 例題5(システム用RDエリアとユーザ用RDエリアを最新の同期点に回復する場合)

回復対象RDエリアにマスタディレクトリ用RDエリアを含まない

5.18.7 例題6(マスタディレクトリ用RDエリアを除くRDエリアを最新の同期点に回復する場合)

  • 上記に示す例題は,SDBディレクトリ情報ファイルの再作成が必要な場合の例題です。SDBディレクトリ情報ファイルの再作成が必要ない場合のデータベースの回復手順については,マニュアル「HiRDB システム運用ガイド」の「データベースをバックアップ取得時点に回復する方法」または「データベースを最新の同期点に回復する方法」を参照してください。

  • 例題の説明は,マニュアル「HiRDB システム運用ガイド」の「データベース回復の概要」を理解していることを前提にしています。

注※

例題では最新の同期点に回復する手順を説明していますが,任意の同期点に回復する場合も手順は同じになります。ただし,任意の同期点に回復する場合は,pdrstrコマンドの-Tオプションで回復する時刻を指定します。任意の同期点への回復については,マニュアル「HiRDB システム運用ガイド」の「バックアップ取得時点以降の任意の同期点(範囲指定の回復)」を参照してください。

なお,次に示すデータベースの回復方法の例題は,ここでは説明していません。

これらのデータベースの回復方法については,マニュアル「HiRDB システム運用ガイド」の「差分バックアップ機能使用時のデータベースの回復方法」または「pdcopyコマンド以外でバックアップを取得した場合の回復方法」を参照してください。

アンロードログファイルを使用してデータベースを回復する場合の注意事項
  • アンロードログファイルを使用してデータベースを回復した場合,データベースの回復が完了したRDエリアのバックアップを必ず取得してください。バックアップを取得しないと,そのあとにこのRDエリアで障害が発生したときにRDエリアを回復できなくなります。

  • 回復対象のRDエリアにマスタディレクトリ用RDエリアが含まれる場合,pdstart -rコマンドでHiRDBを開始して,pdrstrコマンドでマスタディレクトリ用RDエリアを回復する必要があります。最新の同期点または任意の同期点に回復をする場合は,いったんマスタディレクトリ用RDエリアを単独で回復してください。その後,マスタディレクトリ用RDエリア以外のRDエリアを回復してください。

インナレプリカ機能を使用したデータベースの回復方法

インナレプリカ機能を使用したデータベースの回復方法については,マニュアル「インナレプリカ機能 HiRDB Staticizer Option」の「インナレプリカグループ内のRDエリアのバックアップと回復」を参照してください。