1.1.1 HiRDBシステムの概要
HiRDBはクライアント/サーバシステムのネットワーク環境で使用します。データベースを配置するサーバ側システムをHiRDBサーバ,UAPを開発及び実行するクライアント側システムをHiRDBクライアントといいます。また,HiRDBサーバとHiRDBクライアントをまとめてHiRDBシステムといいます。HiRDBシステムの構成を次の図に示します。
- 〈この項の構成〉
(1) HiRDBサーバ
HiRDBサーバには,HiRDB/シングルサーバとHiRDB/パラレルサーバがあります。システム形態又は業務内容に合わせてどちらかを選択してください。HiRDBサーバの稼働プラットフォームは次のどれかになります。
-
HP-UX
-
AIX
-
Linux
-
Windows
(a) HiRDB/シングルサーバ
HiRDB/シングルサーバは1台のサーバマシンでデータベースシステムを構築するときに使用します。処理性能が安定しており,運用もHiRDB/パラレルサーバに比べてシンプルであるため,小中規模のデータベースを構築するのに適したシステムです。
(b) HiRDB/パラレルサーバ
HiRDB/パラレルサーバを使用すると,複数のサーバマシンを一つのデータベースシステムとして構築でき,一つの表を複数のサーバマシンに分割して格納できます。検索処理を各サーバで並行して実行できるため,処理性能を向上できます。また,大量データの追加又は更新や,データベースのバックアップも並列に処理できるので,データベースが大規模化しても性能を維持できます。
マシン性能を十分に活用できるShared Nothing方式を採用しているので,データ量の増加に対してもサーバ台数を増やすことで安定した性能を維持できます。また,ソートやジョインなどの負荷の掛かる処理は空いている別のサーバへ処理を代行させて,特定のサーバへの負荷が集中しないようにバランスの取れた並列処理を実現しています。
(2) HiRDBクライアント
HiRDBクライアントにはHiRDB/Developer's KitとHiRDB/Run Timeがあります。HiRDBクライアントの稼働プラットフォームは次のどれかになります。
-
HP-UX
-
AIX
-
Linux
-
Windows
(a) HiRDB/Developer's Kit
HiRDB/Developer's Kitは,UAPの開発(プリプロセス,コンパイル及びリンケージ)及び実行に必要なプログラムです。UAPの開発言語には,C,C++,COBOL85,OOCOBOL,COBOL 2002,及びJava(SQLJ)を使用できます。
なお,HiRDBサーバにはHiRDB/Developer's Kitの機能が含まれています。したがって,HiRDBサーバでUAPを開発及び実行する場合はHiRDB/Developer's Kitは不要ですが,クライアント上でUAPを開発及び実行する場合は必要になります。
(b) HiRDB/Run Time
HiRDB/Run Timeは,作成したUAPを実行するだけのランタイムプログラムです。HiRDB/Run Timeでは,UAPの開発(プリプロセス,コンパイル及びリンケージ)はできません。UAPの実行だけができます。
(c) HiRDBクライアントからXDM/RD E2への接続
HiRDBクライアントでXDM/RD E2のデータベースにアクセスするUAPの開発及び実行ができます。そのUAPを使用してHiRDBクライアントからXDM/RD E2のデータベースにアクセスできます。これをXDM/RD E2接続機能といいます。XDM/RD E2接続機能の概要を次の図に示します。
- 〔説明〕
-
XDM/RD E2接続機能を使用すると,HiRDBクライアント下で実行するUAPからXDM/RD E2のデータベースを直接アクセスできます。
PC上のUAPでODBC関数などを使用すればXDM/RD E2にアクセスできますが,適用言語の制限などがあります。XDM/RD E2接続機能を使用すると,UAP中にSQLを直接記述できるため,多様な処理ができるようになり,UAPの開発効率も向上します。
XDM/RD E2接続機能については,マニュアル「HiRDB XDM/RD E2接続機能」を参照してください。