スケーラブルデータベースサーバ HiRDB ファーストステップガイド(Windows(R)用)

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4.4.1 基礎知識

データベースの障害に備えて,定期的にデータベースのバックアップを取得する必要があります。バックアップはpdcopyコマンドデータベース複写ユティリティ)で取得します。

<この項の構成>
(1) バックアップを取得する目的
(2) バックアップの取得単位
(3) バックアップ取得モード
(4) バックアップファイルの格納場所
(5) pdcopyコマンドの処理結果リスト
(6) バックアップの取得手順
(7) 自動ログアンロード機能を使用する場合のバックアップの取得手順

(1) バックアップを取得する目的

ディスク障害などでデータベースを回復する必要が生じた場合,ここで取得したバックアップをpdrstrコマンドデータベース回復ユティリティ)の入力情報にしてデータベースを回復します。データベース回復の概要を図4-4に示します。

図4-4 データベース回復の概要

[図データ]

(2) バックアップの取得単位

バックアップは次に示す単位で取得できます。バックアップの取得単位はpdcopyコマンドのオプションで指定できます。バックアップの取得単位を表4-4に示します。

表4-4 バックアップの取得単位

バックアップの取得単位 説明 pdcopyコマンドの
オプションの指定
システム単位 全RDエリアを対象としてバックアップを取得します。次に示すRDエリアのバックアップも取得されます。
このマニュアルで実施しているアンロード状態のチェックを解除する運用の場合,システム単位のバックアップしか実行できません
  • マスタディレクトリ用RDエリア
  • データディレクトリ用RDエリア
  • データディクショナリ用RDエリア
-a
RDエリア単位 RDエリアごとにバックアップを取得します。 -r RDエリア名

(3) バックアップ取得モード

pdcopyコマンドの-Mオプションでバックアップ取得モードを選択します。バックアップ取得モードを表4-5に示します。

表4-5 バックアップ取得モード

バックアップ取得モード
-Mオプション
の指定値)

モードの説明

データベースの
回復方法の違い
バックアップ取得中,バックアップ対象RDエリアの参照および更新ができません。バックアップ取得対象RDエリアをpdholdコマンドで閉塞かつクローズ状態にする必要があります。
別のモードでバックアップすると,アクセスが多いことが原因でバックアップに時間がかかる場合に使用すると便利です。
バックアップだけでデータベースをバックアップ取得時点に回復できます。
バックアップ取得中,バックアップ取得対象のRDエリアの参照はできますが,更新はできません。
システムログを使わないでデータベースの回復を行う運用の場合に便利です。
バックアップ取得中,バックアップ取得対象RDエリアの参照および更新ができます。
RDエリアの参照業務および更新業務を続けながらバックアップを取得したい場合に便利です。
データベースを回復するときに,バックアップおよびバックアップ取得中のシステムログが必要になります。

注※
pdcopyコマンドの処理結果リストに,RDエリアを回復するときに必要なシステムログファイルの名称および世代番号が出力されます。詳細については,「(5) pdcopyコマンドの処理結果リスト」を参照してください。

●注意事項
HiRDBの稼働中に全RDエリアのバックアップを取得する場合(システム単位でバックアップを取得する場合)は,バックアップ取得モード(-Mオプション)にrまたはsを指定してください。xは指定できません。
理由:
xを指定する場合は,バックアップ取得対象RDエリアをpdholdコマンドで閉塞かつクローズ状態にする必要があります。しかし,マスタディレクトリ用RDエリアは閉塞かつクローズ状態にできません。このため,-Mオプションにxを指定して,HiRDBの稼働中に全RDエリアのバックアップを取得できません。

(4) バックアップファイルの格納場所

この先行う演習ではバックアップファイルをデータベースと同じディスクに格納していますが,本番用のシステムではバックアップファイルをデータベースと異なるディスクに格納してください。同じディスクに格納すると,そのディスクに障害が発生した場合,データベースを回復できなくなります。

(5) pdcopyコマンドの処理結果リスト

pdcopyコマンドを実行すると処理結果リストが出力されます。処理結果リストの出力先は,pdcopyコマンドの-pオプションで指定します。pdcopyコマンドの処理結果リストの出力例を図4-5に示します。

図4-5 pdcopyコマンドの処理結果リストの出力例

[図データ]

〔説明〕
  1. バックアップ取得モードに関する情報です。
    SHARED:バックアップ取得モードにsを指定
    EXCLUSIVE:バックアップ取得モードにxまたはrを指定
  2. システムログファイルに関する情報です。
    バックアップ取得モードにsを指定した場合に表示されます。
    FILE NAMEに表示されているシステムログファイルがデータベースの回復時に必要なシステムログファイルです。
  3. バックアップファイルに関する情報です。
  4. バックアップ取得対象RDエリアに関する情報です。
  5. バックアップ取得対象RDエリアのファイル構成に関する情報です。
    4および5の情報はバックアップを取得したRDエリアの数だけ表示されます。

(6) バックアップの取得手順

バックアップを取得する手順を図4-6に示します。

図4-6 バックアップを取得する手順

[図データ]

(7) 自動ログアンロード機能を使用する場合のバックアップの取得手順

自動ログアンロード機能を使用する場合は,バックアップの取得手順が「(6)バックアップの取得手順」とは異なります。自動ログアンロード機能を使用する場合のバックアップの取得手順を図4-7に示します。

図4-7 自動ログアンロード機能を使用する場合のバックアップを取得する手順

[図データ]

自動ログアンロード機能を使用している場合は,システムログをスワップし,それが自動的にアンロードされるのを確認してからバックアップを取得します。

バックアップを取得したあとは,現用システムログに対するアンロードログを調べて,データベース回復時に使用するアンロードログをあらかじめ確認しておきます。