JP1/Integrated Management - Manager 導入・設計ガイド

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付録G.1 正規表現の種類

JP1/IMで使用できる正規表現は,その正規表現を解釈する機能,OSによって異なります。この違いは,JP1/IMの各機能,OSで採用している正規表現の種類が異なるところからきています(「正規表現の種類の違い=文法の違い」となります。詳細については,「付録G.2 正規表現の文法」を参照してください)。

正規表現の種類には次のものがあります。

JP1独自の正規表現(Windows)
正規表現として使用できる特殊文字をJP1で独自に定義した正規表現です。
JP1/IM,JP1/Baseの設定を変更することで,XPG4準拠の拡張正規表現に拡張できますが,拡張することよって誤動作が発生することがあります。このため,定義済みの設定を見直し,拡張正規表現用に定義し直す必要があります。

XPG4準拠の拡張正規表現(Windows)
正規表現として使用できる特殊文字をJP1独自の正規表現に加え,幾つか追加した正規表現です。
正規表現の使用をバージョン7でサポートした機能は,この正規表現の文法に従って動作します。

XPG4の基本正規表現(HP-UX,Solaris,AIX)
UNIXが提供するXPG4の基本正規表現です(詳細はOS提供の「regexp(5)」参照)。
機種,OSによって使用できる正規表現の範囲が異なるため,注意が必要です。
また,JP1/Baseの設定を変更することで,XPG4の拡張正規表現に拡張できますが,拡張することによって誤動作が発生することがあります。このため,定義済みの設定を見直し,拡張正規表現用に定義し直す必要があります。

XPG4の拡張正規表現(HP-UX,Solaris,AIX)
UNIXが提供するXPG4の拡張正規表現です(詳細はOS提供の「regexp(5)」参照)。基本的には,正規表現として使用できる特殊文字をXPG4の基本正規表現に加え,幾つか追加した正規表現ですが,逆に使用できない正規表現もあります。
また,機種,OSによって使用できる正規表現の範囲が異なるため,注意が必要です。

POSIX1003.2の基本正規表現(Linux)
Linuxが提供するPOSIX1003.2の基本正規表現です(詳細はOS提供の「regex」参照)。OSによって使用できる正規表現の範囲が異なるため,注意が必要です。
また,JP1/Baseの設定を変更することで,POSIX1003.2の拡張正規表現に拡張できますが,拡張することによって誤動作が発生することがあります。このため,定義済みの設定を見直し,拡張正規表現用に定義し直す必要があります。

POSIX1003.2の拡張正規表現(Linux)
Linuxが提供するPOSIX1003.2の拡張正規表現です(詳細はOS提供の「regexp(7)」参照)。OSによって使用できる正規表現の範囲が異なるため,注意が必要です。

正規表現を使用できる機能と使用できる正規表現の種類の関係を次の表に示します。

表G-1 正規表現を使用できる機能と使用できる正規表現

機能 説明 Windows HP-UX,Solaris,AIX Linux
デフォルト 設定変更時 デフォルト 設定変更時 デフォルト 設定変更時
JP1/IM - Viewからのイベント検索 JP1イベントの検索条件で正規表現を使用できます。
使用できる正規表現の種類は,検索先ホストのJP1/Baseの設定に依存します。
JP1独自正規表現 拡張正規表現(XPG4準拠) 基本正規表現(XPG4) 拡張正規表現(XPG4) 基本正規表現(POSIX1003.2) 拡張正規表現(POSIX1003.2)
JP1/IM - Viewからの監視ノード検索 監視ノードの検索条件で正規表現を使用できます。
使用できる正規表現の種類は,固定です。
拡張正規表現(XPG4準拠) 拡張正規表現(XPG4) 拡張正規表現(POSIX1003.2)
イベントガイド情報の表示 イベントガイド情報の表示条件で正規表現を使用できます。
使用できる正規表現の種類は,固定です。
拡張正規表現(XPG4準拠) 拡張正規表現(XPG4) 拡張正規表現(POSIX1003.2)
監視ノードの状態変更やガイド情報の表示 監視ノードの状態変更条件の共通条件,個別条件やガイド情報の表示条件で正規表現を使用できます。
使用できる正規表現の種類は,固定です。
拡張正規表現(XPG4準拠) 拡張正規表現(XPG4) 拡張正規表現(POSIX1003.2)
自動アクション 自動アクションの実行条件で正規表現を使用できます。
Windowsの場合,使用できる正規表現の種類は,自動アクションを実行するJP1/IM - Managerの設定に依存します(UNIXは固定です)。
拡張正規表現(XPG4準拠) JP1独自正規表現 拡張正規表現(XPG4) 拡張正規表現(POSIX1003.2)
相関イベント発行 相関イベント発行条件のイベント属性条件で正規表現を使用できます。
使用できる正規表現の種類は,固定です。
拡張正規表現(XPG4準拠) 拡張正規表現(XPG4) 拡張正規表現(POSIX1003.2)
フィルタリング
  • ユーザーフィルター
  • 重要イベントフィルター
  • 表示フィルター
[イベントコンソール]画面へのJP1イベントの表示条件で正規表現を使用できます。
Windows,UNIXとも使用できる正規表現の種類は,固定です。
拡張正規表現(XPG4準拠) 拡張正規表現(XPG4) 拡張正規表現(POSIX1003.2)

  • イベント取得フィルター
  • 共通除外条件(基本モード)
マネージャーのJP1/BaseからJP1/IM - Managerが取得するJP1イベントの取得条件で正規表現を使用できます。
使用できる正規表現の種類は,マネージャーのJP1/Baseの設定に依存します。
JP1独自正規表現 拡張正規表現(XPG4準拠) 基本正規表現(XPG4) 拡張正規表現(XPG4) 基本正規表現(POSIX1003.2) 拡張正規表現(POSIX1003.2)
重大度変更機能 重大度変更機能で変更する対象のイベント条件に正規表現を使用できます。
Windows,UNIXとも使用できる正規表現の種類は,固定です。
拡張正規表現(XPG4準拠) 拡張正規表現(XPG4) 拡張正規表現(POSIX1003.2)
共通除外条件(拡張モード) 共通除外条件の拡張モードでイベントを除外する条件に正規表現を使用できます。
Windows,UNIXとも使用できる正規表現の種類は,固定です。
拡張正規表現(XPG4準拠) 拡張正規表現(XPG4) 拡張正規表現(POSIX1003.2)
事象発生元ホストのマッピング機能 [発生元ホスト名]属性が対応する機能で,発生元ホスト名を指定する場合に正規表現を使用できます。
Windows,UNIXとも使用できる正規表現の種類は,固定です。
拡張正規表現(XPG4準拠) 拡張正規表現(XPG4) 拡張正規表現(POSIX1003.2)

(凡例)
−:デフォルトで拡張正規表現を使用するため設定変更はない。

上記表のとおり,デフォルト設定のままでは,JP1/IMで使用できる正規表現が各機能,OSによって異なります。この場合,機能,OSによる正規表現の使い分けを意識する必要があります。

正規表現の使い分けを意識したくない場合は設定を変更することで,Windowsで使用できる正規表現をXPG4に準拠した拡張正規表現,UNIXで使用できる正規表現をXPG4またはPOSIX1003.2の拡張正規表現に統一できます。機能,OSによる正規表現の使い分けを意識する必要がなくなるため,設定を変更することをお勧めします。

設定の詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「自動アクション環境定義ファイル(action.conf.update)」(2. 定義ファイル)を参照してください。

また,JP1/Baseで正規表現を使用できる機能,使用できる正規表現の種類については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のインストールとセットアップの章のセットアップを参照してください。

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