JP1/Integrated Management - Manager システム構築・運用ガイド

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3.5.4 自動アクションの実行監視

JP1/IM - Managerでは,自動アクションの実行処理で発生したトラブルを迅速に検知できるよう,自動アクションの実行状況を監視する機能を提供しています。この機能は,次に示す二つの機能で構成されており,それぞれ監視する・監視しないを選択できます。

<この項の構成>
(1) 自動アクションの遅延監視
(2) 自動アクションの状態監視
(3) 実行監視の設定
(4) 実行監視機能による自動アクションの異常監視

(1) 自動アクションの遅延監視

自動アクションの実行処理で,次のようなトラブルが発生することがあります。

このようなトラブルが発生すると,トラブルの発生元となったアクションだけでなく,後続のアクションの実行処理にも影響が出てきます。

自動アクションの実行時間を監視(遅延監視)することで,上記のようなトラブル発生から,オペレーターが対応するまでの時間を短縮できます。遅延発生時の通知は,JP1イベントや通知コマンドによって行われます。

遅延監視の設定については「3.5.4 (3) 実行監視の設定」を参照してください。

(a) 遅延監視の開始時間と終了時間

遅延監視の開始は,マネージャー上のJP1/Baseに自動アクションの実行契機となるJP1イベントが到着した時刻からとなります。

また,遅延監視の終了は,アクションの状態が下記の状態に遷移した時刻となります。

遅延監視で設定した時間内に上記状態に遷移しなかった場合,"遅延"となります。

遅延監視の対象時間および遅延監視の対象となる状態を次の図に示します。

図3-68 遅延監視の対象時間および遅延監視の対象となる状態

[図データ]

なお,クラスタシステムでフェールオーバー時に自動アクションを再実行する設定にしていた場合も,遅延監視の対象時間および遅延監視の対象となる状態は,通常運用の場合(上記の図)と変わりません。クラスタシステムで運用している場合には系切り替えの時間も考慮に入れて遅延監視時間を設定する必要があります。

注意
自動アクションを手動で再実行した場合は,遅延監視の対象にはなりません。これは,ユーザー自身が自動アクションを再実行し,アクション開始時間および経過時間を把握できるためです。
また,状態が「なし」となる自動アクションや状態が「抑止」となった自動アクションも遅延監視の対象にはなりません。

(2) 自動アクションの状態監視

自動アクションの実行処理で,次のようなトラブルが発生することがあります。

このようなトラブルが発生すると,ユーザーの意図したとおりに自動アクションが実行終了していないため,監視業務に大きく影響が出てきます。

自動アクションの処理で異常が発生したことを検知することで,自動アクションの実行に失敗してから,オペレーターが対応するまでの時間を短縮できます。異常発生時の通知は,JP1イベントや通知コマンドによって行われます。

状態監視の設定については「3.5.4 (3) 実行監視の設定」を参照してください。

(3) 実行監視の設定

自動アクションの遅延監視機能,状態監視機能は,二つともインストール時に有効になっていないため,使用したい場合は設定が必要となります。

自動アクションの遅延監視,状態監視をするために必要な設定を次の表に示します。( )はデフォルト値を表しています。

表3-27 遅延監視,状態監視をするために必要な設定

機能 設定項目 設定方法
遅延監視
  • 遅延監視をする・しない(しない)
  • 遅延監視時間(600秒)
[アクション詳細設定]画面,または自動アクション定義ファイル

  • JP1イベントの発行(有効)
自動アクション通知定義ファイル

  • 通知コマンドの実行(無効)
状態監視
  • 状態監視をする・しない(しない)
[アクション設定]画面または,自動アクション定義ファイル

  • JP1イベントの発行(有効)
自動アクション通知定義ファイル

  • 通知コマンドの実行(無効)

遅延監視はアクション単位,状態監視はシステム単位(JP1/IM - Manager)で設定できます。また,JP1イベントの発行はデフォルトで有効になっています。監視をする・しないの設定で,監視をする,に設定すれば,異常検知時にJP1イベントが発行されるようになります。通知コマンドの実行はデフォルトで無効になっています。異常検知時に通知コマンドを実行したい場合には自動アクション通知定義ファイルを編集してください。

なお,JP1イベントの発行,通知コマンドの実行を両方とも無効に設定した場合は,遅延監視をする,または状態監視をする設定にしても,異常検知時にユーザーに異常が通知されなくなります。このため,遅延監視,状態監視をする場合には,JP1イベントの発行,または通知コマンドの実行のどちらかを必ず有効に設定する必要があります。

(4) 実行監視機能による自動アクションの異常監視

遅延監視機能,状態監視機能を有効にすると,異常検知時にそれぞれJP1イベントを発行したり,通知コマンドを実行したりして,ユーザーに通知が行われるようになります。

ただし,遅延監視機能,状態監視機能による通知は,それぞれ一度実行されると抑止状態となり,以後,異常が発生しても通知が行われなくなります。

このため,トラブルが発生した自動アクションに対して対応が完了したら,抑止を解除する必要があります。JP1/IM - Viewの[イベントコンソール]画面の[オプション]メニューで[機能状態通知復帰]を選択することで,抑止を解除できます。

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