ストリームデータ処理基盤 uCosminexus Stream Data Platform - Application Framework システム構築・運用ガイド

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6.4.1 システムの運用時のトラブル

システムの運用時に発生するトラブルについて,トラブル別に対処方法を説明します。

<この項の構成>
(1) ストリームデータ処理エンジンとアダプター間のデータ送受信ができない
(2) ストリームデータ処理エンジンの入力ストリームキューあふれが発生した
(3) 内部矛盾エラーのメッセージが出力された
(4) クエリグループが閉塞した
(5) クエリの処理でタイムアウトが発生した
(6) アダプターの処理速度が遅い
(7) データ型の不一致でアダプター処理が停止した
(8) タプルログの一部が欠落した
(9) ダッシュボードで分析結果が表示できない

(1) ストリームデータ処理エンジンとアダプター間のデータ送受信ができない

ストリームデータ処理エンジンと,アダプター間のデータ送受信ができない場合の対処手順を次に示します。

  1. メッセージログにメッセージが出力されているかどうかを確認し,必要に応じてエラーの要因を取り除きます。
    エラーメッセージが出力されている場合は,マニュアル「uCosminexus Stream Data Platform - Application Framework メッセージ」を参照して対処し,エラーの要因を取り除きます。
  2. 次の内容を確認します。
    • 入力元および出力先のパスが正しく指定されているかどうか。
    • フォーマット変換の指定方法は正しいかどうか。
      特に,アダプター構成定義ファイルのフォーマット変換定義内のunmatchedFormatタグに「IGNORE」を指定している場合は,フォーマットの不正を見落とすおそれがあります。いったんunmatchedFormatタグに「WARNING」を指定し動作確認をしてください。

(2) ストリームデータ処理エンジンの入力ストリームキューあふれが発生した

ストリームデータ処理エンジンの入力ストリームキューあふれが発生した場合,入力アダプターの処理量を制御して対処します。一度に読み込むレコード数またはSDPサーバに送信する間隔を変更することで,単位時間当たりに使用するメモリ使用量を軽減できます。

レコード数は,アダプター構成定義ファイルのファイル入力コネクター定義のinputタグのreadUnit属性で変更できます。

送信間隔は,入力用CB定義のinterval属性で変更できます。

(3) 内部矛盾エラーのメッセージが出力された

クエリグループまたはSDPサーバで内部矛盾エラーのメッセージが出力された場合,「6.2 トラブル発生時に採取が必要な資料」を参照して必要な資料を採取し,保守員に連絡してください。

(4) クエリグループが閉塞した

クエリグループの実行中に障害が発生した場合,Stream Data Platform - AFはクエリグループを閉塞します。クエリグループが閉塞すると,ストリームキュー内に滞留していたタプルは破棄されます。

クエリグループが閉塞した場合の対応手順を,要因別に説明します。

ストリームキューあふれが要因の場合
クエリグループのストリームキューがあふれた場合,メッセージログに次のメッセージが出力されます。
KFSP42005-E ストリームキューの上限値を超えました。ストリーム名=…,要素数=…,上限値=…
KFSP82205-I クエリグループを閉塞しました。クエリグループ名=…
このメッセージが出力された場合,SDPサーバ用定義ファイルでJavaVMのヒープサイズ,キューの最大値,保留タプルの上限数などを見直します。必要があれば再度見積もりを実施し,クエリグループを再開始してください。
SDPサーバ用定義ファイルの設定値の変更については,「5.3.1 プロパティファイルの設定値の変更」を参照してください。クエリグループの再開始については,「7. コマンド」の「sdpcqlstart(クエリグループの開始)」を参照してください。
不正データの入力が要因の場合
クエリの実行中に,不正な送信データによって0による除算や不正な型変換(変換後の値が変換先の型で表現できない)が発生した場合,メッセージログに次のメッセージが出力されます。
KFSP420**-E =…
KFSP82205-I クエリグループを閉塞しました。クエリグループ名=…
このメッセージが出力された場合,クエリ定義ファイルに誤りがないかどうかを確認してください。クエリ定義ファイルに誤りがある場合は,クエリ定義ファイルを修正してください。クエリ定義ファイルに誤りがなく,送信データに問題がある場合,入力アダプターの内容を修正したあとに,クエリグループを再開始してください。
クエリ定義ファイルの変更については,「5.3.2 クエリ定義ファイルの変更」を参照してください。クエリグループの再開始については,「7. コマンド」の「sdpcqlstart(クエリグループの開始)」を参照してください。
タイムスタンプ調整機能使用時にタプル保留数が上限を超えたことが要因の場合
タイムスタンプ調整機能の保留タプル数が上限値を超えた場合,メッセージログに次のメッセージが出力されます。
KFSP42301-E タイムスタンプ調整機能の保留タプル数が上限値を超えました。…
KFSP82205-I クエリグループを閉塞しました。クエリグループ名=…
このメッセージが出力された場合,「11.8.6 タプルの保留期限」を参照し,タプルを保留できる上限値,または調整する時刻の単位や範囲を見直してください。

(5) クエリの処理でタイムアウトが発生した

クエリの処理で不正に時間が掛かってタイムアウトが発生した場合,「6.2 トラブル発生時に採取が必要な資料」を参照して必要な資料を採取し,原因を調査してください。また,必要に応じて,SDPサーバの強制停止などの対処をしてください。

SDPサーバの強制停止については,「7. コマンド」の「sdpstop(SDPサーバの停止)」を参照してください。

(6) アダプターの処理速度が遅い

アダプターの処理速度が遅い場合,フルガーベージコレクションが多発していないか確認してください。フルガーベージコレクションが発生している間は,アダプターの処理がすべて停止してしまうため,処理速度が遅くなります。フルガーベージコレクションの情報は,次に示すファイルから取得します。

インプロセス連携の場合
<運用ディレクトリ>\logs\SDPServerVM<整数>.log
RMI連携の場合
<運用ディレクトリ>\logs\SDPClientVM<整数>.log

なお,ファイル名の<整数>には01から04の数字が入り,ファイルは最大4面できます。また,これらのファイルの出力先,およびファイル名は,デフォルトの状態です。

フルガーベージコレクションの出力例を示します。

[VGC]<Fri Jan 08 17:19:46.159 2010>[Full GC 54330K->45174K(519296K),
0.1150830 secs][DefNew::Eden: 9156K->0K(164608K)]・・・

下線で示している「Full GC」が頻繁に出力されている場合や,フルガーベージコレクションに掛かった時間が数秒単位の場合には,JavaVMが確保するヒープ領域のメモリ不足が考えられます。この場合は,次の対処を検討してください。

(7) データ型の不一致でアダプター処理が停止した

アダプター構成定義ファイルのフォーマット変換定義でfieldタグのtype属性に指定したデータ型と,対応するCQLのデータ型が一致しない場合,タプル送信でエラーとなり,アダプターの処理が停止します。この場合は,データ型種別を見直してください。

フォーマット変換定義のfieldタグのtype属性については,「9.11.1 フォーマット変換定義」を参照してください。

(8) タプルログの一部が欠落した

すべてのタプルログのバッファーがいっぱいになりタプルログのバッファリングができなくなると,タプルログの一部が欠落します。

タプルログが欠落すると,sdptplputコマンドを使用してクエリの再実行をした結果が,アダプターを使用してクエリを実行した結果と異なる場合があります。このため,十分な数のタプルを取得できるように,バッファーサイズおよび面数を指定する必要があります。

タプルログのバッファーの見積もり式を次に示します。この式を基に,格納するタプルの数に対して必要なタプルログバッファーのサイズおよび面数を見積もってください。

タプルログのバッファー一つ当たりのサイズ(単位:バイト)=
タプル一つ当たりのサイズ×格納数

タプル一つ当たりのサイズについては,「2.7.1(2) タプル一つ当たりに必要なメモリ使用量」を参照してください。

(9) ダッシュボードで分析結果が表示できない

ダッシュボードで分析結果が表示できない場合,次のことを確認して対処してください。

なお,ダッシュボードでエラーが発生すると,ダッシュボード画面にエラーダイアログが出力されます。ダイアログには次の情報が出力されます。

表示名 内容
“ErrID” エラーメッセージIDが表示されます。
“ErrMsg” エラーメッセージの内容が表示されます。

メッセージについては,マニュアル「uCosminexus Stream Data Platform - Application Framework メッセージ」を参照してください。