JP1 Version 9 JP1/Cm2/Internet Gateway Server
変換対象MIB定義ファイルは,SNMPのデータ部のNAT変換で使用する定義ファイルです。SNMPメッセージ中のVarBind中のオブジェクトIDに,インスタンス識別子として含まれるIPアドレスのNAT変換をするために,テーブル型のMIBオブジェクトを定義します。
標準提供される変換対象MIB定義ファイルでは,標準MIB-IIや日立企業固有MIB,NNMiおよびNNMがMIB定義として標準提供している範囲のMIBオブジェクトが,あらかじめ定義されています。このため,通常は定義を変更する必要はありません。例えば,ユーザ拡張MIBや他社企業固有MIBなどデフォルトの定義で網羅されていないMIBオブジェクトに,インスタンス識別子としてIPアドレスが含まれている場合,そのIPアドレスを変換するためには定義の追加が必要です。MIBオブジェクトが変換対象MIB定義ファイルに定義する必要があるオブジェクトかどうかの判定については,「付録E 変換対象MIB定義ファイルの定義について」を参照してください。
- 注意事項
- すべてのMIBオブジェクトを定義する必要はありません。テーブル型でないMIBオブジェクトや,インスタンス識別子にIPアドレスを含まないMIBオブジェクトは,定義する必要はありません。また,一般にテーブル型のMIBオブジェクトは,1から始まる整数値をインスタンス識別子(インデックス)とするものが多く,このようなテーブル型のMIBオブジェクトについては,定義の必要はありません。また,MIBオブジェクトの値そのものがIPアドレスになる場合でも,テーブル型のMIBオブジェクトのインスタンス識別子にIPアドレスが含まれていなければ,定義の必要はありません。
- <この節の構成>
- (1) 書式
- (2) 定義内容
(1) 書式
インスタンス識別子の中の,IPアドレスの位置を指定する方法として,次の二つの指定方法があります。どちらの指定方法にするかは,オブジェクトIDごとに選択できます。
- 種別指定
そのテーブルのインスタンス識別子としてマッピングされるMIBオブジェクトの種別を列挙します。
オブジェクトID:INDEX種別,INDEX種別,・・・- 位置指定
インスタンス識別子の何番目がIPアドレスかを指定します。
オブジェクトID:INDEX位置,INDEX位置,・・・
(2) 定義内容
- オブジェクトID
- インスタンス識別子にIPアドレスを含むテーブル型のMIBオブジェクトのオブジェクトIDを指定します。オブジェクトIDは,「.(ドット)」と数字で表す形式で指定し,先頭はドットで始まらなければいけません。テーブルを意味するサブIDまでを指定し,エントリやテーブル内のMIBオブジェクトを表すサブIDまでは指定してはいけません。例えば,標準MIB-IIのipAddrTableの場合,テーブルを意味するipAddrTableのサブIDまで「.1.3.6.1.2.1.4.20」を指定します。
- INDEX種別
- インスタンス識別子にマッピングされるMIBオブジェクトの種別を指定します。そのテーブルのインスタンス識別子としてマッピングされるすべてのオブジェクトについて指定が必要です。種別では,ipaddr,netaddr,integer,fixoctet(n),varoctet,objectidの六つが指定できます。マッピング方法を次の表に示します。
表7-3 変換対象MIB定義ファイルのINDEX種別
INDEX種別 インスタンス識別子へのマッピング方法 対応するANS.1上のSYNTAX ipaddr IPアドレスがそのままインスタンス識別子の4個のサブIDにマッピングされる場合。MIBのASN.1定義でNetworkAddress型となっていても,実装としてIPアドレス4けただけでインスタンス識別子が成り立っている場合は,こちらのipaddrを指定する。 IpAddress netaddr 最初のサブIDに固定の値1が付加され,続いてIPアドレスを表す4個のサブIDから成るインスタンス識別子の場合。MIBのASN.1定義でNetworkAddress型となっていても,実装としてIPアドレス4けただけでインスタンス識別子が成り立っている場合は,ipaddrの方を指定する。NetworkAddressは,一般にはあまり使用されていない。 NetworkAddress integer 整数値
MIBオブジェクトの値がそのままインスタンス識別子の一つのサブIDにマッピングされる場合。INTEGER,Integer32,Counter,Counter32,Gauge,Gauge32,Unsigned32,TimeTicksなど整数を表すもの fixoctet(n) 固定長の文字列
固定長の文字列またはOCTETデータの値をとるMIBオブジェクトがインスタンス識別子にマッピングされている場合。括弧中のnにはその長さを指定する。インスタンス識別子に使用されるMIBオブジェクトがOCTET STRINGまたはDisplayStringで定義されていて,MIB定義上でその長さが固定長で定義されている場合。PhysAddressは,fixoctet(6)として指定する。OCTET STRING,DisplayString,PhysAddress,MacAddress varoctet 可変長の文字列
可変長の文字列またはOCTETデータの値をとるMIBオブジェクトがインスタンス識別子にマッピングされている場合。インスタンス識別子としては最初のサブIDにその文字列の長さがマッピングされ,続いてその文字列中の文字(またはオクテット)をサブIDにマッピングしたものになる。OCTET STRING,DisplayString objectid オブジェクトID
オブジェクトIDを値とするMIBオブジェクトがインスタンス識別子にマッピングされている場合。OBJECT IDENTIFIER
- INDEX位置
- インスタンス識別子中に現れるIPアドレスの位置を数字で指定します。INDEX位置は,インスタンス識別子中に現れるIPアドレスの個数分だけ指定が必要で,少なくとも一つ以上の指定が必要です。複数の指定をする場合は,「,(コンマ)」で区切ります。
- インスタンス識別子中のIPアドレスは,四つのサブIDにマッピングされますが,その先頭のサブIDがインスタンス識別子の中で,何番目のサブIDの位置かを指定します。インスタンス識別子としての,先頭のサブIDを1として数えます。例えば,IPアドレス一つだけがインスタンス識別子となるような場合,位置指定は1となります。IPアドレス二つの組がインスタンス識別子となるような場合,位置指定は1,5となります。インスタンス識別子の先頭にはIPアドレス以外のサブIDが一つあり,次にIPアドレスが続くような場合は,位置指定は2となります。なお,インスタンス識別子にマッピングされるオブジェクトに可変長の文字列やオブジェクトIDがある場合には,位置指定は使用できません。この場合は,種別指定を使用してください。
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