JP1/NETM/DM 運用ガイド2 (Windows(R)用)

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5.2.1 Embedded RDBのメンテナンス

データベースにEmbedded RDBを使用している場合にメンテナンスとして必要となる作業について説明します。なお,データベースのバックアップおよびバックアップからの復元については,「5.3 システムのバックアップと復元」を参照してください。

データベースのメンテナンスには,データベースマネージャを使用します。データベースマネージャの起動手順については,マニュアル「構築ガイド」の「7.4 データベースマネージャの操作方法(Embedded RDBの場合)」を参照してください。

<この項の構成>
(1) データベースのアップグレード
(2) データベースの再編成
(3) パスワードの変更
(4) 不要なインベントリ情報の削除

(1) データベースのアップグレード

次に示す場合,データベースマネージャを使用してデータベースをアップグレードする必要があります。

データベースをアップグレードする手順については,マニュアル「構築ガイド」の「7.4.3 データベースをアップグレードする」を参照してください。

なお,リレーショナルデータベースをアップグレードする前に,リレーショナルデータベースのバックアップを取得しておくことをお勧めします。取得するバックアップについては,「5.3 システムのバックアップと復元」を参照してください。

(2) データベースの再編成

(a) データベース領域の使用率の確認

Embedded RDBでは,レコードが削除された領域は再利用できない領域になります。データベース領域に再利用できない領域が増えると,データベース領域の使用率を圧迫することがあります。

このため,データベース領域の使用率が80%以上になった場合は,データベースを再編成して領域を再利用できるようにする必要があります。

データベースを再編成するには,データベースマネージャを使用する方法と,コマンドを使用する方法があります。それぞれの手順については,マニュアル「構築ガイド」の「7.4.6 データベースを再編成する」を参照してください。

なお,データベースを再編成してもデータベースの容量不足を示すメッセージが表示される場合は,データベースの容量を拡張する必要があります。「データベースをアップグレードする」から,データベース領域ファイルのサイズを大きくしてください。

データベース領域の使用率が80%以上かどうかは,イベントログに次のIDのメッセージが表示されるかどうかで判断できます。

メッセージの詳細については,マニュアル「HiRDB Version 8 メッセージ」を参照してください。メッセージに出力されるRDエリアの名称,データベースを再編成する範囲,および拡張するデータベース領域ファイルの対応を次の表に示します。

表5-1 メッセージ,再編成する範囲および拡張するデータベース領域ファイルの対応

メッセージのRDエリア名称※1 再編成する範囲※2 拡張するデータベース領域ファイル※3
NETMDM_NETM_TABLES 全体 常駐表ファイル
NETMDM_NETM_INDEXES 全体 索引ファイル
NETMDM_COLLECT_SERVPATH
NETMDM_EXECUTION_SITE_SYSINF
NETMDM_EXECUTION_SYSINF
NETMDM_JOBGEN_COLLECT_DIR
NETMDM_JOBGEN_COLLECT_SCRPTF
NETMDM_JOBGEN_COLLECT_SYSINF
NETMDM_JOBGEN_PACK_ATTRINF
NETMDM_JOBGEN_PACK_SCRPTF
NETMDM_JOBGEN_SOFT_CONDF
NETMDM_JOBSCRIPT_SCRPTF
NETMDM_SYSTEMJOB_REQUESTFILE
NETMDM_SYSTEMJOB_RESULTFILE
NETMDM_MNGLIST_LIST
NETMDM_SCHEDULE_SYSINF
NETMDM_JOBGEN_MESSAGE
ジョブ ジョブ関連バイナリオブジェクトファイル
NETMDM_CABINET_SYSINF
NETMDM_PACKAGE_INF_SYSINF
NETMDM_PACKAGE_PACKAGE
NETMDM_PACKAGE_SCRPTF
NETMDM_INSPACKAGE_SYSINF
NETMDM_USERINVLIST_ITEMVALS
NETMDM_USERINVLIST_SYSINF
パッケージ,インベントリ 資産情報関連バイナリオブジェクトファイル
NETMDM_NETM_MONITORING 稼働監視履歴 ソフトウェア稼働監視履歴ファイル
NETMDM_OSPATCH_FILE
NETMDM_OSPATCH_SCRIPT
更新プログラム 更新プログラム管理ファイル
NETMDM_NETM_TEMP_TABLES
NETMDM_NETM_TEMP_INDEXES
NETMDM_T6_DIRn※4
NETMDM_T6_SCRPTFn※4
NETMDM_T7_CONDFn※4
NETMDM_T11_ATTRINFn※4
NETMDM_T11_SCRPTFn※4
NETMDM_T12_UINVINFn※4
NETMDM_T14_ITEMVALSn※4
NETMDM_T15_ITEMVALSn※4
NETMDM_T30_MESSAGEn※4
全体 一時表ファイル
注※1
RDエリア名称の先頭の「NETMDM」部分は管理者ユーザIDになります。管理者ユーザIDはインストール時の[データベースの設定]ダイアログボックスの管理者ユーザIDに指定したIDです。
注※2
データベースを再編成する際の設定項目です。
注※3
再編成しても容量が不足している場合に,データベースをアップグレードする際の設定項目です。
注※4
nには1〜5の数字が入ります。

また,再編成を実施したあとでデータベースの使用状況を確認するには,使用できるRDエリアのサイズ,使用中のRDエリアのサイズ,および空のRDエリアのサイズを算出します。各RDエリアのサイズを算出する手順を次に示します。手順を実施する場合,コマンドを実行するユーザにAdministrator権限が必要です。

  1. コマンドプロンプトを起動する。
  2. JP1/NETM/DM Managerのインストール先ディレクトリ\NETMDB\BINに格納されているpdntcmd.batコマンドを実行する。
  3. コマンドで「set pduser=管理者ユーザID/パスワード」を実行する。
  4. コマンドで「pddbst -r RDエリア名称 -k logi -d」を実行する。
    入力するRDエリア名称は,表5-1を参照してください。
    セグメント数,セグメントサイズ,未使用のセグメント,および1ページのサイズが表示されます。表示例を次に示します。
    Total Segment : 2624 Segment Size : 20 Pages
    Unused Segment: 2563 Page Size : 4096 Bytes
  5. 表示された内容からRDエリアの領域サイズを算出する。
    それぞれの計算方法は次のとおりです。
    使用できるRDエリアのサイズ(バイト)=
    Total Segment × Segment Size × Page Size
    使用中のRDエリアのサイズ(バイト)=
    (Total Segment − Unused Segment) × Segment Size × Page Size
    空のRDエリアのサイズ(バイト)=
    Unused Segment × Segment Size × Page Size

データベース全体の使用状況を確認するには,表5-1に記載しているRDエリア名称の数だけ,手順4.と手順5.を繰り返してください。

なお,リレーショナルデータベースの再編成する前に,リレーショナルデータベースのバックアップを取得しておくことをお勧めします。取得するバックアップについては,「5.3 システムのバックアップと復元」を参照してください。

(b) データベースの再編成時に必要なデータベース領域ファイルの容量の確認

データベース領域ファイルの容量を確認し,データベース領域ファイルの容量不足によるデータベースの再編成失敗を防ぐことができます。

各データベース領域ファイルの容量を算出する手順を次に示します。

  1. コマンドプロンプトを起動する。
  2. JP1/NETM/DM Managerのインストール先ディレクトリ\NETMDB\BINに格納されているpdntcmd.batコマンドを実行する。
  3. コマンドで「set pduser=管理者ユーザID/パスワード」を実行する。
  4. コマンドで「pdfstatfsデータベース領域ファイルのパス」を実行する。
    入力するデータベース領域ファイルのパスは,データベース作成時にデータベースの詳細設定ダイアログで入力したパスを指定してください。

データベースの詳細設定ダイアログはマニュアル「構築ガイド」の「7.4.1 データベースを新規作成する」図7-8[データベースの詳細設定]ダイアログボックスを参照ください。

ユーザに割り当てられたデータベース領域ファイルの総容量のサイズ,ユーザに割り当てられたデータベース領域ファイルの未使用のサイズなどが表示されます。

表示例を次に示します。

user area capacity                246756[kB]
remain user area capacity         1508[kB]

上記例では,データベース領域ファイルの総容量246756KBに対して,1508KBが未使用領域であることを示します。

データベースの再編成時に必要なデータベース領域ファイルの未使用サイズの目安をデータベース領域ファイルごとに以下に示します。

  1. 常駐表ファイル(単位:バイト) = 102400
  2. 索引ファイル(単位:バイト) = 102400
  3. ジョブ関連バイナリオブジェクトファイル(単位:バイト) = 102400 + [ 2 × リモートインストールジョブで最も大きいインストールスクリプトファイルのサイズ] + ソフトウェア検索リストで最も大きい検索リストのサイズ
      + 「メッセージの通知」ジョブで最も大きいメッセージ内容のサイズ
  4. 資産情報関連バイナリオブジェクトファイル(単位:バイト) = 102400 + [ 3 × ユーザインベントリ項目リストのなかで最も大きい選択項目の合計値] + パッケージの中で最も大きいパッケージ本体のサイズ
      + パッケージの中で最も大きいインストールスクリプトファイルのサイズ
  5. ソフトウェア稼働監視履歴ファイル(単位:バイト) = 102400
  6. 更新プログラム管理ファイル = パッチをインストールするために格納しているパッチデータとスクリプトファイルのそれぞれ最も大きいサイズの合計値
  7. 一時表ファイル(単位:バイト) = 102400

注※ ユーザー指定検索リストを作成していない場合は,標準検索リストのサイズである12000となります。ユーザー指定検索リストを作成している場合は,標準検索リストに登録されたファイル数とサイズを参考におおよそのサイズを算出してください。

(3) パスワードの変更

データベースのパスワードは,データベースマネージャを使用して定期的に変更してください。

データベースのパスワードの変更手順については,マニュアル「構築ガイド」の「7.4.7 データベースのパスワードを変更する」を参照してください。

(4) 不要なインベントリ情報の削除

ファイルを使ってシステム構成情報を更新した場合など,削除したホストのインベントリ情報が削除されないで,そのままデータベースに残ることがあります。このようなインベントリ情報は,JP1/NETM/DMで使用されることはなく,その分だけデータベースの空き領域が少なくなります。

これらの不要なインベントリ情報は,データベースマネージャから一括して削除できます。不要なインベントリ情報の削除手順については,マニュアル「構築ガイド」の「7.4.8 データベース上の不要なインベントリ情報を削除する」を参照してください。

不要なインベントリ情報は次のような場合に発生します。

大量のホストを削除した場合には,不要なインベントリ情報が多数残っているおそれがあります。このような場合には,不要なインベントリ情報を削除することをお勧めします。

なお,データベースマネージャを使って削除できるインベントリ情報は,システム構成上に存在しないホストについての,次の表に示すインベントリ情報です。

表5-2 削除対象となるインベントリ情報

分類 インベントリ項目
システム情報 システム情報
レジストリ情報
ソフトウェア情報 インストールパッケージ情報
ソフトウェアインベントリ情報
ウィルス対策製品情報
Microsoft Office製品情報
ユーザインベントリ情報 ユーザインベントリ情報