3.1.1 例題の概要
ここでは,説明の前提となる例題「販売業務」の流れと,それをビジネスプロセスとして定義した場合の定義内容,および使用するデータベースの内容について説明します。
(1) 例題「販売業務」の流れ
例題とする「販売業務」の一連の流れと具体的な作業内容を次の図に示します。
図中の数字は,次に示す説明の番号と対応しています。
-
見積中
顧客から購入の問い合わせがあった商品に対して,商談の担当者が見積もりをして顧客と交渉します。特注品の問い合わせに対しては,特別な見積もりが必要になります。
見積もり作業が不要の場合は,この作業は発生しないので,2.の作業から始めます。なお,見積もりの段階で商談がキャンセルされると,終了になります。
-
受注処理待ち
商談の担当者は,顧客から注文された商品が倉庫にあるかを確認して引き当てを行い,商品を確保します。続いて,受注登録をします。なお,受注の段階で商談がキャンセルされると,終了になります。
-
請求待ち
商談に対する売り掛け計上の処理をします。また,商品に対する代金を請求するための準備作業をします。
-
納品待ち
商談の担当者が商品ごとに納入日を指示します。商品ごとに出荷担当者が決まっているので,各商品の出荷担当者が並行して納入作業をします。
なお,3.と4.は並行して進みます。
-
入金待ち
経理担当者が請求書を発行し,顧客に送付します。また,経理担当者は顧客からの入金を確認して請求を完了させます。経理担当者は,商談の担当者が所属する部署ごとに決まっているものとします。
これで業務は終了です。
(2) 例題「販売業務」で定義するビジネスプロセス
例題「販売業務」をビジネスプロセスとして定義すると,次の図のようになります。
CSCIW-Definerで定義したビジネスプロセスをワーク管理システム(CSCIW)で運用する際,CSCIWは,ユーザがCSCIW-Definerで定義した条件に基づいて,業務データベースなどの情報を評価します。この条件によって,案件に含まれる業務ステップや作業の発生・完了などが制御されます。業務ステップや作業の発生・完了を制御するための条件を,データ条件と呼びます。
ワーク管理システムのデータ条件は,「RDB検索」または「Javaオブジェクト呼び出し」です。この例題「販売業務」では,「RDB検索」を使用しています。
また,例題「販売業務」では次の振り分けルール定義を使います。
-
商談別営業担当者
商談の担当者を特定するための振り分けルール定義です。
「一般見積作成」,「特別見積作成」,「受注登録」,および「納入日指示」の各作業に使います。
-
商品別出荷担当者
納入品の出荷担当者を特定するための振り分けルール定義です。
作業「納品確認」が生成する「納品子作業」に使います。
-
部門別経理担当者
商談の担当者が所属する部署の経理担当者を特定するための振り分けルール定義です。
「請求書出力」,および「入金登録」の各作業に使います。また,「売掛・請求レコード作成」にも,この振り分けルール定義を使います。
なお,例題「販売業務」で使用している振り分けルール定義,およびビジネスプロセス定義の名称が,実際に使用されているものと重なる場合は,例題の振り分けルール定義,およびビジネスプロセス定義の名称を変更して利用してください。
(3) 例題「販売業務」で使うデータベースの内容
例題「販売業務」で使う業務データベースのテーブルを次に示します。
-
商談テーブル
-
見積テーブル
-
見積明細テーブル
-
受注テーブル
-
受注明細テーブル
-
納入明細テーブル
-
請求明細テーブル
-
顧客テーブル
-
担当者テーブル
-
部門テーブル
-
部門別経理担当テーブル
-
商品テーブル
-
商品別出荷担当テーブル
各テーブル間の関係は,次の図(E-R図)のようになります。
各テーブルの内容を次に示します。
(a) 商談テーブル
商談テーブルの内容を次の表に示します。
列名 |
キー |
備考 |
---|---|---|
商談番号 |
主キー |
案件キー |
担当者コード |
外来キー |
振り分けルール定義 「商談別営業担当者」の評価結果 |
顧客コード |
外来キー |
− |
見積区分 |
− |
見積省略='0' 一般見積='1' 特別見積='2' |
商談名 |
− |
− |
顧客予算 |
− |
− |
(b) 見積テーブル
見積テーブルの内容を次の表に示します。
列名 |
キー |
備考 |
---|---|---|
商談番号 |
主キー 外来キー |
− |
見積完了日 |
− |
見積完了=現時刻 見積キャンセル=NULL |
見積完了フラグ |
− |
見積前=NULL 見積後='ON' |
見積納期 |
− |
− |
見積名称 |
− |
− |
見積確度 |
− |
− |
(c) 見積明細テーブル
見積明細テーブルの内容を次の表に示します。
列名 |
キー |
備考 |
---|---|---|
見積明細番号 |
主キー |
複合主キー |
商談番号 |
主キー 外来キー |
複合主キー |
商品コード |
− |
− |
見積数量 |
− |
− |
見積金額 |
− |
− |
(d) 受注テーブル
受注テーブルの内容を次の表に示します。
列名 |
キー |
備考 |
---|---|---|
商談番号 |
主キー 外来キー |
− |
受注完了日 |
− |
受注完了=現時刻 受注キャンセル=NULL |
納品指示完了フラグ |
− |
納品確認完了前=NULL 納入完了後='ON' |
請求書発行フラグ |
− |
請求書発行前=NULL 請求書発行後='ON' |
受注納期 |
− |
− |
売上計上区分 |
− |
− |
納入完了日 |
− |
− |
請求日 |
− |
− |
(e) 受注明細テーブル
受注明細テーブルの内容を次の表に示します。
列名 |
キー |
備考 |
---|---|---|
受注明細番号 |
主キー |
複合主キー |
商談番号 |
主キー 外来キー |
複合主キー |
商品コード |
− |
− |
受注数量 |
− |
− |
受注金額 |
− |
− |
(f) 納入明細テーブル
納入明細テーブルの内容を次の表に示します。
列名 |
キー |
備考 |
---|---|---|
納入明細番号 |
主キー |
複合主キー 作業「納品確認」で子作業を生成するときの子作業識別子。 |
商談番号 |
主キー 外来キー |
複合主キー |
商品コード |
− |
− |
納品指示日 |
− |
− |
納入数量 |
− |
− |
納入日 |
− |
− |
(g) 請求明細テーブル
請求明細テーブルの内容を次の表に示します。
列名 |
キー |
備考 |
---|---|---|
請求明細番号 |
主キー |
複合主キー |
商談番号 |
主キー 外来キー |
複合主キー |
商品コード |
− |
− |
請求金額 |
− |
− |
入金金額 |
− |
− |
入金日 |
− |
− |
(h) 顧客テーブル
顧客テーブルの内容を次の表に示します。
列名 |
キー |
備考 |
---|---|---|
顧客コード |
主キー |
− |
顧客名称 |
− |
− |
住所 |
− |
− |
電話番号 |
− |
− |
(i) 担当者テーブル
担当者テーブルの内容を次の表に示します。
列名 |
キー |
備考 |
---|---|---|
担当者コード |
主キー |
− |
部門コード |
外来キー |
− |
担当者名 |
− |
− |
職位名称 |
− |
− |
内線番号 |
− |
− |
(j) 部門テーブル
部門テーブルの内容を次の表に示します。
列名 |
キー |
備考 |
---|---|---|
部門コード |
主キー |
− |
部門名称 |
− |
− |
部門電話番号 |
− |
− |
(k) 部門別経理担当テーブル
部門別経理担当テーブルの内容を次の表に示します。
列名 |
キー |
備考 |
---|---|---|
部門コード |
主キー 外来キー |
複合主キー |
担当者コード |
主キー 外来キー |
複合主キー 振り分けルール定義「部門別経理担当者」の評価結果。 |
(l) 商品テーブル
商品テーブルの内容を次の表に示します。
列名 |
キー |
備考 |
---|---|---|
商品コード |
主キー |
− |
商品名称 |
− |
− |
商品単価 |
− |
− |
商品単位 |
− |
− |
(m) 商品別出荷担当テーブル
商品別出荷担当テーブルの内容を次の表に示します。
列名 |
キー |
備考 |
---|---|---|
商品コード |
主キー 外来キー |
複合主キー |
担当者コード |
主キー 外来キー |
複合主キー 振り分けルール定義「商品別出荷担当者」の評価結果。 |