Cosminexus サービスプラットフォーム システム構築・運用ガイド

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付録G.4 ローリングアップデートの場合の移行手順

ローリングアップデートとは,システムを全面停止しないで,上書きインストールで移行する方法です。

ローリングアップデートで移行できるのは,バージョンが07-50のときだけです。07-50より前のバージョンを移行する場合は,07-60を新規にインストールして移行してください。

また,ローリングアップデートで移行する場合,2台以上のHCSCサーバでロードバランスクラスタを構成している必要があります。

次の図に示す(1)~(14)の手順に従って,Cosminexus サービスプラットフォームを07-50から07-60へ移行してください。

図G-3 ローリングアップデートの場合の移行手順

[図データ]

図G-3の(1)~(14)の手順の詳細を次に示します。

なお,手順内で使用するコマンドの詳細については,「10. コマンド」を参照してください。また,開発環境で実施する作業の詳細については,マニュアル「Cosminexus サービスプラットフォーム 開発ガイド」を参照してください。

注意
  • バージョン07-60以降では,開発環境と運用環境で同じリポジトリを共有できません。下位バージョンでリポジトリを共有していた場合,開発環境と運用環境で別々のリポジトリを用意して,移行してください。移行手順については,マニュアル「Cosminexus サービスプラットフォーム 開発ガイド」の下位バージョンで開発環境と運用環境のリポジトリを共有していた場合の移行手順を参照してください。
  • ローリングアップデートでの移行が完了するまで,07-50のシステムに対して,次の操作はできません。
    ・cscsvsetupコマンドで,新規にHCSCサーバをセットアップする
    ・csccompodeployコマンドで,新規にHCSCコンポーネントを配備する
<この項の構成>
(1) リポジトリのエクスポート(運用環境)
(2) リクエストの送信制御(ロードバランサ)
(3) 各環境のインストール
(4) リポジトリのインポート・エクスポート(開発環境・運用環境)
(5) 実行環境のバージョンアップ(運用環境)
(6) HCSCサーバの起動(運用環境)
(7) HCSCコンポーネントの開始(運用環境)
(8) リクエストの送信制御の解除(ロードバランサ)
(9) リクエストの送信制御(ロードバランサ)
(10) 実行環境の上書きインストール(実行環境)
(11) 実行環境のバージョンアップ(運用環境)
(12) HCSCサーバの起動(運用環境)
(13) HCSCコンポーネントの開始(運用環境)
(14) リクエストの送信制御の解除(ロードバランサ)
(15) 3台目以降のHCSCサーバ(実行環境)に対しての作業

(1) リポジトリのエクスポート(運用環境)

バージョンアップ前の運用環境のリポジトリをエクスポートして,いったん退避します。複数のリポジトリを使用している場合は,すべてのリポジトリをエクスポートして退避します。

cscrepctlコマンド(-exportオプション)を運用環境で実行して,バージョンアップ前のリポジトリをエクスポートしてください。

リポジトリのエクスポート方法の詳細については,「4.2 リポジトリのエクスポート」を参照してください。

(2) リクエストの送信制御(ロードバランサ)

バージョンアップするHCSCサーバ(1台目)に対してリクエストを送信しないように,ロードバランサを設定します。その際,仕掛かり中のリクエストがないことを確認してください。なお,設定方法は各ロードバランサの仕様によって異なります。

(3) 各環境のインストール

開発環境,運用環境,実行環境(1台目)で07-60のCosminexus サービスプラットフォームをインストールしてバージョンアップします。

次のどちらかの方法でインストールします。

新規にインストールする場合
付録G.2 新規にインストールする場合の移行手順」の(2)~(6)の作業を実施します。

上書きインストールする場合
付録G.3 上書きインストールする場合の移行手順」の(2)の作業を実施します。

注意

上書きインストールをする場合,次の点に注意してください。

・J2EEサーバ,Management Server,PRFなど実行環境の構成要素を停止してから上書きインストールしてください。

・組み込みデータベースを使用しているときは,組み込みデータベースを停止してから上書きインストールしてください。

(4) リポジトリのインポート・エクスポート(開発環境・運用環境)

(1)でエクスポートしたリポジトリ情報を開発環境にインポートします。インポートによって,古いバージョンで作成したリポジトリ情報が今バージョンに引き継がれます。そのあと,開発環境のリポジトリ情報を運用環境にインポートし,運用環境にもリポジトリ情報を引き継ぎます。

リポジトリのインポート・エクスポートで実施する作業は,(3)のインストール方法によって次のように異なります。

新規にインストールした場合
付録G.2 新規にインストールする場合の移行手順」の(7)~(9)の作業を実施します。

上書きインストールした場合
付録G.3 上書きインストールする場合の移行手順」の(3)~(6)の作業を実施します。

(5) 実行環境のバージョンアップ(運用環境)

運用環境から実行環境(1台目)のバージョンアップを実施します。

(a) 前提条件

実行環境をバージョンアップするには,次の条件を満たす必要があります。

前提条件を満たしていない場合,上記の順番で起動,停止,およびバージョンアップを実施してください。

(b) バージョンアップ方法

次に示すコマンドを運用環境で実行してください。

 
cscenvupdate -csc <バージョンアップするHCSCサーバ名>
 

(6) HCSCサーバの起動(運用環境)

バージョンアップしたHCSCサーバ(1台目)を起動します。

(7) HCSCコンポーネントの開始(運用環境)

(6)で起動したHCSCサーバに配備されているHCSCコンポーネントを開始します。

(8) リクエストの送信制御の解除(ロードバランサ)

バージョンアップしたHCSCサーバ(1台目)に対してリクエストを送信するように,ロードバランサを設定します。なお,設定方法は各ロードバランサの仕様によって異なります。

(9) リクエストの送信制御(ロードバランサ)

バージョンアップするHCSCサーバ(2台目)に対してリクエストを送信しないように,ロードバランサを設定します。その際,仕掛かり中のリクエストがないことを確認してください。なお,設定方法は各ロードバランサの仕様によって異なります。

(10) 実行環境の上書きインストール(実行環境)

実行環境(2台目)で07-60のCosminexus サービスプラットフォームを上書きインストールしてバージョンアップします。なお,開発環境および運用環境のバージョンアップは,(4)で実施しているため不要です。

注意
  • J2EEサーバ,Management Server,PRFなど実行環境の構成要素を停止してから上書きインストールしてください。
  • 組み込みデータベースを使用している場合,組み込みデータベースを停止してから上書きインストールしてください。

(11) 実行環境のバージョンアップ(運用環境)

運用環境から実行環境(2台目)のバージョンアップを実施します。

実行環境のバージョンアップ方法については,「(5) 実行環境のバージョンアップ(運用環境)」を参照してください。

(12) HCSCサーバの起動(運用環境)

バージョンアップしたHCSCサーバ(2台目)を起動します。

(13) HCSCコンポーネントの開始(運用環境)

(12)で起動したHCSCサーバに配備されているHCSCコンポーネントを開始します。

(14) リクエストの送信制御の解除(ロードバランサ)

バージョンアップしたHCSCサーバ(2台目)に対してリクエストを送信するように,ロードバランサを設定します。なお,設定方法は各ロードバランサの仕様によって異なります。

(15) 3台目以降のHCSCサーバ(実行環境)に対しての作業

ロードバランスクラスタを構成しているすべてのHCSCサーバに対して,(9)~(14)の作業を実施します。

 

なお,旧バージョンで使用していたリポジトリ情報をバージョンアップ前後に開発環境で変更し,変更したリポジトリ情報を使用して運用する場合のバージョンアップ方法については,マニュアル「Cosminexus サービスプラットフォーム 開発ガイド」を参照してください。