JP1/Automatic Job Management System 2 解説

[目次][用語][索引][前へ][次へ]


3.5.6 起動条件を設定したジョブネットが異常終了したときの実行抑止

起動条件を設定したジョブネットが異常終了した場合,それ以降の起動条件成立により実行されるジョブネットの実行を抑止できます。これによって,ジョブネットが異常終了した場合に,異常の原因を解決してから運用を再開できます。

実行抑止の機能には,次の2種類があります。

補足事項
起動条件付きジョブネットをJP1/AJS2 - Viewで監視する場合には,複数世代が表示される[デイリースケジュール(階層表示)]ウィンドウを使用してください。
<この項の構成>
(1) 実行保留
(2) 監視停止
(3) 運用回復手順
(4) 補足事項

(1) 実行保留

実行中の世代が異常終了したあとに,起動条件が成立して実行が開始される各世代を「保留中」または「起動条件待ち」にします。異常終了したあとに起動条件が成立した世代を,運用再開時に実行させたい場合に有効です。

ジョブネットが多重起動できるかどうか,およびジョブネットが異常終了したときに,その世代の実行終了を待っていた起動条件成立済みの世代があったかどうか(多重起動できない場合だけ)によって動作が異なります。

(a) 多重起動できないジョブネットの場合

(i)前回世代の終了待ちがない
多重起動できないジョブネットが異常終了したときに,その世代の実行終了を待っていた起動条件成立済みの世代がなかった場合について説明します。この場合の実行保留の動作について次の図に示します。
実行世代1が異常終了した場合,そのあとに最初に起動条件(2)が成立して実行開始される実行世代2は「起動条件待ち」から「保留中」に遷移します。それ以降の実行世代3,4は,多重起動できないジョブネットであり,起動条件(3)が成立しても前回世代が終了していないため,「起動条件待ち」のままになります。

図3-68 多重起動できないジョブネットで前回世代の終了待ちがない場合の実行保留の動作

[図データ]

(ii)前回世代の終了待ちがある
多重起動できないジョブネットが異常終了したときに,その世代の実行終了を待っていた起動条件成立済みの世代があった場合について説明します。この場合の実行保留の動作について次の図に示します。
実行世代1が異常終了する前に起動条件(2),(3)がすでに成立している場合,異常終了世代の次に実行開始する実行世代2は,前回世代が異常終了したあとに「起動条件待ち」から「保留中」に遷移します。それ以降の実行世代3はすでに起動条件が成立していますが,多重起動できないジョブネットであり,前回世代が終了していないため,「起動条件待ち」のままになります。さらに起動条件(4)が成立しても,同様に次の実行世代4は「起動条件待ち」のままになります。

図3-69 多重起動できないジョブネットで前回世代の終了待ちがある場合の実行保留の動作

[図データ]

多重起動できないジョブネットの場合,異常終了世代を再実行中(1),その終了後で保留解除前(2),保留解除後の実行中(3)などに起動条件が成立すれば,新たに「起動条件待ち」世代である実行世代5,6,7が生成されます(次の図参照)。

図3-70 多重起動できないジョブネットの場合の実行保留の動作

[図データ]

ジョブネットが異常終了したことにより「起動条件待ち」の世代が多数生成されます。また,「起動条件待ち」の世代が7,680世代を超過した場合は,「KAVS0274-E 登録可能なジョブネット数が限界値を越えました(Jobnet:ジョブネット名,code:コード)」が出力され,監視世代が「監視中」から「監視打ち切り終了」に遷移し,起動条件の監視を終了します。そのため,早期に異常終了した世代を回復させて業務を再開する必要があります。

(b) 多重起動できるジョブネットの場合

多重起動できる場合の実行保留の動作を次の図に示します。

実行世代1が異常終了した場合,異常終了世代と多重実行している実行世代2は,そのまま実行を継続します。異常終了後に起動条件(3),(4)が成立して実行開始される実行世代3,4は「起動条件待ち」から「保留中」に遷移します。

図3-71 多重起動できる場合の実行保留の動作(1/2)

[図データ]

起動条件成立によって,「起動条件待ち」から「保留中」に遷移しなくなるのは,異常終了世代がなくなった起動条件(6),(7)成立時です(次の図参照)。異常終了世代が一つでもある場合は,起動条件(5)成立によって,「起動条件待ち」から「保留中」に遷移します。

図3-72 多重起動できる場合の実行保留の動作(2/2)

[図データ]

保存世代数の設定によって異常終了世代が削除されたあとに起動条件(4)が成立した場合も,実行世代4は「起動条件待ち」から「保留中」に遷移します(次の図参照)。

図3-73 異常終了世代が削除された場合の実行保留の動作

[図データ]

サービス再起動(クラスタ系切り替えも含む)後は,その時点で存在する終了世代をサーチし,異常終了世代があれば,起動条件成立時に「起動条件待ち」から「保留中」に遷移します。

上の図で,起動条件(2),(3)成立の間にサービスが再起動した場合は,起動条件(3)成立時に,実行世代3は「起動条件待ち」から「保留中」に遷移します。

起動条件(3),(4)成立の間にサービスが再起動した場合は,起動条件(4)成立時に,実行世代4は「起動条件待ち」から「実行中」に遷移します。

異常終了したあとのジョブネットが保留中になるため,任意のタイミングで保留を解除して運用を再開できます。

(2) 監視停止

実行中の世代が異常終了すると,監視中の世代が「監視打ち切り終了」となります。異常終了したあとに監視を継続したくない場合に有効です。

ジョブネットが多重起動できるかどうか,およびジョブネットが異常終了したあとに起動条件が成立したジョブが前回の世代の終了を待っているかどうかによって動作が異なります。

(a) 多重起動できないジョブネットの場合

(i)前回世代の終了待ちがない
多重起動できないジョブネットが異常終了したときに,その世代の実行終了を待っていた起動条件成立済みの世代がなかった場合について説明します。この場合の監視停止の動作について次の図に示します。
実行世代1が異常終了すると,監視世代が「監視中」から「監視打ち切り終了」に遷移します。起動条件成立待ちしている実行世代2は世代が消滅します。

図3-74 多重起動できないジョブネットで前回世代の終了待ちがない場合の監視停止の動作

[図データ]

(ii)前回世代の終了待ちがある
多重起動できないジョブネットが異常終了したときに,その世代の実行終了を待っていた起動条件成立済みの世代があった場合について説明します。この場合の監視停止の動作について次の図に示します。
実行世代1が異常終了すると,監視世代が「監視中」から「監視打ち切り終了」に遷移します。異常終了する前に起動条件(2),(3)がすでに成立している場合,異常終了世代の次に実行開始される実行世代2は,「起動条件待ち」から「保留中」に遷移します。それ以降の実行世代3はすでに起動条件が成立していますが,多重起動できないジョブネットであり,前回世代が終了していないため,「起動条件待ち」のままになります。起動条件成立待ちしている実行世代4は世代が消滅します。

図3-75 多重起動できないジョブネットで前回世代の終了待ちがある場合の監視停止の動作

[図データ]

(b) 多重起動できるジョブネットの場合

多重起動できる場合の監視停止の動作について次の図に示します。

実行世代1が異常終了すると,監視世代が「監視中」から「監視打ち切り終了」に遷移します。異常終了した世代と多重実行している実行世代2は,そのまま実行を継続します。起動条件成立待ちしている実行世代3は世代が消滅します。

図3-76 多重起動できるジョブネットの場合の監視停止の動作

[図データ]

(3) 運用回復手順

起動条件を設定したジョブネットで異常終了となり,以降のジョブネットを実行抑止した場合の運用回復手順を説明します。

(a) [実行保留]−[多重起動不可能]の場合

  1. 異常の原因を解決後,異常終了しているジョブネットを再実行させるか,ジョブ状態変更で正常終了,または警告検出終了に状態遷移させる。
  2. 異常終了していた次の世代の保留を解除する。
    保留を解除して実行したジョブネットが終了すると,以降の起動条件待ちのジョブネットが順次実行されます。

    [図データ]

(b) [実行保留]−[多重起動可能]の場合

  1. 異常の原因を解決後,異常終了しているすべてのジョブネットを再実行させるか,ジョブ状態変更で正常終了,または警告検出終了に状態遷移させる。
  2. 異常終了したジョブが状態遷移したあと,保留中となっているすべての世代を保留解除する。

    [図データ]

(c) [監視停止]−[多重起動不可能]−[前回世代の終了待ちがある]の場合

  1. 異常の原因を解決後,異常終了しているすべてのジョブネットを再実行させるか,ジョブ状態変更で正常終了,または警告検出終了に状態遷移させる。
  2. 保留中となっている世代を保留解除する。
    保留を解除して実行したジョブネットが終了すると,以降の起動条件待ちのジョブネットが実行されます。

    [図データ]

(d) [監視停止]−[多重起動不可能]−[前回世代の終了待ちがない]または[監視停止]−[多重起動可能]の場合

  1. 異常の原因を解決後,異常終了しているすべてのジョブネットを再実行させるか,ジョブ状態変更で正常終了,または警告検出終了に状態遷移させる。

    [図データ]

(4) 補足事項

[目次][前へ][次へ]


[他社商品名称に関する表示]

Copyright (C) 2006, 2010, Hitachi, Ltd.
Copyright (C) 2006, 2010, Hitachi Software Engineering Co., Ltd.