JP1/Integrated Management - Service Support システム構築・運用ガイド
近年,IT技術の進歩は著しく,企業ビジネスでのIT資産の活用は,必要不可欠なものとなっています。ハードウェアやソフトウェア,それらをつなぐネットワークといったITシステムは急速に普及し,年々大規模化・複雑化しています。これに合わせ,企業ビジネスやサービスの遂行を支援するために,ITシステムの運用を,投資するコストに見合った品質で管理するITサービス管理という考え方があります。
ITサービス管理とは,ITシステムの管理に加え,システムを利用するユーザーとの関係,運用に携わるスタッフやリソースまでをプロセス(一つの活動)として管理する考え方です。
ITILでは,ITサービス管理の中心となるプロセスを,サービスサポートおよびサービスデリバリというカテゴリーで定義しています。サービスサポートは,システムを利用しているユーザーからの問い合わせやシステム障害など,日々発生する問題をどのように素早く対処していくかを目指しているものです。サービスデリバリは,一貫したサービスを中長期にわたり,ユーザーに提供することを目指しているものです。ここでは,サービスサポートについて詳しく説明していきます。
通常,ITシステムの日々の運用では,システムを利用するユーザーからの問い合わせやシステム障害に対し,迅速な対応が求められます。しかし,回避策を早急に提示する必要がある一方で,根本原因の究明と,必要に応じてシステム変更などの抜本的な対策を立てる必要もあります。これらを単一部署で実施しようとすると,かえって無理が生じ,対応の遅れが発生する要因となることがあります。
作業の効率化,アウトプットの迅速化を図るため,ユーザーへの回避策を提示するプロセス,根本原因を調査,解決策を提示するプロセス,システムの変更の審議,計画立案をするプロセスなど,作業内容に合わせてプロセスを分け,問題を解決する手法があります。
ITILに当てはめると次の図のようになります。
図1-1 ITILサービスサポートでの作業の概要
ITILで定義されている各プロセスについて次に説明します。
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