JP1/Base 運用ガイド
この節では,クラスタ運用に関する注意事項をOS共通,Windows限定,およびUNIX限定の注意事項に分けて説明します。
- <この節の構成>
- (1) OS共通の注意事項
- (2) Windows限定の注意事項
- (3) UNIX限定の注意事項
(1) OS共通の注意事項
- クラスタシステムでJP1/Baseのセットアップをする場合は,物理ホストおよび既存の論理ホストで動作しているJP1/Baseのサービスを必ず停止させてください。物理ホストおよび既存の論理ホストのJP1/Baseを停止しないままセットアップをした場合,論理ホストのサービスが正常に動作しなくなります。この場合は,サーバを再起動して,回復してください。
- クラスタ運用をするシステムでユーザーアプリケーションなどからイベントを発行する場合は,jevsendコマンドを使用し,-sオプションでイベントサーバ名を指定してください。これによって,発行されたイベントがフェールオーバー時に実行系から待機系に引き継がれます。
- JP1/Baseのイベントデータベースおよびコマンド実行履歴ファイル(ISAM)の二重化は支援していません。ミラーディスク,RAIDディスクなどを利用して,ディスクシステム自体で信頼性を確保してください。
- クラスタ運用をする場合,イベントサーバ設定ファイル(conf)のoptionsパラメーターにsyncを指定してください。通常,プログラムからのディスク書き込みは,処理の性能を向上させるためにオペレーティングシステムがメモリー上でバッファリングを実行し,遅延書き込みしています。このため,電源異常やオペレーティングシステムの障害のためにシステムが急停止するような場合,ディスクに書き込んだはずのデータが消失することがあります。イベントサービスは,このバッファリングを抑止するとデータの消失を防止します。optionパラメーターにno-syncを指定したり,sync,no-syncのどちらも指定しない場合,データ消失のおそれがあります。
- クラスタシステムで多重起動をする場合,多重起動する論理ホストの数だけ,システムのリソースが必要となります。
- JP1/Baseで提供するログファイルトラップ機能は,論理ホスト単位での起動はできません。物理ホスト上で動作し,物理ホストおよび論理ホストから処理要求を受け付けます。
- クラスタシステムでJP1/Baseを物理ホストでも運用する場合,物理ホストのイベントサービスの設定をIPアドレス指定方式に変更する必要があります。実行系,待機系それぞれのイベントサーバ設定ファイル(conf)を編集して,portsパラメーターに指定するアドレスを,自ホスト名または自ホストのIPアドレスに変更してください。物理ホストのイベントサービスでは,デフォルトで「0.0.0.0」となっていますが,この設定のイベントサービスと論理ホストのイベントサービスは同時に起動できません。イベントサーバ設定ファイル(conf)の詳細については,「6.4.2 イベントサーバ設定ファイル(conf)の詳細」を参照してください。
- 認証サーバがフェールオーバーによって切り替わった場合,関連プログラムは次のように動作します。
- JP1/IM
- 通信障害が発生し,フェールオーバー後に回復する。
JP1/IMおよびJP1/AJS2の動作に問題がある場合は,認証サーバをクラスタシステム以外の場所に設置しておくことで回避できます。
- JP1/AJS2
- 通信障害が発生し,フェールオーバー後に再ログインが必要となる。
- JP1/Baseのログファイルトラップ機能を使って共有ディスク上のファイルを監視する場合,ファイル監視中は,その共有ディスクを常にアクセスできるように割り当てたままにしてください。ファイル監視中に共有ディスクの割り当て状態を変更すると,共有ディスクの割り当てや割り当て解除の制御に失敗したり,監視処理がエラーになったりするなどの問題が生じるおそれがあります。
- コマンド実行履歴ファイル(ISAM)のデータ消失を防止するために,jcocmddefコマンドで-flushオプションにONを設定して,実行履歴を1行ごとに書き込みを行う処理を有効にしてください。jcocmddefコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager リファレンス」を参照してください。
(2) Windows限定の注意事項
- JP1/Baseで提供するイベントログトラップ機能は,論理ホスト単位での起動はできません。物理ホスト単位での起動となります。
- 論理ホストの認証サーバの設定およびJP1ユーザーの登録を行う場合,必ず実行系のホストで操作をしてください。また,JP1ユーザーの登録を行う場合は,必ず論理ホストのサービスを起動してから行ってください。
- クラスタ環境の実行系の定義を退避するときにjbsgetcnfコマンドに指定する論理ホスト名には,論理ホストを定義したときに指定した大文字・小文字が同じになるように指定してください。
誤って異なる指定をした場合は,論理ホストを削除してから再度設定をしてください。
- 論理ホストを削除する場合は,該当するホストのJP1/BaseおよびJP1/Baseを前提とする製品(JP1/IM,JP1/AJS2,およびJP1/Power Monitor)のサービスを停止してから,削除してください。サービスを停止しないまま削除した場合は,次のどちらかの方法でサービスを削除します。
- 同じ論理ホストを作成し,その後論理ホストを削除する。
- JP1/Baseをアンインストールする。
- 自ホスト名と同じホスト名を指定して論理ホストを作成した場合,論理ホストを削除すると,物理ホストの「JP1/Base Event」サービスが削除されます。次に示すコマンドを実行して回復してください。
jevregsvc -r- JP1/Baseのサービスが起動,または停止できない場合,JP1/Baseのプロセスが残っていることがあります。このような場合には,システムを再起動してください。
- 物理ホストでJP1/Baseを使用しなくても,JP1/Base LogTrapサービスは論理ホストの処理のために必要です。JP1/Base Control Serviceサービスを起動しない場合は,JP1/Base LogTrapサービスの起動を「自動」に設定してください。
- 論理ホスト上で動作するサービスに対して起動管理機能は利用できません。起動管理機能は,物理ホスト上のサービスに対してだけ利用できます。論理ホスト上のサービスの起動管理には,クラスタソフトを利用してください。
(3) UNIX限定の注意事項
- クラスタシステムの環境設定をしたあとで,論理ホストで使用する言語種別を変更する場合,次の手順で設定を変更してください。なお,次の手順を実行する前にJP1/Baseおよび関連プログラムを終了する必要があります。
- 変更する論理ホストが使用する共有ディスク上に作成した共有ファイルjp1bs_env.confの言語種別を変更する。
変更手順については,「2.3.5(2) 言語種別の設定」を参照してください。
- viなどのエディターでテキストファイルを作成する。
ここでは,日本語EUCコードに設定する例を示します。
[論理ホスト名\JP1BASE\]
"LANG"="EUCJIS"
最後の行にも改行を入れてください。
- エディターで作成した上記テキストファイルを保存する。
任意の名前でかまいませんが,ここでは,"baselang.conf"にしておきます。
- スーパーユーザー権限で次に示すコマンドを実行する。
/opt/jp1base/bin/jbssetcnf baselang.conf
- 論理ホスト対応のJP1/Baseサービスの停止を行っても,JP1/Baseのプロセスが終了しないことがあります。このような場合に,強制的にプロセスを終了させたいときは,jbs_killall.clusterコマンドを使用してください。なお,このコマンドを使ったプロセスの強制終了は,正規の方法でJP1/Baseのプロセスを終了できない場合にだけ使用してください。jbs_killall.clusterコマンドの詳細については,「13. コマンド」の「jbs_killall.cluster(UNIX限定)」を参照してください。
- 停止処理時にも監視を行うクラスタシステムでは,JP1/Base(イベントサービスやユーザー管理機能を含むプロセス管理機能)を終了するコマンドを下記の手順で変更してください。
cd /etc/opt/jp1base
cp -p jbs_stop.cluster.retry.model jbs_stop.cluster
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