JP1/Base 運用ガイド
JP1/Baseをクラスタシステムで実行するには,物理ホスト環境(実行系および待機系),論理ホスト環境(実行系および待機系)のセットアップが必要です。セットアップの流れを次に示します。
- <この項の構成>
- (1) 実行系での作業
- (2) 待機系での作業
- (3) ワトソン博士によるエラー通知を抑止する(実行系・待機系)
- (4) Microsoftへのエラー報告を抑止する(実行系・待機系)
(1) 実行系での作業
ここでは,実行系の物理ホスト,および論理ホストの設定手順について説明します。
- 物理ホストのユーザー管理機能を設定する(物理ホストで認証サーバを運用する場合)。
物理ホストで認証サーバを運用する場合に設定します。ユーザー管理機能の設定については,「4.2 ユーザー管理機能の設定(Windowsの場合)」を参照してください。
- 物理ホストのイベントサーバ設定(conf)の設定を変更する。
イベントサービスの通信方式(portsパラメーター)とJP1イベントの転送のリトライ期限(forward-limitパラメーター)の設定を変更します。
portsパラメーターに,物理ホストが使用するIPアドレス,または物理ホスト名を指定します。
フェールオーバー中はイベントサービスが停止するため,フェールオーバー中に転送失敗となったJP1イベントを再度転送するために,forward-limitパラメーターでリトライ期限を指定します。デフォルトでは,3,600秒の間リトライを行います。
イベントサーバ設定ファイル(conf)の格納先を次に示します。
パラメーターの設定例を次に示します。
インストール先フォルダ\conf\event\servers\default\
イベントサーバ設定ファイル(conf)の詳細については,「6.4.2 イベントサーバ設定ファイル(conf)の詳細」を参照してください。
ports 物理ホストのIPアドレス jp1imevt jp1imevtapi forward-limit 3600
- インストール先フォルダ\bin\jp1bshasetup.exeを実行する。
[Baseクラスタ構成の設定]ダイアログボックスが表示されます。
- [実行系 論理ホストの設定]ボタンをクリックする。
[実行系 論理ホストの設定]ダイアログボックスが表示されます。
このダイアログボックスで,情報を作成する論理ホスト名,および共有フォルダ,共有ファイルを作成する共有ディスク上のフォルダを指定します。
「指定したフォルダ名\jp1base\」フォルダ下に,共有フォルダおよび共有ファイルが作成されます。なお,この指定をする前に,必ず共有ディスクをマウントしておいてください。
- [次へ]ボタンをクリックする。
次に示すダイアログボックスが表示されます。
このダイアログボックスで,設定内容を確認できます。設定内容が正しければ,[完了]ボタンをクリックしてください。
以上で,イベントサービスの通信方式の設定以外の設定が完了します。
- 論理ホストの認証サーバを設定する。
論理ホストには,物理ホストで設定されている認証サーバが設定されます。物理ホストと異なる認証サーバを設定する場合,GUIで設定してください。詳細については,「4.2.1 使用する認証サーバを指定する」を参照してください。
- 論理ホストのユーザー管理機能の設定をする。
論理ホストで認証サーバを運用する場合に設定します。GUIで設定する場合は,次に示す手順で表示されるGUIで設定してください。
1. Windowsの[スタート]メニューから[プログラム]−[JP1_Base]−[環境設定]を選択する。
2. [論理ホスト名の選択]ダイアログボックスでユーザー管理機能の設定をしたい論理ホストを選択する。
コマンドを使って設定する場合は,次に示す方法で設定してください。
- JP1ユーザーを共通定義情報に登録する(論理ホストを認証サーバとして使用する場合だけ)
認証サーバが起動していることを確認したあと,次に示すコマンドを実行して登録します。
jbsadduser -h 論理ホスト名 JP1ユーザー名
登録したJP1ユーザーを確認したい場合は次のコマンドを実行します。
jbslistuser -h 論理ホスト名
- ユーザーマッピングの情報を共通定義情報に登録する。
ユーザーマッピング定義ファイル(jp1BsUmap.conf)の格納先を次に示します。
共有フォルダ\jp1base\conf\user_acl\jp1BsUmap.conf
ユーザーマッピング定義ファイルの編集後,次のコマンドを実行して登録します。
jbsmkumap -h 論理ホスト名
登録したユーザーマッピング情報を確認したい場合は,次に示すコマンドを実行します。
jbsgetumap -h 論理ホスト名
- 各物理ホスト上の共通定義情報を一致させる。
上記の設定が完了したあと,「10.3.5 共通定義情報変更時の作業」に記述されている操作をして,各物理ホスト上の情報を一致させます。
- JP1ユーザーの操作権限を設定する(論理ホストを認証サーバとして使用する場合だけ)
ユーザー権限レベルファイル(JP1_UserLevel)の格納先を次に示します。
共有フォルダ\conf\user_acl\JP1_UserLevel
ユーザー権限レベルファイルの編集後,jbsaclreloadコマンドを実行して設定を反映します。
- ユーザー管理機能の設定詳細については,「4.2 ユーザー管理機能の設定(Windowsの場合)」を参照してください。
- 認証サーバをクラスタシステムで運用する場合の注意事項
- 認証サーバの設定ファイルは次のフォルダに格納されます。
- 共有フォルダ\jp1base\conf\user_acl\
- セカンダリー認証サーバを設置する場合は,プライマリー認証サーバの設定ファイルをセカンダリー認証サーバへコピーする必要があります。その際,セカンダリー認証サーバをクラスタ運用するかしないかで,設定ファイルのコピー先が異なるため注意が必要です。
- クラスタ運用する場合のコピー先
- 共有フォルダ\jp1base\conf\user_acl\
- クラスタ運用しない場合のコピー先
- インストール先フォルダ\conf\user_acl\
- 設定ファイルをコピーしたあとに,次のコマンドを実行して設定を反映させてください。セカンダリー認証サーバをクラスタ運用しない場合は,-hオプションの指定は不要です。
- jbs_spmd_reload -h 論理ホスト名
- 論理ホストのイベントサーバ設定(conf)を変更する。
イベントサービスの通信方式(portsパラメーター)とJP1イベントの転送のリトライ期限(forward-limitパラメーター)の設定を変更します。
portsパラメーターに,論理ホストが使用するIPアドレス,または論理ホスト名を指定します。
フェールオーバー中はイベントサービスが停止するため,フェールオーバー中に転送失敗となったJP1イベントを再度転送するために,forward-limitパラメーターでリトライ期限を指定します。デフォルトでは,3,600秒の間リトライを行います。
イベントサーバ設定ファイル(conf)の格納先を次に示します。
パラメーターの設定例を次に示します。
共有フォルダ\jp1base\event\
イベントサーバ設定ファイル(conf)の詳細については,「6.4.2 イベントサーバ設定ファイル(conf)の詳細」を参照してください。
ports 論理ホストのIPアドレス jp1imevt jp1imevtapi forward-limit 3600
以上で,JP1/Baseの実行系での作業は完了です。
JP1/Baseを前提とする製品(JP1/IM,JP1/AJS2,およびJP1/Power Monitor)をインストールしている場合は,各製品のフェールオーバーの設定をしてください。詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager システム構築・運用ガイド」,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド」,およびマニュアル「JP1/Power Monitor」を参照してください。
(2) 待機系での作業
待機系での作業は,実行系でのJP1/BaseおよびJP1/Baseを前提とする製品(JP1/IM,JP1/AJS2,およびJP1/Power Monitor)の作業を完了したあとで行います。
ここでは,待機系の物理ホスト,および論理ホストの設定手順について説明します。
- 物理ホストのユーザー管理機能を設定する(物理ホストで認証サーバを運用する場合)。
物理ホストで認証サーバを運用する場合に設定します。ユーザー管理機能の設定については,「4.2 ユーザー管理機能の設定(Windowsの場合)」を参照してください。
- 物理ホストのイベントサーバ設定(conf)の設定を変更する。
イベントサービスの通信方式(portsパラメーター)とJP1イベントの転送のリトライ期限(forward-limitパラメーター)の設定を変更します。
portsパラメーターに,物理ホストが使用するIPアドレス,または物理ホスト名を指定します。
フェールオーバー中はイベントサービスが停止するため,フェールオーバー中に転送失敗となったJP1イベントを再度転送するために,forward-limitパラメーターでリトライ期限を指定します。デフォルトでは,3,600秒の間リトライを行います。
イベントサーバ設定ファイル(conf)の格納先を次に示します。
パラメーターの設定例を次に示します。
インストール先フォルダ\conf\event\servers\default\
イベントサーバ設定ファイル(conf)の詳細については,「6.4.2 イベントサーバ設定ファイル(conf)の詳細」を参照してください。
ports 物理ホストのIPアドレス jp1imevt jp1imevtapi forward-limit 3600
- 実行系でjbsgetcnfコマンドを実行する。
実行系で次に示す操作を行ってください。
退避ファイル内に共通定義情報が格納されます。
jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 退避ファイル名
- 待機系でjbssetcnfコマンドを実行する。
待機系で次に示す操作を行ってください。
なお,指定する退避ファイルは,jbsgetcnfコマンドで採取した退避ファイルです。
jbssetcnf 退避ファイル名
- インストール先フォルダ\bin\jp1bshasetup.exeコマンドを実行する。
[Baseクラスタ構成の設定]ダイアログボックスが表示されます。
- [待機系 論理ホストの設定]ボタンをクリックする。
[待機系 論理ホストの設定]ダイアログボックスが表示されます。このダイアログボックスで,実行系で設定した論理ホスト名を選択します。
- [次へ]ボタンをクリックする。
選択した論理ホストの設定内容が表示されます。
このダイアログボックスで,設定内容を確認できます。設定内容が正しければ,[完了]ボタンをクリックしてください。
以上で,設定が完了します。
(3) ワトソン博士によるエラー通知を抑止する(実行系・待機系)
ワトソン博士でアプリケーションエラーのメッセージボックスが表示されると,フェールオーバーできないおそれがあるため,メッセージボックスによるエラーの通知を抑止する必要があります。
エラーの通知を抑止すると,アプリケーションエラーが発生した際の情報取得に影響が出る場合があるためご注意ください。
ワトソン博士によるエラー通知を抑止する手順を次に示します。
- ワトソン博士の設定を有効にするため,コマンドプロンプトで「drwtsn32 -i」を入力する。
ワトソン博士が既定のアプリケーションデバッガとしてインストールされます。
- スタートメニューから[ファイル名を指定して実行]を選択する。
- テキストボックスに「drwtsn32」と入力し,[OK]ボタンをクリックする。
[ワトソン博士]ダイアログボックスが開きます。
- [メッセージボックスによる通知]のチェックを外す。
- [OK]ボタンをクリックする。
(4) Microsoftへのエラー報告を抑止する(実行系・待機系)
Windows Server 2003では,アプリケーションエラーが発生すると,Microsoftへエラーを報告するダイアログボックスが表示されます。このダイアログボックスが表示されるとフェールオーバーできないおそれがあるため,エラー報告を抑止する必要があります。
Microsoftへのエラー報告を抑止する手順を次に示します。
- コントロールパネルの「システム」を選択する。
[システムのプロパティ]ダイアログボックスが開きます。
- [詳細設定]タブの[エラー報告]ボタンをクリックする。
[エラー報告]ダイアログボックスが開きます。
- 「エラー報告を無効にする」のラジオボタンを選択したあと,「重大なエラーが発生した場合は通知する」のチェックを外す。
- [OK]ボタンをクリックする。
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