JP1/Base 運用ガイド

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1.10.1 推奨する通信方式

JP1/Baseでは,通信でのバインド方式として次に示すバインド方式を推奨しています。

物理ホストだけでJP1/Baseを運用する場合:ANYバインド方式
ANYバインド方式では,IPアドレスを意識しないでポート番号だけを利用して通信を行います。通信の待ち受け処理では,ホストに割り当てられているすべてのIPアドレスあてにきたデータを受信できます。接続処理では,ホストが複数のサブネットを利用している場合でも,すべてのサブネット上のホストにデータを送信できます。
クラスタ運用する場合にANYバインド方式にすると,物理ホストあてのデータを論理ホストで受信したり,論理ホストあてのデータを物理ホストで受信したり,正しく通信できないおそれがあります。

論理ホストを使用する(クラスタ運用する)場合:IPバインド方式
IPバインド方式では,一つのNIC(Network Interface Card)に複数のIPアドレスが割り当てられていているときや,1台のホストにNICが複数あるときなど,ホストが使用するIPアドレスが複数ある場合でも,特定のIPアドレスあてにきたデータだけを受信できます。また,接続処理では,特定のIPアドレスを使用しているNICだけを経由します。
クラスタ運用する場合,1台のホストに物理ホストと論理ホストが混在したり,複数の論理ホストを同時に起動したりすることがあります。このような場合でも,物理ホスト・論理ホストそれぞれのIPアドレスあてにきたデータだけを受信します。

通信方式は,デフォルトではANYバインド方式が設定されています。クラスタ運用する場合は,次に示すクラスタシステム用の設定をしたときに,物理ホストと論理ホストの両方でIPバインド方式が設定されます。

Windowsの場合:GUI(jp1bshasetup.exe)でクラスタシステム用の設定をしたとき。

UNIXの場合:コマンド(jp1base_setup_clusterコマンド)でクラスタシステム用の設定をしたとき。

注意事項
いったんクラスタシステム用の設定をしたホストでは,論理ホストをすべて削除しても物理ホストの通信方式はANYバインド方式に戻りません。物理ホストだけの運用に戻したい場合は,「11.3.3 通信方式を変更する」を参照して,通信方式をANYバインド方式に戻してください。

一例として,JP1/Baseの通信方式が,ANYバインド方式だった場合とIPバインド方式だった場合で通信の待ち受け処理がどう変わるのか図を使って説明します。

まず,JP1/Baseの通信方式が,ANYバインド方式だった場合の通信の待ち受け処理を次の図に示します。

図1-15 hostAのJP1/BaseがANYバインド方式で起動した場合の待ち受け処理

[図データ]

hostAのNICにはIPアドレス10.0.0.10と10.0.0.11が割り当てられています。なお,hostA自体は自分のホスト名から10.0.0.10でしかIPアドレスの解決ができないと仮定します(実際にOSによっては,一つのホスト名から一つのIPアドレスしか解決できないものがあります)。また,hostXではhostAはIPアドレス10.0.0.10で解決され,hostYではhostAはIPアドレス10.0.0.11で解決されるとします。

hostAでJP1/BaseがANYバインド方式で起動した場合,hostXからもhostYからもデータを受け取ることができます。ANYバインド方式の場合,IPアドレスを意識せずにポート番号だけを利用して通信をするため,10.0.0.10あてにきたデータも10.0.0.11あてにきたデータも受け取ることができます。

次に,JP1/Baseの通信方式が,IPバインド方式だった場合の待ち受け処理を次の図に示します。

図1-16 hostAのJP1/BaseがIPバインド方式で起動した場合の待ち受け処理

[図データ]

hostAでJP1/BaseがIPバインド方式で起動した場合,10.0.0.10あてにきたデータだけをJP1/Baseは受け取り,10.0.0.11あてにきたデータを認識できません。これはhostAが,ポート番号が同じでもIPアドレスのあて先が自分と異なるものは受け付けないよう動作するためです。

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