SEWB+/REPOSITORY 辞書設計ガイド
ここでは,辞書の環境設定の内容について説明します。なお,辞書の環境は,運用を開始した後でも必要に応じて変更できます。この場合は,環境構築ユティリティで環境を変更した後,クライアントのリポジトリブラウザを再起動してください。リポジトリに作成されている,すべての辞書フォルダの環境が変更されます。
- <この項の構成>
- (1) 国語区分を設定する
- (2) 言語区分を設定する
- (3) 定義項目のフィールドの属性を設定する
- (4) フィールドの名称を設定する
- (5) ユーザ定義のタイプを追加する
- (6) 分類区分とタイプの対応を変更する
- (7) タイプのけた数の範囲を変更する
- (8) タイプの組み合わせを変更する
- (9) タイプに対するレコード生成キーワードを編集する
- (10) 検査項目を定義する
- (11) 命名ルールを定義する
- (12) GUI属性を設定する
- (13) データ項目名・業務ルール名の一意性チェック範囲を設定する
プロジェクトで使用する各国語の名称を,国語区分に設定します。国語区分の名称は,4種類まで設定できます。国語区分「日本語」及び「英語」が標準に設定されています。
新しい国語区分の名称を付けるときは,「未設定n」の名称を変更します。
なお,標準に設定されている国語区分の設定順序は,SEWB+/REPOSITORYで参照されます。変更しないよう留意してください。
アプリケーションの開発に使用するプログラミング言語の名称を,言語区分に設定します。言語区分の名称は,10種類まで設定できます。次に示す言語区分が標準に設定されています。
- COBOL又はOOCOBOL…COBOL言語とOOCOBOL共通の言語区分
- C又はC++…C言語とC++共通の言語区分
- SQL…SQL言語の言語区分
- IDL(CORBA)…CORBAのIDLの言語区分
- 帳票定義…SEWB+/EUR Professional Editionで作成するレポートのフィールド定義情報を設定するための言語区分
- Java…Javaの言語区分
新しい言語区分の名称を付けるときは,「言語n」の名称を変更します。また,SQL言語を「HiRDBのSQL言語の言語区分」にするには,標準に設定されている分類区分とタイプの対応をカスタマイズする必要があります。カスタマイズの詳細については,「表2-8 分類区分とタイプの対応のカスタマイズ例(言語区分SQLのタイプをHiRDBとして使用する場合)」を参照してください。
なお,標準に設定されている言語区分の設定順序は,SEWB+/REPOSITORYやSEWB+/CONSTRUCTIONなどの辞書を利用するSEWB+ツールから参照されます。設定順序を変更しないよう留意してください。
(3) 定義項目のフィールドの属性を設定する
リポジトリブラウザでの定義項目の文字数の上限(テキストボックスのフィールド長)を変更します。変更できる定義項目,標準に設定されている値,及び設定範囲については,「2.4.1 データ項目に定義する情報」又は「2.6.1 業務ルールに定義する情報」を参照してください。
継承関係を定義したとき,データ項目の各定義項目の情報を,下位のデータ項目にどのように継承するかを継承モードで設定します。この設定は,リポジトリブラウザでのデータ項目の操作,及びコマンドを使ったCSV形式ファイル(標準フォーマット)の入出力時に反映されます。
データ項目及び業務ルールの定義項目「フィールド」の名称を変更して,プロジェクト独自の名称を付けます。また,リポジトリブラウザに表示するフィールドを設定します。標準に設定されている値,及び設定範囲については,「2.4.1 データ項目に定義する情報」又は「2.6.1 業務ルールに定義する情報」を参照してください。
標準で用意されているタイプに加えて,プロジェクトに応じたユーザ定義のタイプを登録できます。例えば,言語区分「COBOL又はOOCOBOL」で使用するタイプとして,「J 右寄せ英数字項目」を追加登録できます。
追加したユーザ定義のタイプについては,分類区分との対応付けやけた数の範囲など,タイプに関する設定をしてください。
ユーザ定義のタイプは,削除することもできます。ただし,ユーザ定義のタイプを削除するには,そのタイプが分類区分のデフォルトタイプではなく,さらに,リポジトリ内で使用されていない(データ項目の定義に使用されていない)ことが必要です。ユーザ定義のタイプを削除すると,そのタイプに関する分類区分の対応付けなどの設定も削除されます。
- 注
- エクスポート・インポート機能を使用するような,複数のSEWB+/REPOSITORYサーバを使用する環境で言語別タイプを追加する場合には,エクスポート・インポート機能で言語別タイプ(データ項目,業務ルール辞書の環境情報)も配布してください。また,それぞれのSEWB+/REPOSITORYサーバで言語別タイプを追加するのではなく,言語別タイプを追加するSEWB+/REPOSITORYサーバを決めて管理するようにしてください。
プロジェクトに応じて,分類区分に対応するタイプを変更します。プロジェクトで使用するユーザ定義のタイプを追加したり,標準で設定されているタイプのうち使用しないものを削除したりします。また,タイプの初期値(デフォルトタイプ)を設定することもできます。
例えば,COBOLでアプリケーションを開発するプロジェクトで浮動小数点データ形式を扱わないとき,分類区分「整数データ」に対応するタイプから「E 外部浮動小数点項目」及び「D 内部浮動小数点項目」を除きます。
標準に設定されている分類区分とタイプの対応については,「2.4.1 データ項目に定義する情報」を参照してください。
検査でチェックされるけた数の範囲は,あらかじめ各プログラミング言語の仕様に基づいて設定されています。さらにプロジェクト固有の制限を設けたい場合には,けた数の上限値と下限値を設定して範囲を変更します。
標準に設定されているタイプに対応するけた数については,「2.4.1 データ項目に定義する情報」を参照してください。
言語間でデータの形式を表すタイプの整合性を保つため,「COBOL又はOOCOBOL」,「C又はC++」,「SQL」,「IDL(CORBA)」,「帳票定義」,「Java」のタイプの組み合わせが標準に設定されています。例えば,「COBOL又はOOCOBOL」のタイプ「X 英数字項目」に着目した場合,次の組み合わせが規則に従って設定されています。
- 規則
- 「COBOL又はOOCOBOL」のタイプ「X 英数字項目」は分類区分「英数字文字列データ」,「英数字項目」,「日付データ」に対応しています。「COBOL又はOOCOBOL」と「C又はC++」間のデータ形式を表すタイプの整合性を保つために,「C又はC++」の分類区分「英数字文字列データ」,「英数字項目」,「日付データ」に対応するタイプが標準に設定されています。つまり,「C又はC++」のタイプ「char 文字型」,「char* 文字型(ポインタ)」が設定されています。分類区分とタイプの対応については「2.4.1(3)(a) 分類」を参照してください。
- ほかの「言語区分」と「タイプの種類」に対する標準に設定されているタイプの組み合わせも,同様に,この規則に従っています。ただし,分類区分の「分類なし」は標準のタイプの組み合わせには設定されていません。
必要に応じて,整合性を取るタイプの組み合わせを変更してください。
また,言語区分SQLのタイプをHiRDBとして使用する場合,標準に設定されているタイプの組み合わせを変更する必要があります。例えば「COBOL又はOOCOBOL」のタイプ「X 英数字項目」に着目した場合,次の組み合わせを設定します。
(9) タイプに対するレコード生成キーワードを編集する
レコード生成キーワードは,「COBOL又はOOCOBOL」及び「C又はC++」の言語別のタイプごとに,データ項目の定義情報を,どのようにソースコードに生成するかを指定するものです。SEWB+/CONSTRUCTIONでアプリケーション開発を始める前に,レコード生成キーワードの内容を確認し,必要であれば編集してください。ただし,この内容は SEWB+/CONSTRUCTIONでのすべてのプログラム生成及びレコード生成に有効になりますので,編集に際しては,あらかじめ十分な検討が必要です。
- レコード生成キーワードの内容
レコード生成キーワードは,プログラミング言語で規定されたデータの定義と,データ項目の定義情報を置換するための可変記号(@で始まる文字列)で記述されます。標準設定の内容を表3-1及び表3-2に示します。また,可変記号の生成規則を表3-3に示します。
表3-1 レコード生成キーワードの内容(COBOL又はOOCOBOL)
タイプ レコード生成キーワード X 英数字項目 @DATAITEM PIC X@LEN @OCCURS @VALUEZ 数字編集項目 @DATAITEM PIC @EDITCHAR @OCCURS @VALUEN 漢字項目 @DATAITEM PIC N@LEN @OCCURS @VALUE9 符号なし外部10進項目 @DATAITEM PIC 9@ILEN@DLEN @OCCURS @VALUES 符号付き外部10進項目 @DATAITEM PIC S9@ILEN@DLEN @OCCURS @VALUEU 符号なし内部10進項目 @DATAITEM PIC 9@ILEN@DLEN USAGE PACKED-DECIMAL @OCCURS @VALUEP 符号付き内部10進項目 @DATAITEM PIC S9@ILEN@DLEN USAGE PACKED-DECIMAL @OCCURS @VALUEBU 符号なし2進項目 @DATAITEM PIC 9@ILEN@DLEN USAGE BINALY @OCCURS @VALUEB 符号付き2進項目 @DATAITEM PIC S9@ILEN@DLEN USAGE BINALY @OCCURS @VALUEE 外部浮動小数点項目 @DATAITEM PIC @EDITCHAR @OCCURSD 内部浮動小数点項目 @DATAITEM @COMP @OCCURS @VALUE1 内部ブール項目 @DATAITEM PIC 1@LEN USAGE BIT @OCCURS @VALUE8 外部ブール項目 @DATAITEM PIC 1@LEN USAGE DISPLAY @OCCURS @VALUET アドレスデータ項目 @DATAITEM USAGE ADDRESS @OCCURS @VALUEフリー定義 @DATAITEM @FREE表3-2 レコード生成キーワードの内容(C又はC++)
タイプ レコード生成キーワード char 文字型 char @DATAITEM@OCCURS@LENchar* 文字型(ポインタ) char* @DATAITEM@OCCURSshort 符号付き短整数型 short @DATAITEM@OCCURSunsigned short 符号なし短整数型 unsigned short @DATAITEM@OCCURSint 符号付き整数型 int @DATAITEM@OCCURSunsigned int 符号なし整数型 unsigned int @DATAITEM@OCCURSlong 符号付き長整数型 long @DATAITEM@OCCURSunsigned long 符号なし長整数型 unsigned long @DATAITEM@OCCURSfloat 単精度浮動小数点型 float @DATAITEM@OCCURSdouble 倍精度浮動小数点型 double @DATAITEM@OCCURSlong double 拡張精度浮動小数点型 long double @DATAITEM@OCCURSフリー定義 @FREE @DATAITEM表3-3 可変記号の生成規則
可変記号 COBOL又はOOCOBOL C又はC++ @DATAITEM 言語別の名前※1 言語別の名前※1 @LEN けた数がnのとき「(n)」が生成される けた数がnのとき「[n+1]」が生成される
分類が日本語文字列データの場合,1文字を2バイトとして扱い「[n×2+1]」となる@PLEN けた数がnのとき「(n)」が生成される けた数がnのとき「[n]」が生成される
分類が日本語文字列データの場合,1文字を2バイトとして扱い「[n×2]」となる@ILEN けた数がm小数部けた数がnのとき「(m−nの値)」が生成される − @DLEN 小数部けた数がnのとき「V9(n)」が生成される − @OCCURS 反復回数がnのとき「OCCURS n」が生成される 反復回数がnのとき「[n]」が生成される @VALUE データ項目に初期値があるとき,「VALUE 初期値」が生成される※2 − @EDITCHAR 編集文字列 − @COMP タイプがDのとき,次のどちらかが生成される
「COMP−1」:けた数が1〜7の場合
「COMP−2」:けた数が8〜16の場合− @FREE フリー定義の内容 フリー定義の内容 (凡例) −:指定できません(何も生成されません)。
注1 可変記号は必ず大文字で記述してください。
注2 可変記号に対応するデータ項目の定義情報がない場合には,何も生成されません。
注※1 言語別の名前が定義されていない場合は,データ項目名と置換されます。
注※2 SEWB+/CONSTRUCTIONのテンプレートの@@expand文に@VALUEの指定がない場合には,生成されません。
- 日立製以外のCOBOL言語を使用する場合には
- 言語区分「COBOL又はOOCOBOL」 のレコード生成キーワードの内容は日立COBOLの文法に従って設定されています。日立製以外のCOBOL言語を使用する場合は,タイプごとにデータを定義する文法に相違がないか確認し,違いがあればレコード生成キーワードを変更してください。例えば,PICTURE句の日本語データを定義する文字が異なる場合,タイプ「N 漢字項目」のレコード生成キーワード「@DATAITEM PIC N@LEN @OCCURS」の「N」を目的の文字に変更します。
データ項目及び業務ルールの検査項目から,適用する検査項目を選びます。
(a) データ項目の検査項目
データ項目用に用意されているの各検査項目の内容を次に説明します。
- データ項目名の一意性チェック
データ項目名を重複して付けていないかどうかをチェックします。同じデータ項目名があると,リポジトリブラウザでのデータ項目の編集の操作が自動的に中断されます。
標準では,リポジトリの中での一意性がチェックされます。リポジトリの辞書フォルダをグループに分けて指定し,その中での一意性をチェックする設定もできます。詳細については,「(13) データ項目名・業務ルール名の一意性チェック範囲を設定する」を参照してください。
- 名称と命名ルールのマッチングチェック
データ項目名,国語別の標準名称,フリガナ,及び言語別の名前を,命名ルールに照らし合わせてチェックします。命名ルールの条件に従っていないと,エラーと判断されます。この検査項目を適用するには,あらかじめ命名ルールを定義しておく必要があります。命名ルールの定義については,「(11) 命名ルールを定義する」を参照してください。
- けた数とタイプの整合性チェック
けた数を,タイプに対応するけた数の範囲以内で定義しているかどうかをチェックします。範囲外のけた数を定義していると,エラーと判断されます。
- タイプの組み合わせチェック
データ項目には,言語共通の分類区分に対して,言語別にタイプを定義できます。この言語間のタイプの整合性をチェックします。組み合わせに従っていないと,エラーと判断されます。
- 初期値の記述チェック
標準提供の検査DLLを使用し,「COBOL又はOOCOBOL」及び「C又はC++」で言語別の初期値が各言語の文法に従って記述されているかどうかをチェックします。次に示すチェックの内容に従っていないと,エラーと判断されます。チェックの内容は分類区分に応じて異なります。
- 英数字文字列データ※1,時刻データ※1,日付データ※1
- 文字列の先頭と末尾を引用符で囲んでいるか
- 半角文字で記述しているか
- 記述した文字数が,けた数の定義内容を超えていないか
- 日本語文字列データ※1
- 日本語文字の先頭と末尾を引用符で囲んでいるか※2
- 記述した文字数が,けた数の定義内容を超えていないか
- 整数データ※1
- 整数値を記述しているか
- 記述した文字数が,けた数の定義内容を超えていないか
- 正整数データ※1
- 正の整数値を記述しているか
- 記述した文字数が,けた数の定義内容を超えていないか
- 実数データ※1
- 実数値を記述しているか
- 記述した文字数が,けた数,小数部けた数の定義内容を超えていないか
- 注 SEWB+/REPOSITORYの辞書の検査では,「COBOL又はOOCOBOL」ではアポストロフィ(')が,「C又はC++」ではダブルクォーテーション(")が引用符とみなされます。
- 注※1 「COBOL又はOOCOBOL」で記述した16進の定数,及び表意定数はチェックの対象になりません。また,浮動小数点項目のけた数もチェックの対象になりません。
- 注※2 「COBOL又はOOCOBOL」の場合,日本語文字定数を表す分離符(例:「N'日本語'」)はエラーになりません。
- 編集文字列の記述チェック
標準提供の検査DLLを使用し,「COBOL又はOOCOBOL」のタイプに「Z 数字編集項目」又は「E 外部浮動小数点項目」を定義したときに記述する編集文字列の定義内容について,次の項目をチェックします。
- 言語の文法に従って編集文字列を記述しているか
- 編集文字列の記述が,けた数の定義内容と一致しているか
- 構成項目の名前の重複チェック
結合項目だけを検査対象とします。
検査対象の結合項目を構成している構成項目の言語別詳細情報の名前が重複して付けられていないかどうかを言語区分ごとにチェックします。名前が重複して付けられていると,エラーと判断されます。構成項目が,更に結合項目でもある場合,その結合項目の構成項目についても,名前が重複して付けられていないかどうかをチェックします。このように構成項目が結合項目を兼ねている間は,同様にチェックを繰り返していきます。
なお,言語別詳細情報の名前が定義されていない構成項目に限り,データ項目名を代わりにチェックします。
業務ルール用に用意されている各検査項目の内容を,次に説明します。
- 業務ルール名の一意性チェック
業務ルール名を重複して付けていないかどうかをチェックします。同じ業務ルール名があると,リポジトリブラウザでの業務ルールの編集の操作が自動的に中断されます。
標準では,リポジトリの中での一意性がチェックされます。リポジトリの辞書フォルダをグループに分けて指定し,その中での一意性をチェックする設定もできます。詳細については,「(13) データ項目名・業務ルール名の一意性チェック範囲を設定する」を参照してください。
- 名称と命名ルールのマッチングチェック
業務ルール名,国語別の標準名称,フリガナを,命名ルールに照らし合わせてチェックします。命名ルールの条件に従っていないと,エラーと判断されます。この検査項目を適用するには,あらかじめ命名ルールを定義しておく必要があります。命名ルールの定義については,「(11) 命名ルールを定義する」を参照してください。
- ルールスクリプトのキーワード使用チェック
業務ルールに使用する各データ項目に定義したキーワードが,ルールスクリプトに記述されているかどうかをチェックします。記述されていない場合は,エラーと判断されます。
(c) 検査項目のカスタマイズ
標準で用意されている検査項目は,DLLとして登録されています。これに加えて,SEWB+/REPOSITORYでは,プロジェクト独自の基準を反映して検査DLLを作成,登録するためのインタフェースを提供しています。検査項目インタフェースと検査DLLの作成方法については,「付録E 検査項目インタフェース」を参照してください。
検査で適用する命名ルールの条件を選択して,辞書フォルダ単位で定義項目別に値を設定します。次の定義項目に対する命名ルールを定義できます。
- データ項目の名称…データ項目名,標準名称,フリガナ,言語別の名前
- 業務ルールの名称…業務ルール名,標準名称,フリガナ
例えば,辞書フォルダ「システム開発辞書」のデータ項目名,辞書フォルダ「社内向け辞書」の業務ルール名というように,辞書フォルダ単位で定義項目別に命名ルールを定義できます。プロジェクトの名称基準を基に命名ルールを定義することで,名称の標準化を図れます。
命名ルールには,複数の条件を組み合わせて設定します。次に示す条件が標準に用意されています。
- 最大長(バイト数)
名称の最大の長さを統一する値を設定します。例えば,特定の辞書フォルダのデータ項目名の長さについて,20バイト以内という基準を設定したいときに利用します。
- プリフィックス
名称のプリフィックス(接頭語)を設定します。例えば,辞書フォルダ「顧客管理システム辞書」のデータ項目名のプリフィックスを「KOKYAKU-」で統一するという基準を設定したいときに利用します。
- カナ文字以外の使用
カナ文字以外の使用を制限するかどうかを設定します。例えば,定義項目「フリガナ」の定義内容をチェックする場合に使用します。
(b) 条件のカスタマイズ
標準で用意されている命名ルールの条件は,DLLとして登録されています。これに加えて,SEWB+/REPOSITORYでは,プロジェクト独自の名称基準を反映して条件DLLを作成,登録するためのインタフェースを提供しています。命名ルールインタフェースと条件DLLの作成方法については,「付録D 命名ルールインタフェース」を参照してください。
GUI属性は,APPGALLERY Enterpriseを使ったアプリケーション開発で使用する部品(再利用性を高めるために機能単位に分割されたソフトウェア)のプロパティに関する設定です。APPGALLERY Enterpriseでリポジトリの資源を利用したアプリケーション開発をする場合には,開発を始める前に,GUI属性の内容を確認してください。開発の内容に応じて必要であれば,標準設定を変更したり,設定を追加します。
- GUI属性では,次の2種類の設定を管理しています。
- マッピング情報
- プロパティセット
APPGALLERY Enterpriseでは,部品に設定された動作や表示などに関する属性を「プロパティ」と呼びます。APPGALLERY Enterpriseでのアプリケーション開発では,部品のプロパティに値を設定したり参照したりしながら,目的とするGUIのオブジェクトを作成していきます。
SEWB+/REPOSITORYでGUI属性を一元管理し,アプリケーション開発に利用することで,GUI作成時のプロパティ設定作業を軽減でき,複数の開発者によるチーム開発でもGUIの統一を図れます。
APPGALLERY Enterpriseからマッピング情報とプロパティセットが利用される詳細については,マニュアル「APPGALLERY プログラマーズガイド」を参照してください。
- マッピング情報とは
APPGALLERY EnterpriseではSEWB+/REPOSITORYと連携し,辞書のデータ項目の定義情報を部品のプロパティとして利用できます。マッピング情報は,データ項目の定義情報を部品のプロパティ値にどのように置き換えるかといった対応関係(マッピング)を定義するものです。
マッピング情報には,部品ごとに,データ項目の定義項目「データ項目名」「標準名称」「分類」「けた数」及び「小数部けた数」に対して,変換規則を設定します。それぞれの定義情報をプロパティに変換するかどうかを指定し(変換しない場合は「なし」を指定),変換するプロパティのデータ型を指定します。各定義項目に指定できるプロパティのデータ型を,表3-4に示します。
表3-4 指定できるプロパティのデータ型
データ項目の定義項目 指定できるプロパティのデータ型 データ項目名 string,variant 標準名称(1〜4) string,variant 分類※1 integer,long,string,variant,boolean,列挙型※2 けた数 integer,long,variant,boolean,列挙型※2 小数部けた数 integer,long,variant,boolean,列挙型※2 注※1 分類の場合は,データ型を指定し,更に,分類区分ごとに変換する値を指定します。
注※2 列挙型とは,整数定数値の有限集合を指します。例えば,APPGALLERY Enterpriseのテキストボックス部品のTypeプロパティが該当します。
- マッピング情報の編集
SEWB+/REPOSITORYでは,標準設定としてボタン部品とテキストボックス部品のマッピング情報を用意しています。これらの標準設定は,必要に応じて編集し,変更できます。また,開発内容に応じて,GUI作成のためのほかの部品(メニューバー,ポップアップ部品など)に対するマッピング情報を追加できます。
- プロパティセットとは
APPGALLERY EnterpriseでのGUI作成のために,部品ごとに標準とする色やフォントなどの設定値をまとめたものです。アプリケーション開発を始める前に,GUIを統一する対象ごとに,プロパティセットを準備しておきます。APPGALLERY Enterpriseでのアプリケーション開発で,開発対象に応じたプロパティセットを選択しておくと,GUI作成で部品を配置した時点で自動的にプロパティ値が設定されます。
- プロパティセットの準備
GUIの統一を図る対象(システム,業務,開発環境など)を検討し,プロパティセットを登録します。複数のプロパティセットを登録できます。SEWB+/REPOSITORYでは,標準設定として「サンプル(APPGALLERYの標準部品)」を用意していますので,設定の参考にしたり,実際の業務に流用するなどしてご利用ください。
プロパティセットの設定例を,表3-5に示します。この例では,リポジトリブラウザで「標準プロパティセット」に「顧客管理システム用プロパティセット」を選択しておけば,GUI作成でボタン,ラベル,又はテキスト部品を配置した時点で,自動的に次のプロパティ値が反映されます。
表3-5 プロパティセットの設定例
プロパティセット名 部品名 プロパティ名 プロパティ値 顧客管理
システム用
プロパティ
セットボタン BackColor 灰色 Caption3D 3 凸型3-D(立体)にする ForeColor 黒 Font MSゴシック,標準スタイル,文字サイズ:11ポイント ラベル BackColor 白 Caption3D 0 3-D(立体)にしない ForeColor 黒 Font MSゴシック,標準スタイル,文字サイズ:8ポイント テキスト BackColor 青 ForeColor 白 Font MSゴシック,標準スタイル,文字サイズ:8ポイント - APPGALLERY Enterpriseからの部品情報の登録
APPGALLERY Enterprise側から,部品パレットの部品情報をSEWB+/REPOSITORYに転送し,プロパティセットとして登録することもできます。これによって,市販ソフトウェアを利用した部品やユーザが独自に作成した部品についても,プロパティセットに部品のプロパティ値を設定できます。
操作は,APPGALLERY Enterpriseから行います。転送方法については,マニュアル「APPGALLERY プログラマーズガイド」を参照してください。
- 注 APPGALLERY Enterpriseのバージョン04-00以降で利用できる機能です。
(13) データ項目名・業務ルール名の一意性チェック範囲を設定する
データ項目名及び業務ルール名の一意性チェック範囲の設定について説明します。この設定を有効にするには,データ項目の場合は検査項目「データ項目名の一意性チェック」を,業務ルールの場合は検査項目「業務ルール名の一意性チェック」を選択しておく必要があります。
- チェック範囲の設定
リポジトリ内の辞書フォルダから,一意性チェックを実行したい辞書フォルダを選択してグループ分けすることで,チェック範囲を設定します。データ項目と業務ルール別に,それぞれ最大20のチェック範囲を設定できます。
- 一意性チェック範囲の設定例
一意性チェック範囲の設定例を示します。一意性チェックの検査は,範囲を設定した辞書フォルダ内で,データ項目や業務ルールを作成,移動,又は名称変更したときに実行されます。
辞書の構成例
データ項目の一意性チェック範囲の設定例
辞書の構成例に示した辞書フォルダに対する,データ項目の一意性チェック範囲の設定例を示します。
- 一意性チェック範囲名「プロジェクトA チェックグループ」
一意性チェックする辞書フォルダ:共通辞書,A辞書
- 一意性チェック範囲名「プロジェクトB チェックグループ」
一意性チェックする辞書フォルダ:共通辞書,B辞書
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