SEWB+/REPOSITORY 辞書設計ガイド
業務ルールにどのような情報を定義するかについて説明します。
- <この項の構成>
- (1) 業務ルールの定義項目
- (2) 属性
- (3) 業務ルールに適用するデータ項目との関係
- (4) ルールスクリプト
業務ルールの定義項目の一覧を,表2-18に示します。業務ルール名や標準名称に定義する文字数の上限は,カスタマイズできます。なお,業務ルール名と適用条件は,必ず定義しなければなりません。ほかの定義項目は,必要に応じて定義を省略できます。
表2-18 業務ルールの定義項目
定義項目 文字数の上限 文字セット 標準値 設定範囲 属性 業務ルール名 63 1〜92 英数字,カナ文字,日本語文字※3 標準名称※1 63 1〜92 英数字,カナ文字,日本語文字 フリガナ 30 1〜92 英数字,カナ文字,日本語文字 コメント※1 6500 固定 任意 フィールド1〜3 30 1〜255 任意 関連 キーワード 93 固定 英数字,カナ文字,日本語文字 適用条件 − − ※4 ルールスクリプト※2 6500 固定 英数字,カナ文字,日本語文字 (凡例) 固定:文字数の上限は固定されていることを示します。
注 文字数は半角文字の単位です。
注※1 4種類までの国語区分別に定義できます。
注※2 10種類までの言語区分別に定義できます。
注※3 「:」「|」は使えません。また,文字列の途中に空白文字を含めてはなりません。
注※4 「入力」,「出力」又は「−」から選択します。
(2) 属性
業務ルールを識別したり,検索したりするための情報を,次に説明する定義項目に定義します。この情報を定義するリポジトリブラウザのダイアログ([属性]タブ)を,図2-10に示します。
図2-10 業務ルールを作成するダイアログ([属性]タブ)
業務ルール辞書で管理される業務ルールを識別するために付ける名称です。業務ルール名は必ず定義しなければなりません。
業務ルールの処理内容を分かりやすくするために付ける,システム標準の名称です。4種類までの国語別に定義できます。
日本語読みの名称(フリガナ)を定義します。国語区分「英語」の場合は,フリガナを定義できません。
処理の概要,ソースプログラムへの展開条件,注意事項などを記述します。SEWB+/CONSTRUCTIONから適切に業務ルールを選択するためのポイントとなる情報であるため,必ず定義することをお勧めします。コメントは,4種類までの国語別に定義できます。リポジトリブラウザでは,このコメントを基に目的の業務ルールを検索することもできます。
プロジェクト独自の情報を定義するなどして,自由に使用できるフィールドです。環境構築ユティリティを使用し,任意のフィールド名称を付けられます。
(3) 業務ルールに適用するデータ項目との関係
業務ルールは,通常,データ項目と必ず関連付けて登録します。このほか,同一データ項目間の処理専用の業務ルールである「同一項目用業務ルール」があります。この2種類の業務ルールは,適用するデータ項目との関係や定義の仕方が異なります。ここでは,この2種類を分けて説明します。
(a) 適用するデータ項目と業務ルールの関連
業務ルールに使用するデータ項目や,その適用形態などを,次に説明する定義項目に定義します。この情報を定義するリポジトリブラウザのダイアログ([データ項目]タブ)を,図2-11に示します。
図2-11 業務ルールを作成するダイアログ([データ項目]タブ)
- (i) データ項目の適用形態
データ項目の適用形態を「専用にする」又は「共用する」から選択します。
- 専用にする
- 特定のデータ項目(単独のデータ項目,又は複数のデータ項目の組み合わせ)に対応する業務ルールであることを示します。
- 共用する
- 複数のデータ項目に共通に対応する業務ルールであることを示します。
- データ項目の適用形態の考え方
データ項目と業務ルールの関係を明確にし,データ項目の体系に基づいて効率良く業務ルールを登録,管理するために,通常は「専用にする」を選択することをお勧めします。
業務ルールに使用するデータ項目がドメイン,つまり継承関係の上位のデータ項目であるとき,業務ルールとの対応もドメインにグルーピングされた下位のデータ項目に継承されます。したがって,複数のデータ項目で業務ルールを共用したい場合には, 継承の仕組みを利用して共用するようにしてください。
複数の辞書フォルダに登録した同一のドメインに対応する業務ルールを登録したい場合には,「共用する」を選択します。
- (ii) データ項目
業務ルールに使用するデータ項目を定義します。
データ項目の適用形態に「専用にする」を選んだ場合には,単独のデータ項目,又は組み合わせるデータ項目を定義します。「共用する」を選んだ場合は,その業務ルールを共通に使用するデータ項目を定義します。業務ルールを登録したとき,ここに定義したデータ項目と業務ルールの間に,関連種別「ルール」の関連が自動的に付けられます。
- (iii) キーワード
業務ルールに使用するデータ項目の仮の名称です。業務ルールに使用するデータ項目を定義すると,記号「@」にデータ項目名を加えた名称が初期値として表示されます。必要に応じてキーワードを変更してください。ここで定義したキーワードは,ルールスクリプトを記述する際に必ず使用してください。
データ項目の適用形態に「専用にする」を選んだ場合には,組み合わせるデータ項目それぞれに対してキーワードを定義します。「共用する」を選んだ場合は,すべてのデータ項目に対して共通のキーワードを定義します。
- (iv) 適用条件
データ項目がどのような条件(処理の入力,又は出力)にあるときに,その業務ルールをアプリケーションに適用させるのか,という情報を指定します。一般に,業務ルールの処理の入力となるデータ項目には適用条件に「入力」を,業務ルールの処理結果を出力するデータ項目には,適用条件に「出力」を指定します。どちらにも役割を限定しない場合や,役割を明確にしたくない場合には,指定しなくてもかまいません(指定しない場合は「−」となります)。
データ項目の適用形態に「専用にする」を選んだ場合には,組み合わせるデータ項目それぞれに対して適用条件を指定します。「共用する」を選んだ場合は,すべてのデータ項目に対して共通の適用条件を指定します。
適用条件は,SEWB+/CONSTRUCTIONからアプリケーションに適用する業務ルールを抽出する場合にキーとなる情報です。したがって,SEWB+/CONSTRUCTIONからの利用も考慮した指定が必要となります。指定の考え方については,「2.6.4 適用条件の指定」を参照してください。
同一項目用業務ルールは,二つの同じデータ項目間の処理を記述するための業務ルールです。主に,COBOL言語でMOVE文,C言語でstrcpy関数で記述できるような,入力側のデータ項目から出力側のデータ項目へのデータの転記処理に使用します。同一項目用業務ルールとして作成した業務ルールは,リポジトリ内のすべてのデータ項目で共用できます。同一項目用業務ルールでは,データ項目との関連は付けません。しかし,業務ルールを利用するSEWB+/CONSTRUCTIONからは,アプリケーションに使用するデータ項目と同一項目用業務ルールの間に関連が付けられているとみなされ,通常の業務ルールと同様に扱えます。この情報を定義する場合のリポジトリブラウザのダイアログ([データ項目]タブ)を,図2-12に示します。
図2-12 同一項目用業務ルールを作成するダイアログ([データ項目]タブ)
- (i) データ項目の適用形態
同一項目用業務ルールでは,データ項目の適用形態は,必ず「専用にする」になります。この業務ルールに仮想的に関連付けるデータ項目を「すべての単項目」又は「すべての項目」から選択します。
- すべての単項目
- リポジトリ内の結合項目ではないデータ項目(単項目)に対して仮想的な関連を付け,適用できるようにします。
- すべての項目
- リポジトリ内の結合項目を含めたすべてのデータ項目に対して仮想的な関連を付け,適用できるようにします。
- 「すべての単項目」「すべての項目」の選択の考え方
適用するデータ項目の範囲で考えます。どちらの場合も,データ項目の継承関係を考慮する必要はありません。
COBOL言語での基本項目同士の転記処理,C言語での構造体を構成する変数同士の転記処理だけを適用したい場合は,「すべての単項目」を選択します。この場合には,次に示すような仮想的な関連が付けられたものとみなされます。
また,結合項目や構成項目に関係なく,すべてのデータ項目を適用範囲にしたい場合,つまり,COBOL言語での集団項目同士の転記処理,C言語での構造体同士の転記処理を適用範囲に含めたい場合には,「すべての項目」を選択します。この場合には,次に示すような仮想的な関連が付けられたものとみなされます。
- (ii) データ項目
組み合わせるデータ項目を定義します。組み合わせるデータ項目は,必ず「すべての単項目」同士,又は「すべての項目」同士でなければなりません。
- (iii) キーワード
キーワードの考え方は,通常の業務ルールを作成する場合と同様です。同一項目用業務ルールでは,組み合わせる各データ項目にキーワードを付けます。キーワードは,例えば,転記処理用の業務ルールの場合,転記元と転記先のデータ項目をそれぞれ識別できるように,重複しない名称を付けてください。
- (iv) 適用条件
適用条件の考え方は,通常の業務ルールを作成する場合と同様です。同一項目用業務ルールでは,一般に,入力側のデータ項目に「入力」を,出力側データ項目に「出力」を指定します。
ルールスクリプトには,ソースプログラムに展開する業務ルールの処理を,アプリケーション開発に使用するプログラミング言語別にコーディングします。この情報を定義するリポジトリブラウザのダイアログ([ルールスクリプト]タブ)を,図2-13に示します。
図2-13 業務ルールを作成するダイアログ([ルールスクリプト]タブ)
ルールスクリプトは10種類までの言語区分別に定義できます。記述方法の詳細については,「2.6.3 ルールスクリプトの記述」を参照してください。
All Rights Reserved, Copyright (C) 1996,2001, Hitachi, Ltd.