Hitachi

高信頼化システム監視機能 HAモニタ AIX(R)編


5.5.4 リセットパスの構成

リセットパスは,実行系と待機系のSP間を接続して,実行系で障害が発生した場合に,系の入出力のリセットを指示するために使用します。

リセットパスの構成は,リセットパスの種類や系切り替え構成によってさまざまなパターンがあります。ここでは,リセットパスの構成について説明します。

リセットパスの種類については「(3) リセットパス」を,系切り替え構成の種類については「2.1 系切り替え構成」を参照してください。

〈この項の構成〉

(1) リセットリンクの構成

リセットリンクは,系切替機構を使用して,実行系のSPと待機系のプロセサを接続します。同様に,待機系のSPと実行系のプロセサを接続します。系切替機構では,使用するマシンの機種によって,プロセサとの接続に標準または増設RS-232Cポートを使用します。

リセットリンクは,リセットパスの二重化はできません。そのため,リセットパスに障害が発生した場合は,速やかに障害を取り除いてください。

リセットリンクの接続構成を,次の図に示します。

図5‒8 リセットリンクの接続構成

[図データ]

(2) リセット専用LANの構成(RS-232C LANの場合)

リセット専用LANとしてRS-232C LANを使用する場合,プロセサとHRA間,およびSPとHRA間をRS-232Cで,各HRA間をEthernet LANで接続します。また,系切替機構では,使用するマシンの機種によって,プロセサとの接続に標準または増設RS-232Cポートを使用します。

HRAには,PCIアダプタ型のものと外付け筐体型のものがあります。詳細については,ハードウェアのドキュメントを参照してください。

なお,リセット専用LANにRS-232C LANを使用する場合は,リセットパスの二重化はできません。そのため,リセットパスに障害が発生した場合は,速やかに障害を取り除いてください。

リセット専用LAN(RS-232C LAN)の接続構成例を,次の図に示します。

図5‒9 リセット専用LAN(RS-232C LAN)の接続構成

[図データ]

(3) リセット専用LANの構成(TCP/IP LANの場合)

リセット専用LANとしてTCP/IP LANを使用する場合,SPとハードウェアマネージメントコンソール間,プロセサとハードウェアマネージメントコンソール間,および各ハードウェアマネージメントコンソール間をそれぞれ接続します。

TCP/IP LANを使用する場合,次の内容を検討します。

表5‒8 リセット専用LANの構成について検討する内容(TCP/IP LANの場合)

検討する内容

説明

パーティショニングの有無

パーティショニングによって幾つかのパーティション間で系切り替え構成にする場合,一つのパーティションが一つの系になります。したがって,各パーティションからそれぞれリセット専用LANに接続する必要があります。

ハードウェアマネージメントコンソールとマシンの対応

系切替機構がTHE-HA-0043の場合,一つのハードウェアマネージメントコンソールは,一つまたは二つのマシンと接続できます。

系切替機構がTHE-HA-0043以外の場合は,一つのハードウェアマネージメントコンソールに接続できるマシンは一つだけです。

リセットパスの二重化の有無

リセットパスを二重化する場合,1台のマシンに2台のハードウェアマネージメントコンソールを接続します。

この場合,各系で異なるリセットパスを設定すれば,ハードウェアマネージメントコンソールの負荷を分散できます。

注※

リセットパスを二重化することで,一方のリセットパスの障害中に発生した系障害に対しても,残りのリセットパスを使用して系切り替えができます。

リセットパスを二重化しなかった場合,リセットパスの障害中に系障害が発生しても,系切り替えをしません。このとき,実行系と待機系の連絡が取れないため,待機系の待機サーバが系切り替え待ち状態になります。業務を再開するには,オペレータの介入が必要になります。

また,リセットパスを二重化することで,ハードウェアマネージメントコンソールに掛かる負荷を分散させることもできます。負荷を分散させていない場合,複数の系が同じハードウェアマネージメントコンソールを介してリセットパスを使用すると,処理が集中してリセット処理が遅延する場合があります。

リセット専用LAN(TCP/IP LAN)の接続構成例を次に示します。なお,実現できる接続構成はハードウェアによって異なります。詳細については,弊社担当営業にお問い合わせください。

(a) 系切替機構がTHE-HA-0043の場合

パーティションの数,ハードウェアマネージメントコンソールの数,リセットパスの数に応じて例を挙げます。

重要

マシン内の複数のパーティションから一つのハードウェアマネージメントコンソールに接続する場合,各パーティションにはそれぞれ別のホストアドレスを設定してください(HAモニタの環境設定のaddressオペランド)。

  • 1パーティション/1ハードウェアマネージメントコンソールの構成

    図5‒10 リセット専用LAN(TCP/IP LAN:THE-HA-0043)の接続構成例1

    [図データ]

  • 2パーティション/1ハードウェアマネージメントコンソールの構成

    図5‒11 リセット専用LAN(TCP/IP LAN:THE-HA-0043)の接続構成例2

    [図データ]

  • 2パーティション/2ハードウェアマネージメントコンソールの構成

    図5‒12 リセット専用LAN(TCP/IP LAN:THE-HA-0043)の接続構成例3

    [図データ]

  • リセットパスの二重化構成

    図5‒13 リセット専用LAN(TCP/IP LAN:THE-HA-0043)の接続構成例4

    [図データ]

(b) 系切替機構がTHE-HA-0043以外の場合

パーティションの数,リセットパスの数に応じて例を挙げます。

重要

マシン内の複数のパーティションから一つのハードウェアマネージメントコンソールに接続する場合,各パーティションにはそれぞれ別のホストアドレスを設定してください(HAモニタの環境設定のaddressオペランド)。

  • 1パーティションの構成

    図5‒14 リセット専用LAN(TCP/IP LAN:THE-HA-0043以外)の接続構成例1

    [図データ]

  • 2パーティションの構成

    図5‒15 リセット専用LAN(TCP/IP LAN:THE-HA-0043以外)の接続構成例2

    [図データ]

  • リセットパスの二重化構成

    図5‒16 リセット専用LAN(TCP/IP LAN:THE-HA-0043以外)の接続構成例3

    [図データ]

(4) 系切り替え構成間でリセットパスを共用する場合の注意

システム内で互いに監視し合わない系切り替え構成を複数構築すると,複数の系切り替え構成間でリセットパスを共用することがあります。

この場合,HAモニタが系同士を正しく識別するために,設定時には次のことに注意する必要があります。

複数の系切り替え構成間でリセットパスを共用するネットワーク構成例を,次に示します。

図5‒17 系切り替え構成間でリセットパスを共用したネットワーク構成

[図データ]

このような構成で,系1・系3間で一組,系2・系4間で一組,合計二組の系切り替え構成を構築する場合,両方の系切り替え構成でリセットパスが共用されます。

このようなネットワーク構成で環境設定を誤ると,HAモニタは系同士を正しく識別できません。そのため,系障害時に障害と無関係な系がリセットされたり,HAモニタが異常終了したりするおそれがあります。

(5) ユーザがリセット優先系を指定しない場合の注意

相互系切り替え構成の場合で,系切替機構にTHE-HA-0043(03-15以降)を使用するとき,ユーザがリセット優先系を指定しない運用ができます。

この場合,系切替機構を正しく動作させるために,設定時には次のことに注意する必要があります。

ユーザがリセット優先系を指定しない場合でリセットパスを二重化しないときの,リセットパスの接続構成を,次の図に示します。

図5‒18 リセット優先系を指定しない場合の接続構成(リセットパスを二重化しない)

[図データ]

ユーザがリセット優先系を指定しない場合でリセットパスを二重化するときの,リセットパスの接続構成を,次の図に示します。

図5‒19 リセット優先系を指定しない場合の接続構成(リセットパスを二重化する)

[図データ]