Hitachi

高信頼化システム監視機能 HAモニタ AIX(R)編


1.6.1 必要なハードウェア

HAモニタを動作させるために必要なハードウェアについて説明します。ハードウェアの構成については,「5.5 ハードウェア構成の検討」を参照してください。

ハードウェア構成例を次の図に示します。

図1‒10 ハードウェア構成例

[図データ]

〈この項の構成〉

(1) プロセサ

実際に業務を処理するサーバマシンを,実行系と待機系とで1台ずつ使用します。

HAモニタを使用する前提機種を次に示します。

(2) 監視パス

実行系と待機系のプロセサ間を接続して,実行系と待機系との間で,互いの系を監視したり,系切り替えのための情報を交換したりするために使用します。

監視パスには,監視パス専用のLAN(監視専用LAN)として,TCP/IP LANを使用できます。HAモニタは,TCP/IP LANでブロードキャストで通信するため,ブロードキャストで通信できるLANを使用してください。TCP/IP LANは,どの系切り替え構成でも使用できますが,専用のIPアドレスとポート番号が必要です。

(3) リセットパス

実行系と待機系のSP間を接続して,実行系で障害が発生した場合に,系の入出力のリセットを指示するために使用します。SPとは,システム構成の設定やCPUの制御などができるハードウェアです。CPUとは独立したハードウェアとして,マシンに搭載されています。

リセットパスを構成するためには,系切替機構が必要です。リセットパスは,ユーザが適用する系切り替え構成や使用するマシンの機種によって決まります。

ここでは,リセットパスの種類と,通信媒体および系切替機構について説明します。各リセットパスの接続構成については,「5.5.4 リセットパスの構成」を参照してください。

ここに記載されていない系切替機構を使用できる場合もあります。詳細については,系切替機構のマニュアルを参照してください。

(a) リセットリンク

通信媒体に,RS-232Cインタフェースを使用するリセットパスです。

リセットリンクは,実行系と待機系とが1:1で対応している系の間であれば,どの系切り替え構成でも使用できます。2:1系切り替え構成のように実行系と待機系が1:1で対応していない構成では使用できません。

使用できる系切替機構を次に示します。

  • THE-HA-0011

(b) リセット専用LAN

リセット専用LANには,次の種類があります。

RS-232C LAN

実行系と待機系のSP間を,HRAを介して接続するリセットパスです。RS-232C LANは,どの系切り替え構成でも使用できます。

使用できる系切替機構を次に示します。

  • THE-HA-0021

  • THE-HA-0031

TCP/IP LAN

実行系と待機系のSP間を,ハードウェアマネージメントコンソールを介して接続するリセットパスです。TCP/IP LANは,どの系切り替え構成でも使用できますが,専用のIPアドレスとポート番号が必要です。

使用できる系切替機構を次に示します。

  • THE-HA-0041

  • THE-HA-0041UP42

  • THE-HA-0042

  • THE-HA-0043

    重要

    監視パスとリセットパスを共用しないでください。単一点障害で両機能が使用できなくなるおそれがあります。

(4) 共有ディスク

共有ディスクは,サーバが実行系と待機系とで共有するデータを格納するために使用します。ハイブリッドフェンシングで共有ディスクのSCSIリザーブをする場合は必須です。系切り替え時には,共有ディスク上の情報が引き継がれます。共有ディスクには格納したデータを使用するすべての系を接続し,LVMを使用して制御します。

使用できる共有ディスクには,日立ディスクアレイシステムなどがあります。日立ディスクアレイシステムを使用すると,ShadowImage機能を使用したディスクのミラーリングができます。

HAモニタは,ディスク障害やI/Oパス障害に対応していません。これらの障害に対しては,HAモニタ以外の方法を使用して共有ディスクの単一点障害を防止する構成にしてください。単一点障害の防止については,「5.5.1 共有ディスクの構成」を参照してください。

ハイブリッドフェンシングを使用する場合は,次の条件を満たす必要があります。

(5) ローカルディスク

系間で共有しない,系固有のディスク装置として使用します。OSのファイルや,HAモニタの各種ファイルをインストールしておきます。HAモニタは,共有ディスクではなく,ローカルディスクから起動します。

また,ローカルディスクについても共有ディスクと同様に単一点障害を防止する構成にすることを推奨します。

(6) コンソール

HAモニタのコマンドを実行したり,出力されるメッセージを確認したりするために使用します。

(7) LAN

LANは,実行系と待機系を接続したり,クライアントとなるWSやPCと接続したりするために使用します。必須ではありません。TCP/IP通信ができるLANのうち,OSがサポートするEthernet LANを使用できます。

HAモニタは,HUBやLANアダプタなどのLAN障害を直接処理するものではありません。これらの障害に対しては,HAモニタ以外の方法を使用して,LANの単一点障害を防止する構成にしてください。単一点障害の防止については,「5.5.2 LANの構成」を参照してください。

(8) 通信回線

通信回線は,サーバが通信回線を使用する場合に使用します。必須ではありません。

HAモニタでは,回線切替装置および回線アダプタ(LA)を使用して,系切り替え時に通信回線を切り替えられます。ただし,回線切替装置は,切り替えの際には8回線単位でまとめて切り替えるので,1回線ごとの自動切り替えはできません。

使用できる回線切替装置の種類を次に示します。

HAモニタは,回線アダプタや回線切替装置の障害を直接処理するものではありません。これらの障害に対しては,予備回線を用意する構成とし,障害時はアプリケーションによって予備回線に切り替えるなど,通信回線の単一点障害を防止する構成にしてください。