Hitachi

高信頼化システム監視機能 HAモニタ AIX(R)編


5.5.3 監視パスの構成

監視パスは,実行系と待機系との間で,互いの系を監視したり,系切り替えのための情報を交換したりするために使用します。

〈この項の構成〉

(1) 監視パスの接続方法

監視パス専用のTCP/IP LANを用意します。TCP/IP LANは,どの系切り替え構成でも使用できますが,専用のIPアドレスとポート番号が必要です。

監視パスは,LANアダプタを介して,監視し合う系同士(実行系と待機系)のプロセサ間を接続します。実行系と待機系,およびそれらを接続する監視パスは,同じネットワーク上に構成してください。一つの実行系に対して複数の待機系がある場合,実行系とすべての待機系を監視パスで接続し,同じネットワーク上に構成します。

(2) 監視パスの複線化

監視パスが1本の場合,監視パスに障害が発生すると,HAモニタが監視パスの障害を系障害と判断して,系切り替えを実行するおそれがあります。このような単一点障害での系切り替えを避けるために,監視パスを必ず複線化してください。また,1本以上は監視専用のパスにしてください。監視パスが1本の場合,系切り替え続行可否の判定が確実に行えない場合があります。

監視パスは3本まで複線化できます。監視パスを複線化しておくと,1本の監視パスに障害が発生しても,ほかのパスで系の監視を続行できます。また,次のどちらかの運用を選択できます。

(3) 複線化した監視パスに割り当てるIPアドレス

監視パスには,専用のIPアドレスとポート番号が必要です。監視パスを複線化するため,次のことに注意してください。

IPアドレスの詳細については,「5.4.2 必要なIPアドレスとポート番号」を参照してください。

(4) 三つ以上のLPARで系切り替え構成にする場合の考慮点

系切替機構にTHE-HA-0041,THE-HA-0041UP42,THE-HA-0042,またはTHE-HA-0043を使用して三つ以上のLPARで系切り替え構成にする場合,監視パスは監視し合う系(LPAR)間だけを接続し,系間で監視パスを独立させてください。一点の障害ですべての監視パスが障害にならないように構成する必要があります。監視し合わない系間で監視パスを共有した場合,構成によっては業務が停止するなどの不具合が発生するおそれがあります。不具合が発生するおそれがある三つ以上のLPARでの系切り替え構成例を次の図に示します。

図5‒6 不具合が発生するおそれがある三つ以上のLPARでの系切り替え構成例

[図データ]

この図の例では,監視パスが一つのHubを共有しています。この構成でHubに障害が発生すると,予備系1から予備系4はそれぞれ現用系1から現用系4を同時にリセットします。このとき,現用系1から現用系3は同じ筐体にあるため,筐体がリセットされます。したがって,予備系4も停止するため,系4の業務が停止します。

不具合を回避するには,Hubを使用しないで現用系と予備系を直接監視パスで接続します。不具合を回避できる三つ以上のLPARでの系切り替え構成例を次の図に示します。

図5‒7 不具合を回避できる三つ以上のLPARでの系切り替え構成例

[図データ]

この図の例では,監視パスがそれぞれ独立しているため,例えば系1の監視パスに障害が発生しても系2から系4の業務は問題なく継続できます。