5.4.2 必要なIPアドレスとポート番号
系切り替え構成の導入に当たり,IPアドレスを確保する必要があります。ここでは,IPアドレスを割り当てる対象およびIPアドレスの数について説明します。IPアドレスを割り当てる対象を次の図に示します。
図で示した,IPアドレスを割り当てる対象と指定するIPアドレスの数を次の表に示します。
図中の番号 |
割り当てる対象 |
IPアドレスの数 |
単位 |
説明 |
設定個所 |
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1 |
監視パス |
2以上 |
1系につき |
監視パスは複線化する必要があり,最大3本指定できます。 各監視パスに異なるIPアドレスとポート番号を指定する必要があります。
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|
2 |
リセットパス |
1 (二重化する場合は2※1) |
1系につき |
リセットパスにTCP/IP LANを使う場合に必要です。専用のIPアドレスとポート番号が必要です。
システム内に互いに監視し合わない系切り替え構成が複数ある場合で,かつリセットパスを共用する場合は,設定時に注意が必要です。詳細は「(4) 系切り替え構成間でリセットパスを共用する場合の注意」を参照してください。 |
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3 |
系切替機構(ハードウェアマネージメントコンソール) |
1 (二重化する場合は2※1) |
1系につき |
リセットパスにTCP/IP LANを使う場合に必要です。専用のIPアドレスとポート番号が必要です。
システム内に互いに監視し合わない系切り替え構成が複数ある場合で,かつリセットパスを共用する場合は,設定時に注意が必要です。詳細は「(4) 系切り替え構成間でリセットパスを共用する場合の注意」を参照してください。 |
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4 |
LAN |
0以上 |
1系につき |
サーバがLANを使用する場合は1個以上必要です。ステーショナリIPアドレスを指定します。 上限はありません。また,LANを使用しない場合は,不要です。 |
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5 |
サーバ |
0以上 |
1サーバにつき※2 |
サーバがLANを使用する場合は1個以上必要です。 エイリアスIPアドレスを指定します。実行系と待機系とで同じ値を指定してください。エイリアスIPアドレスの詳細については,「(2) サーバに割り当てるIPアドレス」を参照してください。 |
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6 |
SP |
1 (二重化する場合は2) |
1系につき |
リセットパスにTCP/IP LANを使う場合で,系切替機構がTHE-HA-0043のときに必要です。 専用のIPアドレスが必要です。 ハードウェアマネージメントコンソールによる各筐体の制御に使用されます。 |
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注※1 二重化する場合,交代用リセットパスおよび交代用系切替機構についてもHAモニタの環境設定コマンド(monsetupコマンド)で指定します。なお,交代用リセットパスと交代用系切替機構に使用するポート番号は,それぞれリセットパスと系切替機構に使用するポート番号とは異なる番号を指定してください。
注※2 リソースサーバを使用することで,複数サーバで共有することもできます。
(1) 複線化した監視パスに割り当てるIPアドレス
監視パスは複線化する必要があります。そのため,次の点に注意してください。
-
LANセグメントは,監視パス間で異なるものを使用する。
-
ネットワークアドレスは,監視パス間で異なるものを使用する。
ネットワークアドレスは,ネットワーク番号とサブネット番号で構成されます。
-
ネットワーク番号を監視パスごとに分ける場合
指定できるIPアドレスに,制約はありません。IPアドレスの組み合わせの例を次に示します。
表5‒4 IPアドレスの組み合わせの例(ネットワーク番号を監視パスごとに分ける場合) LAN
IPアドレス
ネットマスク
ネットワーク番号
サブネット番号
ホスト番号
LAN1
100.2.1.130
255.255.255.0
100
2.1
130
LAN2
101.2.1.130
255.0.0.0
101
なし
2.1.130
-
同じネットワーク番号を割り当て,サブネットを監視パスごとに分ける場合
同じネットマスクを指定する必要があります。
すべての監視パスに同じネットワーク番号を割り当て,監視パスごとに異なるサブネットで構成するネットワークでは,異なるネットマスクを設定しないでください。例えば,次に示すIPアドレスの組み合わせは,ネットワーク番号が同じであり,かつネットマスクが異なるため,監視パスを複線化できません。
表5‒5 監視パスを複線化できない例 LAN
IPアドレス
ネットマスク
ネットワーク番号
サブネット番号
ホスト番号
LAN1
100.2.1.130
255.255.255.0
100
2.1
130
LAN2
100.2.2.130
255.255.0.0
100
2
2.130
次に示すIPアドレスの組み合わせは,ネットワーク番号およびネットマスクが同じであるため,監視パスを複線化できます。
表5‒6 監視パスを複線化できる例 LAN
IPアドレス
ネットマスク
ネットワーク番号
サブネット番号
ホスト番号
LAN1
100.2.1.130
255.255.255.0
100
2.1
130
LAN2
100.2.2.130
255.255.255.0
100
2.2
130
同じネットワーク番号を割り当て,サブネットを監視パスごとに分けて複線化したネットワーク構成を次の図に示します。
図5‒2 監視パスを複線化したネットワーク構成
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(2) サーバに割り当てるIPアドレス
サーバがLANを使用する場合,サーバにはエイリアスIPアドレスを指定します。エイリアスIPアドレスを指定することで,一つのサーバに複数のエイリアスIPアドレスを指定できます。サーバにエイリアスIPアドレスを指定する場合,次の点に注意してください。
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系切り替えをするプログラムの送信元アドレスをエイリアスIPアドレスにしておく必要があります。
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エイリアスIPアドレスを持つホスト名を,OSのhostnameコマンドで設定するローカルホスト名として使用してはいけません。系切り替えで別ホストに移動した場合,ホスト名からIPアドレスを取得するプログラムが元のホスト上で動作できなくなります。