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Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


19.23.2 システム構成例

Azure環境でのコールドスタンバイ構成例を次の図に示します。

図19‒8 Azure環境でのコールドスタンバイ構成例

[図データ]

〈この項の構成〉

(1) 前提OSおよび前提ソフトウェア

Azure環境でのコールドスタンバイ構成の場合,実行系と待機系には次のOSおよびソフトウェアが必要になります。

HADBでは,HAモニタのモニタモードの機能を使用し,実行系の障害を監視しています。実行系で障害が発生した場合,HAモニタの系切り替え機能を使用して,待機系に系切り替えをします。

実行系と待機系にインストールするHAモニタのバージョンは同じにしてください。

(2) サーバ構成

図19‒8 Azure環境でのコールドスタンバイ構成例」で示す構成例の場合,別々の可用性ゾーンに仮想マシンを1つずつ合計2つ用意し,各仮想マシンにHADBサーバをインストールしています。各HADBサーバは,2つの系(hadb01およびhadb02)で構成され,実行系はhadb01,待機系はhadb02になります。

実行系と待機系の仮想マシンの性能(CPU,メモリサイズなど)は同じである必要はありません。ただし,仮想マシンの性能が異なる場合,系が切り替わったあとにSQL文の処理性能に差異が発生するおそれがあります。そのため,できる限り実行系と待機系の仮想マシンの性能を同じにすることを推奨します。

メモ

以降の説明は,Standard_E8s_v4の仮想マシンを使用していることを前提としています。

(3) ネットワーク構成

Azure環境でのコールドスタンバイ構成の場合,次に示すネットワークを使用します。

クライアント-サーバ間ネットワーク

HADBクライアントとHADBサーバ間の通信で使用するネットワークです。

HADBクライアントは,エイリアスIPアドレスを使用してHADBサーバに接続します。そのため,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編【Azure】リソースの引き継ぎを参照して,エイリアスIPアドレスを設定してください。

図19‒8 Azure環境でのコールドスタンバイ構成例」でのIPアドレス,およびポート番号の設定例を次の表に示します。

表19‒20 クライアント−サーバ間ネットワークのIPアドレスとポート番号の設定例

項番

設定対象

IPアドレス

ポート番号

1

クライアントマシン

10.196.108.111

設定不要

2

仮想マシンhadb01(実行系)

10.196.108.11

23650

3

仮想マシンhadb02(待機系)

10.196.108.12

23650

4

エイリアスIPアドレス

10.196.108.143

23650

監視パス

HAモニタの監視パスとして使用するネットワークです。

ネットワーク構築をする際,複線にする必要がある場合は,LinuxのBonding機能を使用してください。

Bonding機能の詳細については,OSのマニュアルを参照してください。HAモニタの監視パスの設定については,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編監視パスの設定を参照してください。

図19‒8 Azure環境でのコールドスタンバイ構成例」でのIPアドレス,およびポート番号の設定例を次の表に示します。

表19‒21 監視パスのIPアドレスとポート番号の設定例

項番

設定対象

IPアドレス

ポート番号

1

仮想マシンhadb01(実行系)のHAモニタの監視パス

172.16.0.11

7777

2

仮想マシンhadb02(待機系)のHAモニタの監視パス

172.16.0.12

7777

(4) ストレージ構成

Azure環境でのコールドスタンバイ構成の場合,次のファイルシステム,ディスク,およびコンテナーを準備してください。

図19‒8 Azure環境でのコールドスタンバイ構成例」の場合,次の表に示すファイルシステム,ディスク,およびコンテナーを準備してください。

表19‒22 ストレージ構成の例

項番

格納先

名称

対象の仮想マシン

用途

1

マネージドディスク(Premium SSD)

LOC011

仮想マシンhadb01(実行系)

系ローカルのファイルシステム

2

LOC021

仮想マシンhadb02(待機系)

3

FS001FS003

仮想マシンhadb01(実行系)

仮想マシンhadb02(待機系)

系切り替え対象のファイルシステム

4

マネージドディスク(Premium SSD v2)

CCH011

仮想マシンhadb01(実行系)

系ローカルのファイルシステム(キャッシュファイル用)

5

CCH021

仮想マシンhadb02(待機系)

6

WRK011

仮想マシンhadb01(実行系)

系ローカルのディスク(作業表用DBエリア用)

7

WRK021

仮想マシンhadb02(待機系)

8

Azure Blob Storage

CNT001

仮想マシンhadb01(実行系)

仮想マシンhadb02(待機系)

コンテナー(作業表用DBエリアを除くDBエリア用)

9

Azure Files(NFS)

共有ファイルシステム

(凡例)

-:該当しません。

マネージドディスク(Premium SSD)の使い方

マネージドディスク(Premium SSD)は,次のファイルシステムとして使用します。

  • 系ローカルのファイルシステム

    各仮想マシンのOS用の領域(ルートボリューム)として使用するマネージドディスク(Premium SSD)上のファイルシステム(/home下など)に,次のディレクトリを作成します。

    • サーバディレクトリ

    • 統一フォーマット用監査証跡の出力先ディレクトリ(監査証跡機能を使用する場合に必要)

  • 系切り替え対象のファイルシステム

    次の3つの系切り替え対象のファイルシステムを実行系および待機系から参照できるように,可用性ゾーン間で共有したマネージドディスク(Premium SSD)上に作成してください。可用性ゾーン間で共有するには,冗長性オプションにゾーン冗長ストレージ(ZRS)を選択してください。

    • DBディレクトリ用のファイルシステム

      FS001:ここでは,VGの名称をvg_hadb01,LVの名称をhadb_dbとします。

    • 作業用一時ファイルを格納するファイルシステム

      FS002:ここでは,VGの名称をvg_hadb02,LVの名称をhadb_workareaとします。

      作業用一時ファイルを格納するファイルシステムを系切り替え対象としない場合は,実行系と待機系のそれぞれの系ローカルのファイルシステム上に作業用一時ファイルの格納先を用意してください。

    • 監査証跡ファイルを出力するファイルシステム(監査証跡機能を使用する場合に必要)

      FS003:ここでは,VGの名称をvg_hadb03,LVの名称をhadb_auditとします。

    系切り替え対象のファイルシステムを作成する際は,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編マネージドディスクの共有を参照してください。

マネージドディスク(Premium SSD v2)の使い方

マネージドディスク(Premium SSD v2)は,次のファイルシステムおよびディスクとして使用します。

  • 系ローカルのファイルシステム(キャッシュファイル用)

    キャッシュファイルの格納先とするファイルシステムを,マネージドディスク(Premium SSD v2)上に仮想マシンごとに作成してください。

    ここでは,このファイルシステムのマウントポイントを/HADB/ADBCCHとします。

    重要

    このファイルシステムは,キャッシュファイルの格納先ディレクトリを配置する以外の用途には使用しないでください。

  • 系ローカルのディスク(作業表用DBエリア用)

    実行系および待機系のそれぞれにマネージドディスク(Premium SSD v2)を用意して,作業表用DBエリア(ADBWRK)を構成するディスク(WRK011およびWRK021)とします。

Azure Blob Storageの使い方

次のDBエリアのデータを格納するBLOBの格納先となるコンテナーを用意します。

  • データ用DBエリア

  • マスタディレクトリ用DBエリア

  • ディクショナリ用DBエリア

  • システム表用DBエリア

Azure Files(NFS)の使い方

Azure Files(NFS)には,次のファイルシステムを配置します。

  • データインポートで使用する入力データファイルを格納するファイルシステム

  • ADB_CSVREAD関数で使用するCSVファイルを格納するファイルシステム(ADB_CSVREAD関数を使用した検索をする場合に必要)

  • 監査証跡の保存先ディレクトリを作成するファイルシステム(監査証跡機能を使用する場合に必要)

実行系と待機系で,同じパスのディレクトリにマウントしてください。