Hitachi

Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


8.6.2 バージョンアップする

8.6.1 バージョンアップ前に実施すること」で示したことを実施したら,次の手順に従ってHADBサーバをバージョンアップしてください。

メモ
  • インストールデータに関する注意事項があります。HADBサーバをバージョンアップする前に,「8.2 インストール」の注意事項を参照してください。

  • HADBサーバをバージョンアップした場合,HADBクライアントもバージョンアップしてください。HADBクライアントのバージョンアップ方法については,マニュアルHADB AP開発ガイドHADBクライアントのバージョンアップを参照してください。

[マルチノード機能]

マルチノード機能を使用している場合は,全ノードのHADBサーバに対して,手順1. HADB管理者のOSアカウントでOSにログインするから手順11. HADBサーバのバージョンを確認するをそれぞれ実施してください。そのあとで,手順12. データベースをバージョンアップするを実施してください。

手順

  1. HADB管理者のOSアカウントでOSにログインする

    今まで使用していたHADB管理者のOSアカウントで,サーバマシンのOSにログインしてください。

    重要

    HADB管理者のOSアカウントを変更しないでください。HADB管理者のOSアカウントを変更した場合,HADBサーバを正しくバージョンアップできないおそれがあります。

  2. インストールデータを格納するディレクトリを作成する

    HADBサーバのインストールデータを格納するディレクトリを作成します

    mkdir /home/adbmanager/install

    上記の例では,インストールデータを格納するディレクトリとして/home/adbmanager/installを作成しています。

  3. インストールデータを格納するディレクトリに書き込み権限を付与する

    インストールデータを格納するディレクトリ(この例では/home/adbmanager/install)に対して,HADB管理者が書き込みできるように書き込み権限を付与してください。

    chmod 755 /home/adbmanager/install
  4. CD-ROMファイルシステムをマウントする

    HADBサーバのインストールデータが格納されているCD-ROMファイルシステムを自動マウントしてください。

    CD-ROMファイルシステムが自動マウントされない場合,次のコマンドを実行してCD-ROMファイルシステムをマウントしてください

    mount /dev/cdrom /media

    下線部分は,CD-ROMファイルシステムのマウントディレクトリ名です。環境によって異なります。

    重要

    CD-ROMのディレクトリ名やファイル名は,ご使用のサーバマシンによっては,ここの説明内容と表示が異なることがあります。OSのlsコマンドを実行して,表示されたディレクトリ名をそのまま入力してください。

  5. インストールデータをコピーする

    マウントしたCD-ROMファイルシステムに格納されている次のファイルを,手順2.で作成したインストールデータを格納するディレクトリにコピーしてください。

    • tar.gz形式のファイル

    • adbinstallコマンドの実行形式ファイル

    • !8A9_HADBファイル

    cp /media/hitachi_advanced_data_binder_server-$VER.tar.gz /home/adbmanager/install   ...a
    cp /media/adbinstall /home/adbmanager/install                                        ...b
    cp '/media/!8A9_HADB' /home/adbmanager/install                                       ...c

    [説明]

    1. tar.gz形式のファイル(HADBサーバのプログラムの圧縮ファイル)をコピーします。

    2. adbinstallコマンドの実行形式ファイル(HADBサーバのインストールコマンド)をコピーします。

    3. !8A9_HADBファイルをコピーします。

    上記の例では,すべてのファイルを/home/adbmanager/installディレクトリ下にコピーしています。

    下線部分は,CD-ROMファイルシステムのマウントディレクトリ名です。環境によって異なります。

    $VERは,HADBサーバのバージョンとリリース番号です。

    重要

    上記の3つのファイルは,必ず同じディレクトリにコピーしてください。異なるディレクトリにコピーすると,HADBサーバのインストールが実行できません。

  6. コピーしたファイルが破損していないことを確認する

    手順5.でコピーしたファイルが破損していないことを確認します。次のコマンドを実行してください。

    cd /home/adbmanager/install
    sha256sum -c /media/adbhashfile_server_sha256.txt

    下線部分は,CD-ROMファイルシステムのマウントディレクトリ名です。環境によって異なります。

    ファイルが破損しているおそれがある(ファイルのハッシュ値が異なる)場合は,エラーを示すメッセージが出力されます。この場合,手順5.から作業をし直してください。

    出力されるメッセージの詳細については,OSのマニュアルを参照してください。

  7. 権限を付与する

    HADB管理者がadbinstallコマンド(HADBサーバのインストールコマンド)を実行できるように,adbinstallコマンドに対する実行権限を付与してください。

    また,tar.gz形式のファイルに対する読み取り権限も付与してください

    chmod 500 /home/adbmanager/install/adbinstall
    chmod 400 /home/adbmanager/install/hitachi_advanced_data_binder_server-$VER.tar.gz

    $VERは,HADBサーバのバージョンとリリース番号です。

  8. HADBサーバをインストールする

    adbinstallコマンドを実行して,HADBサーバをインストールしてください。

    /home/adbmanager/install/adbinstall -s /HADB/server

    下線部分には,手順2.で作成したインストールデータを格納するディレクトリを指定します。

    -sオプションには,使用中のサーバディレクトリ(この例では/HADB/server)の絶対パスを指定します。

    重要
  9. KFAA91554-Qメッセージに応答する

    adbinstallコマンドを実行すると,ディレクトリを上書きしてよいかどうかを確認するKFAA91554-Qメッセージが出力されます。yまたはYを入力して,ディレクトリを上書きしてください。

  10. HADBサーバが正常にインストールされたことを確認する

    サーバディレクトリ下にあるadbinstsv.logファイルを開いて内容を確認してください。HADBサーバが正常にインストールされている場合は,次のどちらかの情報が記載されています。

    • P-aaaa-bbbb Hitachi Advanced Data Binder vv-rr (yyyymmddhhmmss)

    • P-aaaa-bbbb Hitachi Advanced Data Binder vv-rr-/s (yyyymmddhhmmss)

    P-aaaa-bbbbは,HADBサーバのPP形名を示しています。

    vv-rrおよびvv-rr-/sは,HADBサーバのバージョンを示しています。

    yyyymmddhhmmssは,HADBサーバのインストールを実行した日付と時刻を示しています。

    メモ
    • adbinstsv.logファイルがすでにある状態のときにadbinstallコマンドを実行すると,adbinstsv.logファイルの内容が更新されます。また,adbinstallコマンドを複数回実行した場合,最後に実行した日付と時刻が記載されます。

    • adbinstallコマンドのリターンコード(KFAA91552-Iメッセージに出力されるリターンコード)が0または4以外の場合,adbinstsv.logファイルの内容は更新されません。

    • adbinstallコマンドの実行時にKFAA91555-Iメッセージが出力された場合,adbinstsv.logファイルの内容は更新されません。

  11. HADBサーバのバージョンを確認する

    次のコマンドを実行して,HADBサーバのバージョン情報を確認してください。

    adbls -d ver
    [マルチノード機能]

    マルチノード機能を使用している場合は,全ノードのHADBサーバで上記のコマンドを実行し,HADBサーバのバージョン情報を確認してください。

    adbls -d verコマンドを実行しても,バージョン情報が表示されない場合は,次に示す環境変数が正しく設定されていないおそれがあります。

    • 環境変数ADBDIRにサーバディレクトリが指定されていない

    • 環境変数PATHにサーバディレクトリ下のbinディレクトリが指定されていない

    境変数については,「8.4 環境変数の設定」を参照してください。

  12. データベースをバージョンアップする

    次に示すHADBのコマンドを実行して,HADBサーバを開始してください。バージョンアップ処理が開始されます。

    adbstart

    adbstartコマンドの実行後,データベースをバージョンアップしてよいかを確認するKFAA91107-Qメッセージが出力されます。y(またはY)を入力して,データベースをバージョンアップしてください。

    adbstartコマンドが正常終了すれば,HADBサーバのバージョンアップは完了です。

    [マルチノード機能]

    マルチノード機能を使用している場合は,「18.5.1 マルチノード構成のHADBサーバの開始方法」を参照して,マルチノード構成のHADBサーバを開始してください。このとき,プライマリノードのHADBサーバを開始すると,データベースをバージョンアップしてよいかを確認するKFAA91107-Qメッセージが出力されます。y(またはY)を入力して,データベースをバージョンアップしてください。

    全ノードのHADBサーバが正常に開始すれば,HADBサーバのバージョンアップは完了です。

    重要

    adbstartコマンドが正常終了しないで,HADBサーバのバージョンアップが失敗した場合は,「8.6.4 バージョンアップに失敗した場合の対処方法」を参照してください。

■KFAA91553-Eメッセージが出力された場合

次に示す場合は,adbinstallコマンドがエラーになり,KFAA91553-Eメッセージが出力されます。この場合,対象のディレクトリに対する書き込み権限をHADB管理者に付与してください。

  • -sオプションに指定したディレクトリに対して,HADB管理者が書き込み権限を持っていない場合

  • インストールデータを格納するディレクトリに対して,HADB管理者が書き込み権限を持っていない場合

■KFAA91558-Wメッセージが出力された場合

HADB管理者のOSアカウントではなく,rootadbinstallコマンドを実行した場合は,警告メッセージ(KFAA91558-Wメッセージ)が出力されます。通常,HADB管理者のOSアカウントで,adbinstallコマンドを実行します。そのため,KFAA91558-Wメッセージが出力された場合は,rootadbinstallコマンドを実行して問題がないかどうかを確認してください。

問題がある場合は,KFAA91558-Wメッセージが出力されたあとに出力されるKFAA91559-Qメッセージの入力要求に対して,nまたはNを入力してください。そのあとで,HADB管理者のOSアカウントでadbinstallコマンドを実行してください。

また,root以外のスーパユーザでadbinstallコマンドを実行した場合は,KFAA91558-Wメッセージは出力されません。

メモ

rootは,OSのid -uコマンドを実行して表示される値が0のユーザを指します。また,OSのsuコマンドを使用して,ほかのOSユーザからrootに切り替えたあとで,OSのid -uコマンドを実行して表示される値が0のときも含みます。

■HADBオプションをインストールしている場合

HADBオプションをインストールしている場合は,バージョンアップしたHADBサーバに対応しているバージョンのHADBオプションをインストールしてください。HADBオプションのインストール方法については,「8.2.4 HADBオプションのインストール手順」を参照してください。

なお,HADBオプションのインストールの際にadboptinstallコマンドを実行すると,Amazon S3用ライブラリ(libadbcldstge-aws.soまたはAzure Blob Storage用ライブラリ(libadbcldstge-azure.soも自動的にバージョンアップされます。そのため,Amazon S3用ライブラリまたはAzure Blob Storage用ライブラリのアンインストールは不要です。