Hitachi

Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


14.8.3 バックアップの運用例(OSコマンドを使用)

ここでは,OSのコマンドを使用したバックアップの運用例(フルバックアップを取得する運用例)について説明します。

〈この項の構成〉

(1) システムの構成例

3つのノード(hadb01,hadb02,hadb03)で構成されるマルチノード構成で,マスタノードはhadb01とします。DBディレクトリおよびアーカイブディレクトリは,次の構成となっているとします。

■hadb01のディレクトリ構成

DBディレクトリ構成

/home/user01/db
 ├ADBDIC:ブロックスペシャルファイル(サイズは10MB)
 ├ADBMST:ブロックスペシャルファイル(サイズは512MB)
 ├ADBSTBL:ブロックスペシャルファイル(サイズは512MB)
 ├ADBWORK:ローカルファイルシステム上のディレクトリ
 ├ADBWRK:ブロックスペシャルファイル(サイズは2GB)
 ├ADBUTBL01:ブロックスペシャルファイル(サイズは4GB)
 ├ADBUIDX01:ブロックスペシャルファイル(サイズは2GB)
 ├SPOOL:ローカルファイルシステム上のディレクトリ
 └ADBSYS:システムディレクトリ

アーカイブディレクトリ構成

/home/user01/archive

アーカイブディレクトリは,アーカイブマルチチャンク表を定義した場合に作成するディレクトリです。

■hadb02のディレクトリ構成

DBディレクトリ構成

/home/user01/db
 ├ADBDIC:ブロックスペシャルファイル
 ├ADBMST:ブロックスペシャルファイル
 ├ADBSTBL:ブロックスペシャルファイル
 ├ADBWORK:ローカルファイルシステム上のディレクトリ
 ├ADBWRK:ブロックスペシャルファイル
 ├ADBUTBL01:ブロックスペシャルファイル
 ├ADBUIDX01:ブロックスペシャルファイル
 ├SPOOL:ローカルファイルシステム上のディレクトリ
 └ADBSYS:システムディレクトリのファイルシステムのマウントポイント

アーカイブディレクトリ構成

/home/user01/archive

アーカイブディレクトリは,アーカイブマルチチャンク表を定義した場合に作成するディレクトリです。

■hadb03のディレクトリ構成

DBディレクトリ構成

/home/user01/db
 ├ADBDIC:ブロックスペシャルファイル
 ├ADBMST:ブロックスペシャルファイル
 ├ADBSTBL:ブロックスペシャルファイル
 ├ADBWORK:ローカルファイルシステム上のディレクトリ
 ├ADBWRK:ブロックスペシャルファイル
 ├ADBUTBL01:ブロックスペシャルファイル
 ├ADBUIDX01:ブロックスペシャルファイル
 ├SPOOL:ローカルファイルシステム上のディレクトリ
 └ADBSYS:システムディレクトリのファイルシステムのマウントポイント

アーカイブディレクトリ構成

/home/user01/archive

アーカイブディレクトリは,アーカイブマルチチャンク表を定義した場合に作成するディレクトリです。

(2) バックアップの取得

OSのコマンドを使用して,バックアップを取得する手順を説明します。

手順

  1. マルチノード構成のHADBサーバを終了する※1

    adbstop
    KFAA90000-I adbstop processing started.
    KFAA91154-I The HADB system was terminated normally.
    KFAA90001-I adbstop processing ended. (return code = 0)
     
    monend

    マスタノードのhadb01でadbstopコマンドを実行し,全ノードのHADBサーバが正常終了したあとに,HAモニタのmonendコマンドを実行してください。

  2. OSのコマンドでバックアップを取得する

    OSのcpコマンドおよびddコマンドをマスタノードのhadb01で実行し,DBディレクトリとアーカイブディレクトリのバックアップを取得します。

    DBディレクトリのバックアップの取得

    cp -r /home/user01/db/ADBSYS /home/user01/db_bkup/ADBSYS
    dd if=/home/user01/db/ADBMST of=/home/user01/db_bkup/ADBMST bs=524288
    dd if=/home/user01/db/ADBDIC of=/home/user01/db_bkup/ADBDIC bs=524288
    dd if=/home/user01/db/ADBSTBL of=/home/user01/db_bkup/ADBSTBL bs=524288
    dd if=/home/user01/db/ADBUTBL01 of=/home/user01/db_bkup/ADBUTBL01 bs=524288
    dd if=/home/user01/db/ADBUIDX01 of=/home/user01/db_bkup/ADBUIDX01 bs=524288

    バックアップの取得先ディレクトリは/home/user01/db_bkupです。

    システムディレクトリが$DBDIR/ADBSYSにマウントされていない場合は,OSのmountコマンドを実行してマウントしてください。

    なお,ブロックスペシャルファイルのデータをバックアップする場合,ボリューム全体をコピーするため,実際の使用量よりもバックアップ容量が増えます。

    アーカイブディレクトリのバックアップの取得

    cp -r /home/user01/archive /home/user01/archive_bkup

    アーカイブマルチチャンク表を定義している場合は,アーカイブディレクトリのバックアップを取得する必要があります。

    アーカイブディレクトリをNFSサーバ上に作成している場合は,アーカイブディレクトリのバックアップをスレーブノードで取得する必要はありません。

  3. マルチノード構成のHADBサーバを開始する※2

    adbstart

    hadb01〜hadb03の全ノードで,adbstartコマンドおよびHAモニタのmonbeginコマンドを実行してください。adbstartコマンドの実行後,別ターミナル(コマンド入力画面)から,HAモニタのmonbeginコマンドを実行してください。

    注意事項

    adbstartコマンドが終了する前に,monbeginコマンドを実行してください。

    monbegin
注※1

手順1.は,次の方法で代替することもできます。

マスタノードのhadb01でadbchgsrvmodeコマンドを実行し,マスタノードのHADBサーバの稼働モードを静止モードに変更します。

adbchgsrvmode --quiescence
注※2

手順1.で注※1の方法を実施した場合は,マスタノードのhadb01でadbchgsrvmodeコマンドを実行し,マスタノードのHADBサーバの稼働モードを通常モードに変更してください。

adbchgsrvmode --normal

(3) バックアップからの回復

バックアップからの回復手順を説明します。

手順

  1. マルチノード構成のHADBサーバを終了する

    adbstop
    KFAA90000-I adbstop processing started.
    KFAA91154-I The HADB system was terminated normally.
    KFAA90001-I adbstop processing ended. (return code = 0)
     
    monend

    マスタノードのhadb01でadbstopコマンドを実行し,全ノードのHADBサーバが正常終了したあとに,HAモニタのmonendコマンドを実行してください。

  2. OSのコマンドでデータベースを回復する

    OSのcpコマンドおよびddコマンドをマスタノードのhadb01で実行し,バックアップからDBディレクトリとアーカイブディレクトリを回復します。

    DBディレクトリの回復

    cp -r /home/user01/db_bkup/ADBSYS /home/user01/db/ADBSYS
    dd if=/home/user01/db_bkup/ADBMST of=/home/user01/db/ADBMST bs=524288
    dd if=/home/user01/db_bkup/ADBDIC of=/home/user01/db/ADBDIC bs=524288
    dd if=/home/user01/db_bkup/ADBSTBL of=/home/user01/db/ADBSTBL bs=524288
    dd if=/home/user01/db_bkup/ADBUTBL01 of=/home/user01/db/ADBUTBL01 bs=524288
    dd if=/home/user01/db_bkup/ADBUIDX01 of=/home/user01/db/ADBUIDX01 bs=524288

    バックアップファイルの格納ディレクトリは,/home/user01/db_bkupです。

    システムディレクトリが$DBDIR/ADBSYSにマウントされていない場合は,OSのmountコマンドを実行してマウントしてください。

    アーカイブディレクトリの回復

    rm -r /home/user01/archive/*
    cp -r /home/user01/archive_bkup/archive/* /home/user01/archive

    アーカイブマルチチャンク表を定義している場合は,アーカイブディレクトリを回復する必要があります。

    アーカイブディレクトリをNFSサーバ上に作成している場合は,スレーブノードでアーカイブディレクトリを回復する必要はありません。

  3. マルチノード構成のHADBサーバを開始する

    adbstart

    hadb01〜hadb03の全ノードで,adbstartコマンドおよびHAモニタのmonbeginコマンドを実行してください。adbstartコマンドの実行後,別ターミナル(コマンド入力画面)から,HAモニタのmonbeginコマンドを実行してください。

    注意事項

    adbstartコマンドが終了する前に,monbeginコマンドを実行してください。

    monbegin

    マルチノード構成のHADBサーバの開始後,マスタノードのHADBサーバの稼働モードが静止モードの場合,マスタノードのhadb01でadbchgsrvmodeコマンドを実行し,マスタノードのHADBサーバの稼働モードを通常モードに変更してください。

    adbchgsrvmode --normal