Hitachi

Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


7.7.5 バージョンアップ時の注意事項

ここでは,バージョン03-00より前のバージョンのHADBサーバをバージョンアップした場合の注意事項を次に示します。

〈この項の構成〉

(1) 値式と集合演算の結果

バージョン03-00より前のバージョンのHADBサーバをバージョンアップすると,次に示す値式と集合演算の結果のデータ型,データ長および結果の値が,バージョンアップ前とは変わります。バージョンアップの前後で,結果が変わる項目を次の2つの表に示します。

表7‒12 結果のデータ型とデータ長が変わる項目

項番

結果のデータ型とデータ長が変わる項目

説明

1

集合関数

PERCENTILE_CONT

結果のデータ型が,被集約引数のデータ型からDOUBLE PRECISION型に変わります。

2

MEDIAN

3

0バイトの定数

CHAR(0)からVARCHAR(1)の実長0のデータに変わります。

4

CASE式

結果のデータ型が文字データの場合,結果のデータ型がVARCHAR型に変わります。

5

スカラ関数

COALESCE

結果のデータ型が文字データの場合,結果のデータ型がVARCHAR型に変わります。

6

DECODE

7

GREATEST

8

LEAST

9

NULLIF

10

CEIL

対象データがDECIMAL型の場合,結果のデータ型がDECIMAL(対象データの精度,対象データの位取り)から,DECIMAL(対象データの精度,0)に変わります。

11

FLOOR

12

ROUND

対象データがDECIMAL型(精度が38の場合を除く)の場合,結果のデータ型がDECIMAL(対象データの精度,対象データの位取り)から,DECIMAL(対象データの精度+1,対象データの位取り)に変わります。

13

集合演算

UNION

集合演算の結果,導出される列のデータ型が変わります。

各問合せ一次子の結果導出される列で対応する列のデータ型がすべてCHAR型であり,かつ最大長がすべて等しい場合は,結果のデータ型はCHAR型になります。それ以外の場合は,結果のデータ型はVARCHAR型になります。

14

UNION ALL

表7‒13 結果の値が変わる項目

項番

結果の値が変わる項目

説明

1

スカラ関数

CAST

変換後の長さが,結果のデータ長よりも大きい場合は,エラーとしないで小数部を切り捨てます。

2

CONVERT(数値書式の指定なし,DOUBLE PRECISION型から文字データへの変換)

3

SUBSTR

次の項目について,ナル値ではなく,実長0バイトのデータを返却します。

  • 結果の文字列の長さが0の場合

  • 抽出元に実長0バイト(文字)のデータを指定した場合

  • 抽出文字数が0の場合

  • 開始位置の絶対値が抽出元の文字数より大きい場合

次の項目について,エラーではなく,開始位置を1として扱います。

  • 開始位置に0を指定した場合

次の項目について,ナル値ではなく,抽出できるデータを返却します。

  • 抽出文字数に32,000を超える値を指定した場合

4

LEFT

5

RIGHT

6

TRIM

次の項目について,ナル値ではなく,実長0バイトのデータを返却します。

  • 対象データに実長0バイト(文字)のデータを指定した場合

  • 対象データに指定した文字列がすべて取り除かれた場合

7

LTRIM

8

RTRIM

(2) 以前のバージョンで定義したビュー表の検索結果

バージョン03-00より前のバージョンのHADBサーバで定義したビュー表に,次に示す項目が含まれる場合は,「7.7.5(1) 値式と集合演算の結果」で示す内容に従って,結果のデータ型およびデータ長が求められます。

そのあとで,バージョン03-00より前のバージョンのHADBサーバで求めたデータ型およびデータ長となるように,スカラ関数CONVERTが実行されます。

対象の項目

(3) マルチノード機能を使用するシステムに変更する場合

バージョンアップ時にマルチノード機能を使用するシステムに変更する場合,バージョンアップとマルチノード機能を使用するシステムへの変更は一度にできません。バージョンアップ前に,サーバ定義にマルチノード機能のオペランドを指定すると,バージョンアップに失敗します(KFAA50038-Eメッセージが出力されます)。バージョンアップを実施したあとに,マルチノード機能を使用するシステムへの変更を実施してください。

KFAA50038-Eメッセージが出力された場合の対処方法については,「7.7.4(3)(c) 変数aa....aaがof using the multiple node facilityの場合」を参照してください。