Hitachi

Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


7.7.2 バージョンアップする

7.7.1 バージョンアップ前に実施すること」で示したことを実施したら,次の手順に従ってHADBサーバをバージョンアップしてください。

[マルチノード機能]

マルチノード機能を使用している場合は,全ノードのHADBサーバに対して,「手順1. HADB管理者のOSアカウントでOSにログインする」から「手順9. HADBサーバが入れ替わっていることを確認する」をそれぞれ実施してください。そのあとで,「手順10. データベースをバージョンアップする」を実施してください。

手順

  1. HADB管理者のOSアカウントでOSにログインする

    今まで使用していたHADB管理者のOSアカウントで,サーバマシンのOSにログインしてください。

    注意事項

    HADB管理者のOSアカウントを変更しないでください。HADB管理者のOSアカウントを変更した場合,HADBサーバを正しくバージョンアップできないおそれがあります。

  2. インストールデータを格納するディレクトリを作成する

    HADBサーバのインストールデータを格納する任意のディレクトリを作成します。次に示すOSのコマンドを入力して,インストールデータを格納する任意のディレクトリを作成してください。

    mkdir 任意のディレクトリのパス名

    任意のディレクトリのパス名を,/home/adbmanager/vupとした場合の実行例を次に示します。

    ■コマンドの実行例

    mkdir /home/adbmanager/vup
  3. インストールデータを格納するディレクトリに書き込み権限を付与する

    HADB管理者が書き込みできるように,インストールデータを格納する任意のディレクトリに対して,書き込み権限を付与します。次に示すOSのコマンドを入力して,書き込み権限を付与してください。

    chmod 755 任意のディレクトリのパス名

    任意のディレクトリのパス名を,/home/adbmanager/vupとした場合の実行例を次に示します。

    ■コマンドの実行例

    chmod 755 /home/adbmanager/vup
  4. CD-ROMファイルシステムをマウントする

    HADBサーバのインストールデータ(tar.gzファイル)が格納されたCD-ROMファイルシステムを自動マウントしてください。

    CD-ROMファイルシステムが自動マウントされない場合,CD-ROMファイルシステムをマウントする必要があります。次に示すOSのコマンドを入力して,CD-ROMファイルシステムをマウントしてください。

    mount /dev/cdrom /media

    下線部分は,CD-ROMファイルシステムのマウントディレクトリ名です。環境によって異なります。

    注意事項

    CD-ROMのディレクトリ名やファイル名は,マシンによって記述した内容と表示が異なることがあります。OSのlsコマンドを実行して,表示されたディレクトリ名をそのまま入力してください。

  5. インストールコマンド(adbinstallコマンド)をコピーする

    マウントしたCD-ROMファイルシステムに格納されているHADBサーバのインストールコマンド(adbinstallコマンド)を,任意のディレクトリにコピーします。

    次に示すOSのコマンドを入力して,adbinstallコマンドを任意のディレクトリにコピーしてください。

    cp /media/adbinstall 任意のディレクトリのパス名

    下線部分は,CD-ROMファイルシステムのマウントディレクトリ名です。環境によって異なります。

    任意のディレクトリのパス名を,/home/adbmanager/vupとした場合の実行例を次に示します。

    ■コマンドの実行例

    cp /media/adbinstall /home/adbmanager/vup
  6. インストールデータ(tar.gzファイル)をコピーする

    マウントしたCD-ROMファイルシステムに格納されているHADBサーバのインストールデータ(tar.gzファイル)を,任意のディレクトリにコピーします。

    次に示すOSのコマンドを入力して,tar.gzファイルを任意のディレクトリにコピーしてください。

    cp /media/hitachi_advanced_data_binder_server-$VR.tar.gz
       任意のディレクトリのパス名

    下線部分は,CD-ROMファイルシステムのマウントディレクトリ名です。環境によって異なります。また,$VRは,HADBのバージョンおよびリリース番号を示します。

    注意事項

    「手順5. インストールコマンド(adbinstallコマンド)をコピーする」でadbinstallコマンドを格納したディレクトリと同じディレクトリに,tar.gzファイルをコピーしてください。adbinstallコマンドとtar.gzファイルを同じディレクトリに格納しないと,HADBサーバをバージョンアップできません。

    任意のディレクトリのパス名が,/home/adbmanager/vupとした場合の実行例を次に示します。

    ■コマンドの実行例

    cp /media/hitachi_advanced_data_binder_server-$VR.tar.gz
       /home/adbmanager/vup
  7. インストールコマンド(adbinstallコマンド)に実行権限を付与する

    任意のディレクトリにコピーしたHADBサーバのインストールコマンド(adbinstallコマンド)に対して,HADB管理者が実行できるように,実行権限を付与します。

    インストールコマンド(adbinstallコマンド)の格納先を,/home/adbmanager/vupとした場合の実行例を次に示します。

    ■コマンドの実行例

    chmod 777 /home/adbmanager/vup/adbinstall

    これで,インストールコマンド(adbinstallコマンド)に実行権限が付与されます。

  8. HADBサーバを入れ替える

    任意のディレクトリにコピーしたインストールコマンド(adbinstallコマンド)を実行して,HADBサーバを入れ替えます。

    次に示すHADBのコマンドを入力して,HADBサーバを入れ替えてください。

    /vup/adbinstall -s サーバディレクトリのパス名

    -sオプションには,使用しているサーバディレクトリの絶対パスを指定してください。HADB管理者が書き込みできないディレクトリを-sオプションに指定した場合,KFAA91553-Eメッセージが出力されてエラーになります。

    また,インストールコマンド(adbinstallコマンド)とインストールデータ(tar.gzファイル)を格納するディレクトリに,HADB管理者が書き込みできない場合も,KFAA91553-Eメッセージが出力されてエラーになります。

    KFAA91553-Eメッセージが出力された場合は,対象のディレクトリに書き込み権限を付与してください。

    下線部分は,adbinstallコマンドをコピーして格納した任意のディレクトリのパス名になります。

    adbinstallコマンドの実行時,ディレクトリを上書きしてよいかどうかを示すKFAA91554-Qメッセージが出力されます。[Y]キーを押して,上書きしてください。

    任意のディレクトリのパス名を/home/adbmanager/vup,サーバディレクトリのパス名を/home/adbmanager/serverとした場合の実行例を次に示します。

    ■コマンドの実行例

    /home/adbmanager/vup/adbinstall -s /home/adbmanager/server

    なお,HADB管理者のOSアカウントではなく,rootでadbinstallコマンドを実行した場合は,警告メッセージ(KFAA91558-Wメッセージ)が出力されます。通常,HADB管理者のOSアカウントで,adbinstallコマンドを実行します。そのため,KFAA91558-Wメッセージが出力された場合は,rootでadbinstallコマンドを実行して問題がないかどうかを確認してください。

    問題がある場合は,KFAA91558-Wメッセージが出力されたあとに出力されるKFAA91559-Qメッセージの入力要求に対して,nまたはNを入力してください。そのあとで,HADB管理者のOSアカウントでadbinstallコマンドを実行してください。

    また,root以外のスーパユーザでadbinstallコマンドを実行した場合は,KFAA91558-Wメッセージは出力されません。

    参考

    rootは,OSのid -uコマンドを実行して表示される値が0のユーザを指します。また,OSのsuコマンドを使用して,ほかのOSユーザからrootに切り替えたあとで,OSのid -uコマンドを実行して表示される値が0のときも含みます。

  9. HADBサーバが入れ替わっていることを確認する

    「手順8. HADBサーバを入れ替える」で実施したHADBサーバの入れ替え作業が完了していることを確認します。次に示すHADBのコマンドを実行して,HADBサーバのバージョン情報を確認してください。

    [マルチノード機能]

    マルチノード機能を使用している場合は,全ノードのHADBサーバで次に示すコマンドを実行して,HADBサーバのバージョン情報を確認してください。

    adbls -d ver

    adbls -d verコマンドを実行しても,バージョン情報が表示されない場合は,次に示す環境変数が正しく設定されていないおそれがあります。

    • 環境変数ADBDIRに,「手順8. HADBサーバを入れ替える」で入れ替えたサーバディレクトリが設定されていない

    • 環境変数PATHに,「手順8. HADBサーバを入れ替える」で入れ替えたサーバディレクトリ下のbinディレクトリが設定されていない

      参考

      環境変数については,「7.4 環境変数の設定」を参照してください。

  10. データベースをバージョンアップする

    次に示すHADBのコマンドを実行して,HADBサーバを開始してください。バージョンアップ処理が開始されます。

    adbstart

    adbstartコマンドの実行後,データベースをバージョンアップしてよいかを確認するKFAA91107-Qメッセージが出力されます。[Y]キーを押して,データベースをバージョンアップしてください。

    adbstartコマンドが正常終了すれば,HADBサーバのバージョンアップは完了です。

    [マルチノード機能]

    マルチノード機能を使用している場合は,「14.4.1 マルチノード構成のHADBサーバの開始方法」を参照して,マルチノード構成のHADBサーバを開始してください。このとき,マスタノードのHADBサーバを開始すると,データベースをバージョンアップしてよいかを確認するKFAA91107-Qメッセージが出力されます。[Y]キーを押して,データベースをバージョンアップしてください。

    全ノードのHADBサーバが正常に開始すれば,HADBサーバのバージョンアップは完了です。

    注意事項

    adbstartコマンドが正常終了しないで,HADBサーバのバージョンアップが失敗した場合は,「7.7.4 バージョンアップに失敗した場合の対処方法」を参照してください。