インナレプリカ機能 HiRDB Staticizer Option Version 8

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3.7.1 レプリカRDエリアを利用したオリジナルRDエリアの回復

オリジナルRDエリアに障害が発生した場合に備え,オリジナルRDエリアを使った業務の運用中に,レプリカRDエリアのバックアップを取得しておきます。次の図に示すように,バックアップ取得後,オリジナルRDエリアに障害が発生した場合は,レプリカRDエリアで取得したバックアップを使用して,オリジナルRDエリアの障害を回復します。

図3-8 レプリカRDエリアを利用したオリジナルRDエリアの回復

[図データ]

以降,前述の図に示す(1)から(3)の手順について説明します。

<この項の構成>
(1) レプリカRDエリアのバックアップの取得
(2) オリジナルRDエリアの回復
(3) 回復後のレプリカRDエリアのバックアップの取得

(1) レプリカRDエリアのバックアップの取得

レプリカRDエリアのバックアップは,次の手順で取得します。

  1. レプリカRDエリアの閉塞かつクローズ
  2. オリジナルRDエリアの静止化(バックアップ閉塞化)
  3. ペアボリュームの分離
  4. オリジナルRDエリアの閉塞解除
  5. レプリカRDエリアのバックアップの取得
  6. ペアボリュームの生成

以降,各操作の手順について説明します。

(a) レプリカRDエリアの閉塞かつクローズ

バックアップを取得するレプリカRDエリアを閉塞かつクローズ状態にします。次に,pdholdコマンドの実行例を示します。

pdholdコマンドの実行例
 
pdhold -r RD01 -q 1 -c
 
(b) オリジナルRDエリアの静止化(バックアップ閉塞化)

オリジナルRDエリアとレプリカRDエリア用にペアボリューム化されているものを,レプリカRDエリアへ物理的にアクセスできるように,ペアボリュームを分離する必要があり,その前に,オリジナルRDエリアを参照可能バックアップ閉塞(更新WAITモード)状態にしておきます。これによって,バッファの内容が,オリジナルRDエリアに反映されます。ハードウェアでミラーリングを実現する場合は,同時に,レプリカRDエリアへも反映されます。次に,pdholdコマンドの実行例を示します。

pdholdコマンドの実行例
 
pdhold -r RD01 -q 0 -b -w
 
(c) ペアボリュームの分離

ペアボリュームを分離し,バックアップ取得対象のレプリカRDエリアの実体へ物理的にアクセスできるようにします。ペアボリュームの分離は,ミラーリング機能を使って実現します。日立ディスクアレイサブシステムを使用している場合は,「付録A.3 日立ディスクアレイサブシステム使用時の注意事項および操作手順」を参照してください。

(d) オリジナルRDエリアの閉塞解除

(c) ペアボリュームの分離」によって,レプリカRDエリアの実体へ物理的にアクセスできるようになると,オリジナルRDエリアを閉塞状態にしておく必要はないため,解除します。閉塞状態を解除することで,業務を再開できます。閉塞状態の解除には,pdrelsコマンドを使用します。次に,pdrelsコマンドの実行例を示します。

pdrelsコマンドの実行例
 
pdrels -r RD01 -q 0
 
(e) レプリカRDエリアのバックアップの取得

pdcopyコマンドを使用してレプリカRDエリアのバックアップを取得します。このとき,-qオプションに取得するレプリカRDエリアの世代番号を指定して実行します。次に,pdcopyコマンドの実行例を示します。

pdcopyコマンドの実行例
 
pdcopy -m /hirdb/rdarea/rdmast/rdmast01
       -b /bkdir/bkup01
       -r RD01
       -q 1
 
(f) ペアボリュームの生成

(e) レプリカRDエリアのバックアップの取得」でバックアップが取得できたため,オリジナルとレプリカのボリュームをペアボリュームに戻します。ハードウェアでミラーリング機能を実現する場合には,分離していた間のオリジナルRDエリアに対する更新内容は,自動的にレプリカRDエリアへ反映されます。日立ディスクアレイサブシステムを使用している場合は,「付録A.3 日立ディスクアレイサブシステム使用時の注意事項および操作手順」を参照してください。

(2) オリジナルRDエリアの回復

図3-8に示すように,オリジナルRDエリアに障害が発生した場合,「(1) レプリカRDエリアのバックアップの取得」で取得したバックアップを使って,オリジナルRDエリアを回復します。

ここでは,正のボリューム(オリジナルRDエリア)で障害が発生した場合の回復手順を示します。回復は,次の手順で実施します。

  1. オリジナルRDエリアのクローズ
  2. オリジナルRDエリアのハードディスクの取り替え
  3. ログのアンロード
  4. オリジナルRDエリアの回復

以降,各操作の手順について説明します。

(a) オリジナルRDエリアのクローズ

ここでは,障害によって,オリジナル側のハードディスクが破壊されたと考え,オリジナル側を新しいハードディスクに取り替えて対応することにします。そのため,取り替え前には,オリジナルRDエリアをクローズする必要があります。RDエリアのクローズには,pdcloseコマンドを使用します。このとき,-qオプションにオリジナルRDエリアの世代番号0を指定します。次に,pdcloseコマンドの実行例を示します。

pdcloseコマンドの実行例
 
pdclose -r RD01 -q 0
 
(b) オリジナルRDエリアのハードディスクの取り替え

ハードディスクを新しいものに取り替えます。取り替えたあと,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」の「ディスク障害が発生したときの対処方法」で示すRDエリアの回復の直前までの手順を実施しておく必要があります。ハードディスクそのものの取り替え方法については,ハードディスクなどのマニュアルを参照してください。

(c) ログのアンロード

ハードディスクの取り替えが完了したら,オリジナルとレプリカのRDエリアを障害発生前の状態まで回復します。回復には,システムログのアンロードファイルが必要です。アンロードファイルは,pdlogunldコマンドを使って取得します。次に,pdlogunldコマンドの実行例を示します。

pdlogunldコマンドの実行例
 
pdlogunld -d sys -s bes1 -g logfg01 -o /uldir/ulog01
 
(d) オリジナルRDエリアの回復

オリジナルとレプリカの両方のRDエリアの回復が必要ですが,ハードウェアでミラーリング機能が有効な場合,オリジナルを回復することで,ミラーリングのコピー機能でレプリカRDエリアにも反映されます。

RDエリアの回復にはpdrstrコマンドを使用します。pdrstrコマンドの-bオプションには「(1) レプリカRDエリアのバックアップの取得」で取得したバックアップファイルを指定し,-lオプションには「(c) ログのアンロード」で取得したアンロードファイルを指定します。次に,pdrstrコマンドの実行例を示します。

pdrstrコマンドの実行例
 
pdrstr -m /hirdb/rdarea/rdmast/rdmast01
       -b /bkdir/bkup01
       -l /uldir/ulog01
       -r RD01 -q 0
 

(3) 回復後のレプリカRDエリアのバックアップの取得

障害の回復後,レプリカRDエリアのバックアップを取得します。バックアップ取得前には,オリジナルRDエリアの更新業務は再開しておきます。

  1. ペアボリュームの分離
  2. オリジナルRDエリアの閉塞解除とオープン
  3. オリジナルRDエリアに対する更新業務の再開
  4. レプリカRDエリアのバックアップ取得
  5. ペアボリュームの生成

以降,手順3以外の各操作の手順について説明します。

(a) ペアボリュームの分離

(1) レプリカRDエリアのバックアップの取得」の操作の中で,ペアボリューム化を設定してありましたが,障害回復後のレプリカRDエリアのバックアップを取得するために,ここでは,ペアボリュームを分離します。これ以降,レプリカRDエリアに物理的にアクセスできるようになります。ペアボリュームの分離は,ミラーリング機能を使って実現します。日立ディスクアレイサブシステムを使用している場合は,「付録A.3 日立ディスクアレイサブシステム使用時の注意事項および操作手順」を参照してください。

(b) オリジナルRDエリアの閉塞解除とオープン

(a) ペアボリュームの分離」によって,レプリカRDエリアの実体へ物理的にアクセスできるようになると,オリジナルRDエリアを閉塞状態にしておく必要はないため,解除し,オープンします。閉塞状態を解除し,オープンすることで,業務を再開できます。閉塞解除およびオープンには,pdrelsコマンドを使用します。次に,pdrelsコマンドの実行例を示します。

pdrelsコマンドの実行例
 
pdrels -r RD01 -q 0 -o
 
(c) レプリカRDエリアのバックアップ取得

障害回復後,回復後のレプリカRDエリアのバックアップファイルを取得しておきます。バックアップは,pdcopyコマンドを使用して取得します。このとき,-qオプションに取得するレプリカRDエリアの世代番号を指定して実行します。次に,pdcopyコマンドの実行例を示します。

pdcopyコマンドの実行例
 
pdcopy -m /hirdb/rdarea/rdmast/rdmast01
       -b /bkdir/bkup02
       -r RD01
       -q 1
 
(d) ペアボリュームの生成

(c) レプリカRDエリアのバックアップ取得」でバックアップが取得できると,オリジナルとレプリカのボリュームをペアボリュームに戻します。ハードウェアでミラーリング機能を実現する場合には,分離していた間のオリジナルRDエリアに対する更新内容は,ペアボリュームに戻すことによって,自動的にレプリカRDエリアへ反映されます。日立ディスクアレイサブシステムを使用している場合は,「付録A.3 日立ディスクアレイサブシステム使用時の注意事項および操作手順」を参照してください。