インナレプリカ機能 HiRDB Staticizer Option Version 8

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2.3 リソースの見積もり

レプリカを作成する前に,ディスク容量,共用メモリのサイズを見積もる必要があります。ここでは,それぞれの見積もり方法について説明します。

<この節の構成>
(1) ディスク容量の見積もり
(2) 共用メモリサイズの見積もり
(3) システムログファイルの容量の見積もり

(1) ディスク容量の見積もり

インナレプリカ機能を使用する場合,次の三つの領域(RDエリア)の見積もりが必要です。

(a) レプリカRDエリアの格納領域

レプリカの作成時には,レプリカ作成対象のユーザ用RDエリアまたはユーザLOB用RDエリアと同じだけの容量が,レプリカの数だけ必要になります。作成するレプリカの数を考慮した容量を確保してください。また,レプリカ作成対象となるユーザ用RDエリアまたはユーザLOB用RDエリアを新規に作成する場合は,作成するレプリカRDエリアの数を考慮して,ユーザ用RDエリアまたはユーザLOB用RDエリアの容量を見積もってください。ユーザ用RDエリアまたはユーザLOB用RDエリアの容量計算には,マニュアル「HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド」に記載されている見積もり式を使います。

(b) オリジナルとレプリカのRDエリアに関する定義情報を登録するための領域

レプリカを作成すると,オリジナルとレプリカのRDエリアの情報,レプリカの世代番号などがマスタディレクトリ用RDエリアへ登録されます。このため,作成するレプリカRDエリアの数などを考慮し,このRDエリアに必要な容量を見積もる必要があります。容量計算には,マニュアル「HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド」に記載されている見積もり式を使用してください。

(c) ユーザ表の定義情報を登録するための領域

レプリカを作成すると,レプリカRDエリア内のユーザ表の定義情報が,オリジナルRDエリア内のユーザ表と同様に,データディクショナリ用RDエリアへ登録されます。このため,作成するレプリカRDエリアの数などを考慮し,このRDエリアに必要な容量を見積もる必要があります。容量計算には,マニュアル「HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド」に記載されている見積もり式を使用してください。

(d) 更新可能なオンライン再編成に必要な領域(追い付き状態管理表を格納するユーザ用RDエリア)

ユーザ用RDエリアには,追い付き状態管理表,およびその表に定義するインデクスを格納します。したがって,ディスク所要量は,表の格納ページ数とインデクスの格納ページ数のそれぞれで必要となるセグメント数の和(2セグメント以上)となります。

表の格納ページ数:
次の値を基に,表の格納ページ数の計算方法(FIX指定のある表)から求めます。表の格納ページ数の計算方法(FIX指定のある表)については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド」を参照してください。
  • 表に格納する行の総数(a):該当するRDエリアに格納する,更新可能なオンライン再編成の対象となるサーバの数
  • ユーザ用RDエリアのページ長(b):RDエリア作成時に指定した値(単位:バイト)
  • CREATE TABLEで指定する未使用領域の比率(c):30(単位:%)
  • 各列のデータ長(Σdi):70(単位:バイト)
  • 表を格納するRDエリアのセグメントサイズ(g):RDエリア作成時に指定した値(単位:ページ)
  • CREATE TABLEで指定するセグメント内の空きページ比率(h):10(単位:%)
注※
-rオプションに指定するRDエリアの見積もりをする場合,1となります。
-oオプションに指定するRDエリアの見積もりをする場合,(HiRDBのすべてのバックエンドサーバの数)−(-rオプションで指定するRDエリア数)となります。

インデクスの格納ページ数:
次の値を基に,インデクスの格納ページ数の計算方法から求めます。インデクスの格納ページ数の計算方法については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド」を参照してください。
  • ユーザ用RDエリアのページ長(a):RDエリア作成時に指定した値(単位:バイト)
  • CREATE INDEXで指定する未使用領域の比率(b):30(単位:%)
  • キー値の重複が200以下のキーの種類の個数(c):該当するRDエリアに格納する更新可能なオンライン再編成の対象となるサーバの数※1×多重度数※2
  • キー値の重複が200以下のキーの重複数の平均値(d):1
  • キー値の重複が201以上のキーの種類の個数(e):0
  • キー値の重複が201以上のキーの重複数の平均値(f):0
  • DB格納キー長(g):12(単位:バイト)
  • ナル値以外のキーの種類の個数(h)
    UNIQUE指定のインデクスの場合,該当するRDエリアに格納する更新可能なオンライン再編成の対象となるサーバの数×多重度数
    UNIQUE指定でないインデクスの場合,24
注※1
-rオプションに指定するRDエリアの見積もりをする場合,1となります。
-oオプションに指定するRDエリアの見積もりをする場合,(HiRDBのすべてのバックエンドサーバの数)−(-rオプションで指定するRDエリア数)となります。
注※2
システム定義のpd_max_ferlect_process_countオペランドの指定値です。

(2) 共用メモリサイズの見積もり

レプリカを作成する場合
レプリカを作成する場合,バックエンドサーバまたはシングルサーバの排他制御で使用する(同時実行トランザクション数の排他資源として使用する)共用メモリサイズの見直しが必要です。共用メモリサイズは,HiRDB/シングルサーバの場合は最大同時接続数を考慮して見積もります。HiRDB/パラレルサーバの場合はサーバごとにバックエンドサーバ当たりの最大起動プロセス数を考慮して見積もります。共用メモリサイズの計算には,マニュアル「HiRDB Version 8 システム定義」に記載されている見積もり式を使用します。ここで見直した値は,シングルサーバ定義またはバックエンドサーバ定義のpd_lck_pool_sizeオペランドに指定します。シングルサーバの最大同時接続数は,システム共通定義(pdsys)のpd_max_usersオペランドを参照してください。バックエンドサーバ当たりの最大起動プロセス数は,バックエンドサーバ定義のpd_max_bes_processオペランドを参照してください。
論理ボリューム管理で運用する場合
物理的に複数あるディスクを一つのディスクのように扱う,論理ボリューム管理で運用する場合,レプリカRDエリアをオープン属性にするため,pd_lv_mirror_use = Yにします。このオペランドをYにすると,共用メモリが増加するため,共用メモリ不足でHiRDBを起動できない場合があります。

更新可能なオンライン再編成を行う場合
更新可能なオンライン再編成では,専用のメモリが必要になります。見積もり時に十分に検討してください。見積もり方法については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド」を参照してください。また,pd_max_reflect_process_countオペランドの指定は,共用メモリの容量に影響を与えます。詳細については,「付録D pd_max_reflect_process_countオペランドの留意事項と見積もり」を参照してください。

(3) システムログファイルの容量の見積もり

インナレプリカ機能を使用する場合,ログに拡張情報が付加されます。さらに,更新可能なオンライン再編成を行う場合,データベースの静止化から追い付き反映処理の完了までは,追い付き反映用のログが出力されるため,2倍のログが出力されます。そのため,インナレプリカ機能を使用する場合のシステムログファイルの総容量は,使用しない場合より多く準備する必要があります。

システムログファイルの容量の見積もりについては,マニュアル「HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド」を参照してください。