スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム運用ガイド(UNIX(R)用)

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付録B DVD-RAMライブラリ装置を使用するときの運用

ここでは,格納先デバイスとしてDVD-RAMライブラリ装置を使用するときの運用方法について説明します。

<この節の構成>
(1) システム共通定義の設定
(2) HiRDBファイルシステム領域の作成
(3) RDエリアのオープン契機

(1) システム共通定義の設定

DVD-RAMライブラリ装置を使用する場合,物理的なマウント動作(ステージング)に時間が掛かるため,不当なタイムアウト検知を回避するための配慮が必要です。そのため,次に示すオペランドの指定値については,従来の見積もり値にマウント動作時間を加えた値を指定するように検討してください。

(2) HiRDBファイルシステム領域の作成

DVD-RAMライブラリ装置上の通常ファイル又はキャラクタ型スペシャルファイルにHiRDBファイルシステム領域を作成します。

通常ファイルにHiRDBファイルシステム領域を作成する場合
DVD-RAMライブラリ装置上に作成したHiRDBファイルシステム領域は,磁気ディスク上に作成したHiRDBファイルシステム領域と同じように操作できます。ただし,性能及び信頼性の理由から,システムファイル用(SYS),作業表用ファイル用又はリスト用RDエリア用(WORK)のHiRDBファイルシステム領域として使用することはお勧めしません。

キャラクタ型スペシャルファイルにHiRDBファイルシステム領域を作成する場合
DVD-RAMライブラリ装置上のキャラクタ型スペシャルファイルにHiRDBファイルシステム領域を作成する場合,DVD-RAMライブラリ装置のセクタ長に注意してください。セクタ長が512又は1024バイトの場合は,磁気ディスク上のキャラクタ型スペシャルファイルに作成したHiRDBファイルシステム領域と同じように操作できます。ただし,性能及び信頼性の理由から,システムファイル用(SYS),作業表用ファイル用又はリスト用RDエリア用(WORK)のHiRDBファイルシステム領域として使用することはお勧めしません。

注意事項
セクタ長が2048又は4096バイトの場合は次に示すことに注意してください。
  1. ここで作成したHiRDBファイルシステム領域には,次に示すファイルだけを作成できます。
    ・RDエリア(リスト用RDエリアを除く)を構成するHiRDBファイル
    ・バックアップファイル
    ・アンロードログファイル
    ・アンロードデータファイル
  2. pdfmkfsコマンド実行時,-sオプションでセクタ長を指定してください。また,-kオプションでSYS,WORK,SVRを指定できません。
  3. データベース初期設定ユティリティ(pdinitコマンド)でRDエリアを定義するとき,ユティリティ制御文のpageオペランド(ページ長)にはセクタ長を整数倍した値を指定してください。
  4. データベース構成変更ユティリティ(pdmodコマンド)でRDエリアを追加,拡張,又は再初期化するとき,ユティリティ制御文のpageオペランド(ページ長)にはセクタ長を整数倍した値を指定してください。
    なお,RDエリアの再初期化時にpageオペランドを省略する場合は注意が必要です。再初期化前のRDエリアのページ長がセクタ長の整数倍でないと再初期化できません。
  5. pdfrstrコマンドでHiRDBファイルをリストアする場合,リストア対象のHiRDBファイルのレコード長がリストア先のHiRDBファイルシステム領域のセクタ長の整数倍である必要があります。HiRDBファイルのレコード長はpdflsコマンドで確認できます。
  6. データベース回復ユティリティ(pdrstrコマンド)でRDエリアを回復する場合,回復対象RDエリアのページ長がHiRDBファイルシステム領域のセクタ長の整数倍である必要があります。整数倍でないとRDエリアを回復できません。例えば,HiRDBファイルシステム領域を作成した媒体を物理的な障害などの理由で交換する場合,HiRDBファイルシステム領域のセクタ長は交換前のHiRDBファイルシステム領域のセクタ長と同じ大きさにしてください。

(3) RDエリアのオープン契機

DVD-RAMライブラリ装置にRDエリアを定義する場合,RDエリアのオープン契機をSCHEDULE属性にしてください。INITIAL属性(省略値)の場合,RDエリアの情報をメモリ上に常駐させるため,HiRDB開始時にすべてのHiRDBファイルをオープンします。DVD-RAMライブラリ装置のオープン処理が集中すると,ディスク交換が多発してHiRDBの開始処理がタイムアウトすることがあります。DEFER属性の場合,HiRDB開始時のオープン処理の集中を回避できますが,HiRDBの正常終了時にクローズ処理が集中します。

また,INITIAL属性及びDEFER属性で通常ファイルを使用している場合,HiRDB稼働中に電源断やリブートが発生すると,次回OSブート時にHiRDBがオープンしたすべての媒体のfsckが実行されるため,円滑な再起動ができません。

マスタディレクトリ用RDエリア,データディレクトリ用RDエリア,データディクショナリ用RDエリア,データディクショナリLOB用RDエリア,及びレジストリ用RDエリアのオープン契機はINITIAL属性固定のため,DVD-RAMライブラリ装置の運用には適しません。これらのRDエリアは磁気ディスク上に作成してください。

RDエリアのオープン契機をSCHEDULE属性にするには,pd_rdarea_open_attribute_use=Yを指定した上で,SCHEDULE属性にするRDエリアの数によって次に示すどちらかの方法をとってください。

SCHEDULE属性にするRDエリアの数が多い場合
pd_rdarea_open_attribute=SCHEDULEを指定します。この指定はマスタディレクトリ用RDエリア,データディレクトリ用RDエリア,データディクショナリ用RDエリア,データディクショナリLOB用RDエリア,及びレジストリ用RDエリアを除いたシステム全体のRDエリアに対して有効になります。

SCHEDULE属性にするRDエリアの数が少ない場合
RDエリアを定義するとき,次に示すどちらかのユティリティの制御文で指定します。
  • データベース初期設定ユティリティ(pdinitコマンド)のopen attributeオペランドにSCHEDULEを指定
  • データベース構成変更ユティリティ(pdmodコマンド)のopen attributeオペランドにSCHEDULEを指定
この指定は指定したRDエリアに対してだけ有効になります。また,pd_rdarea_open_attributeオペランドの指定と併用した場合は,ユティリティの指定が優先されます。
参考
データベース構成変更ユティリティでRDエリアを追加した直後はオープン契機の指定が有効になりません。追加した直後はINITIAL属性になっています。オープン契機の指定を有効にするにはHiRDBを一度終了させた後に再度開始してください。開始モードに関係なく有効になります。