スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム運用ガイド(UNIX(R)用)
系切り替え機能使用時のHiRDB/シングルサーバの開始方法を次に示します。
実行系及び待機系のHiRDBをそれぞれpdstartコマンドで開始します。
正規BESユニット及び代替BESユニットの開始方法を次の表に示します。
表26-22 1:1スタンバイレス型系切り替え機能使用時のHiRDBの開始方法
目的 | 実行するコマンド | 備考 |
---|---|---|
正規BESユニットの開始 | pdstart -q | 代替中で正規BESユニットが停止している場合にこのコマンドを実行すると,正規BESユニットが待機状態※1になります。 |
代替BESユニットの開始 | pdstart -q | 代替BESユニット内の代替部も一緒に開始します。正常状態の場合は代替部が待機状態※2になります。 |
代替部の開始 | pdstart -q -c | 自動的に開始するので代替部を停止,切り戻したとき以外は,実行する必要がありません。 |
正規ユニット及びゲストBESユニットの開始方法を次の表に示します。
表26-23 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能使用時のHiRDBの開始方法
目的 | 実行するコマンド | 備考 |
---|---|---|
正規ユニットの開始 | pdstart -q | 正規ユニットが停止している場合に起動します。 |
受け入れユニットの開始 | pdstart -q | 受け入れユニット内のゲストBESも一緒に開始します。 |
ホストBESの開始又はゲストBESの開始 | pdstart -u -s | ゲストBESが停止している場合に受け入れ可能状態になります。 自動的に開始するのでバックエンドサーバ又はその待機系を明示的に停止したとき以外は,実行する必要がありません。 |
システム全体開始の運用方法を次の表に示します。
表26-24 システム全体開始の運用方法
入力場所 | コマンド | 動作 |
---|---|---|
システムマネジャがあるユニット | pdstart | システム全体開始 |
システム全体開始時の処理を次に示します。
影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのシステム全体開始の例を次の図に示します。
システム全体を開始するためには,スタンバイ型系切り替えと同じくシステムマネジャがあるユニットからpdstartコマンドを入力します。各ユニットでは,自動的にゲストBESが受け入れ可能状態になります。
図26-60 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのシステム全体開始の例
システム起動の動作を次の表に示します。システム起動が完了すると,メッセージKFPS05210-Iを出力します。
表26-25 システム起動の動作
開始種別 | 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の適用ユニット | |
---|---|---|
なし | あり | |
システム開始 | 全ユニット起動 (全サーバ起動) |
全サーバ起動 (全ユニットは起動しません) |
システムマネジャがあるユニットの単独開始 (システムマネジャがあるユニットの単独異常終了後) |
フロントエンドサーバ,ディクショナリサーバ,バックエンドサーバの各々1サーバ起動 | フロントエンドサーバ,ディクショナリサーバ,バックエンドサーバの各々1サーバ起動 |
HAグループ内ユニットの単独開始 | − | − |
その他ユニットの単独開始 | − | − |
ユニット開始の運用方法を次の表に示します。
表26-26 ユニット開始の運用方法
入力場所 | コマンド | オプション | 動作 | |
---|---|---|---|---|
-q | -u | |||
システムマネジャがあるユニット | pdstart | なし | あり | 対象ユニット起動 |
あり | なし | |||
対象ユニット | pdstart | あり | なし |
●ユニットの開始モード
ユニットの開始モードを次の表に示します。ユニットの正常開始,又は再開始は前回の該当ユニットの終了モードだけで決定され,実行起動するホストBES,ゲストBESの有無,実行起動するサーバの正常開始,又は再開始は関係しません。
表26-27 ユニットの開始モード
前回のユニット終了モード | ホストBES又はゲストBES | ユニットの開始モード | |
---|---|---|---|
開始サーバの起動 | 開始サーバ起動中に 再開始サーバ起動 |
||
正常停止 | なし | なし | 正常開始 |
あり | なし | ||
あり | あり | ||
計画停止/強制終了/異常終了 | なし | なし | 再開始 |
あり | なし | ||
あり | あり |
影響分散スタンバイレス型系切り替え機能では,再開始,正常開始の判定と処理をユーザサーバごとに実施します。このため,ユニット内サーバが強制/異常終了後,又はHAグループ内の他ユニットで稼働中であっても,ユニットは正常開始可能です。
なお,影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の場合もユニットの強制/異常終了後はユニット再開始になります。再開始処理はユーザサーバごとに行うためユニットそのものに回復するリソース(DB)がありませんが,従来と同じくユニット再開始には正常開始と比べて次の表に示す動作差異があります。
表26-28 ユニット再開始の意味合い
項目 | 内容 |
---|---|
構成変更チェック | システムリソース(共用メモリなど)が増加となる定義変更をチェックアウトし,再開始失敗となる危険性を排除します(受け入れ可能なゲストBES数は変更可能とします)。 |
システム起動完了チェック | システムマネジャのあるユニット再開始時にフロントエンドサーバ,ディクショナリサーバ,バックエンドサーバが1サーバずつあればシステム起動完了としてサービスを開始します。システムマネジャのあるユニット正常開始時は全サーバ起動完了を待ち合わせますが,システムマネジャのあるユニット再開始時は待ち合わせサーバを減らしてサービスの受け付けの再開を早めます。 |
ユニットランIDの引き継ぎ | ユニットランIDはユニットの停止前から引き継ぎます。ユニット開始時のKFPS01826-Iメッセージ出力,及びpdcspoolの定期自動実行基準として利用します。 |
●ユニットの開始の例
影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのユニット開始の例を次の図に示します。次のようにユニットを開始します。
該当ユニットの起動に伴い,次のゲストBESの状態をシステムが変更します。
図26-61 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのユニット開始の例
●実行系のバックエンドサーバがないユニットの開始の例
影響分散スタンバイレス型系切り替え機能での実行系のバックエンドサーバがないユニットの開始の例を次の図に示します。
ユニットを開始するには,次の方法があります。
該当ユニットの起動に伴って該当ユニット内のゲストBESの状態をシステムが変更します(図の自動状態変更1)。
図26-62 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能での実行系のバックエンドサーバがないユニットの開始の例
ユニット起動の完了の動作は,メッセージKFPS05110-Iが出力されることで判断できます。
サーバ開始の運用方法を次の表に示します。
表26-29 サーバ開始の運用方法
入力場所 | コマンド | オプション | 動作 | ||
---|---|---|---|---|---|
-q | -u | -s | |||
システムマネジャのあるユニット | pdstart | なし | なし | あり | 全稼働中HAグループ内ユニットで対象サーバ開始 ※1 |
あり | なし | あり | ホストBESの開始(-uは省略可) ※2 |
使用するクラスタソフトウェアごとのサーバ開始時の処理結果を次の表に示します。
表26-30 サーバ開始時の処理結果
クラスタソフトウェア | サーバ種別 | 該当サーバ稼働中の他ユニット | 該当ホストでオンライン化 ※3 | サーバ開始結果 |
---|---|---|---|---|
HAモニタ | ホストBES | なし | − | 稼働中 |
あり | − | 受け入れ可能 | ||
ゲストBES | なし | − | 実行系起動待ち ※1 | |
あり | − | 受け入れ可能 | ||
Hitachi HA Toolkit Extention | − | なし | あり | 稼働中 ※2 |
なし | 受け入れ可能 | |||
あり | あり | − | ||
なし | 受け入れ可能 |
●サーバの開始の例
影響分散スタンバイレス型系切り替え機能での実行系サーバの開始の例を次の図に示します。
実行系サーバを開始するには,次の方法があります。
該当サーバの起動に伴い,該当サーバに対応するゲストBESの状態をシステムが変更します(図の自動状態変更)。
なお,サーバが実行系かどうかは,pdls -d haコマンドで確認できます。
図26-63 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能での実行系サーバの開始の例
影響分散スタンバイレス型系切り替え機能での待機系サーバの開始の例を次の図に示します。
待機系サーバを開始するには,次の方法があります。
指定されたホストBESは,受け入れ可能状態になります。なお,サーバが実行系かどうかは,pdls -d haコマンドで確認できます。
図26-64 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能での待機系サーバの開始の例
影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのゲストサーバの状態変更の例を次の図に示します。
ユニット内のゲストサーバを受け入れ可能状態にするには,次の方法があります。
指定されたゲストBESは受け入れ可能状態になります。
図26-65 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でのゲストサーバの状態変更の例
表26-31 Hitachi HA Toolkit Extensionのサービスプロセスを起動しないでHiRDBを開始したときの対処方法
条件 | 対処方法 |
---|---|
ユーザサーバホットスタンバイを適用しているユニットの場合 | 両系とも待機系として開始したことを示すKFPS01872-Iメッセージが出力されます。このメッセージは両方の系に出力されます。次に示す手順で対処してください。 〈手順〉
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高速系切り替え機能を適用しているユニットの場合 | KFPS01854-Eメッセージを出力して現用系ユニットが異常終了します(アボートコードはPsadhfe)。予備系ユニットは,現用系ユニットが実行系ユニットとして開始するのを待ち合わせています。次に示す手順で対処してください。 ●現用系を実行系として開始する場合
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1:1スタンバイレス型系切り替え機能を適用しているユニットの場合 | KFPS01854-Eメッセージを出力して正規BESユニットが異常終了します(アボートコードはPsadhfe)。代替部は正規BESユニットが開始するのを待ち合わせています。次に示す手順で対処してください。 〈手順〉
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影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を適用している場合 | 実行系,待機系の両方のサーバが待機状態となり,ユーザが操作可能な状態になります。両系とも異常終了しません。 この場合,サーバを実行系とするホストでクラスタソフトウェアをオンライン化し,起動処理を完了できます(HA Toolkit Extensionのサービスプロセスを起動します)。 |
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