系切り替え機能を使用する場合,系の切り替え元と切り替え先の両方から同時に共有ディスクにアクセスが行われると,データベースが壊れる可能性があります。そのため,両方の系から共有ディスクをアクセスできないように制御を行う必要があります。共有ディスクのアクセス制御は,クラスタソフトウェアが行うか,又はHiRDBが行います。
なお,通常は,「(a)クラスタソフトウェアによる共有ディスクのアクセス制御」の方法で共有ディスクのアクセス制御を行います。「(b)HiRDBによる共有ディスクのアクセス制御」の方法は,HAモニタ 01-08以降が前提条件になります。
クラスタソフトウェアが共有ディスクのアクセス制御を行います。実行系をアクティブに,待機系及び停止中の系を非アクティブに制御し,実行系だけが共有ディスクにアクセスできるようにします。クラスタソフトウェアによる共有ディスクのアクセス制御を次の図に示します。
図26-33 クラスタソフトウェアによる共有ディスクのアクセス制御
- 〔説明〕
- 非アクティブの系からは共有ディスクをアクセスできません。そのため,実行系だけが共有ディスクにアクセスできます。
共有ディスクの切り替え方法(アクティブ,非アクティブの切り替え方法)については,クラスタソフトウェアのマニュアルを参照してください。
なお,HAモニタを使用している場合は,HAモニタのservers定義文のdiskオペランドを指定してください。
HiRDBによる共有ディスクのアクセス制御は,HAモニタ 01-08以降が前提条件になります。
HiRDBが共有ディスクのアクセス制御を行います。この場合,共有ディスクの切り替え(アクティブ,非アクティブの切り替え)は行いません。次に示す流れで系が切り替わります。
- 系が切り替わる障害が発生しました。
- 切り替え元の系ですべてのサーバプロセスが終了したことをHiRDBが確認します。
- 系が切り替わります。
- 切り替え先の系から共有ディスクへのアクセスを開始します。
HiRDBによる共有ディスクのアクセス制御を次の図に示します。
図26-34 HiRDBによる共有ディスクのアクセス制御
- 適用基準
次に示す場合にHiRDBによる共有ディスクのアクセス制御を行ってください。
- 適用OSがLinuxの場合
Linux版の場合,LVM上のキャラクタ型スペシャルファイルを使用できませんが,HAモニタがアクセス制御できる共有ディスクはLVMを前提としているため,「(a)クラスタソフトウェアによる共有ディスクのアクセス制御」の方法が使用できません。
ただし,Linux AS 4又はLinux ES 4以降を使用している場合は,LVM上のキャラクタ型スペシャルファイルを使用できるため,クラスタソフトウェアによる共有ディスクのアクセス制御も実施できます。
- 共用RDエリアを使用する場合
共用RDエリアを使用する場合,バックエンドサーバがあるすべてのサーバマシンから,共用RDエリアがある共有ディスクをアクティブにする必要があります。そのため,更新可能BESと参照専用BESが同一サーバマシンにある場合に,更新可能BESが系切り替え対象となり,共有ディスクの切り替えが発生すると,参照専用BESから共用RDエリアが参照できなくなります。そのため,「(a)クラスタソフトウェアによる共有ディスクのアクセス制御」の方法が使用できません。
- ログ同期方式のリアルタイムSANレプリケーションを使用する場合
ログ同期方式のリアルタイムSANレプリケーションを使用する場合,ログ適用サイトにTrueCopyを使用してシステムファイルをリモートコピーします。TrueCopyを使用する場合はLVMを使用できませんが,HAモニタがアクセス制御できる共有ディスクはLVMを前提としているため,「(a)クラスタソフトウェアによる共有ディスクのアクセス制御」の方法が使用できません。
- HiRDBの環境設定
HiRDBシステム定義に次に示すオペランドを指定してください。
- pd_ha_prc_cleanup_check = Y
このオペランドにYを指定すると,ユニット内の全サーバプロセスの終了後に系を切り替えます。影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の場合は,バックエンドサーバ内の全サーバプロセスの終了後に系を切り替えます。
- pd_ha_switch_timeout = Y
ディスクへの入出力処理中などが原因で,サーバプロセスが終了しないために系を切り替えられないことがあります。このオペランドにYを指定すると,このような場合に,HAモニタがサーバ(HiRDB)のスローダウンとして系をリセットし,系を切り替えられます。
- HAモニタの環境設定
HAモニタのservers定義文に次に示すオペランドを指定してください。
- pairdown
このオペランドにuse:serv_slowを指定してください。
系の切り替え元でサーバプロセスが終了しない場合や,HiRDBがスローダウンした場合など,サーバプロセスの終了が確認できないことがあります。このような現象が発生すると,系を切り替えられません。このオペランドを指定すると,スローダウンなどによってサーバプロセスの終了を確認できない場合に,系をリセットして系を切り替えられます。
- disk
HAモニタで共有ディスクのアクセス制御をしないため,このオペランドを省略してください。
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