スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム運用ガイド(UNIX(R)用)

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26.5.2 共有ディスク装置の準備

現用系と予備系(スタンバイレス型系切り替え機能の場合は正規BESと代替BES)で共有する外付けハードディスクが必要です。このハードディスクを共有ディスク装置といいます。

<この項の構成>
(1) 共有ディスクの割り当て
(2) 共有ディスクのアクセス制御

(1) 共有ディスクの割り当て

共有ディスクの割り当てを次の図に示します。

図26-32 共有ディスクの割り当て

[図データ]

〔説明〕
  1. スタンバイ型系切り替え機能及び1:1スタンバイレス型系切り替え機能の場合は,ユニット単位の切り替えのためユニットごとに共有ディスクを割り当てます。
  2. 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の場合は,サーバ単位の切り替えのためサーバごとに共有ディスクを割り当てます。複数のサーバに関する情報を一つの共有ディスクに配置することはできません。

共有ディスク装置には次に示すHiRDBファイルシステム領域を作成します。

注意事項
  • これらのHiRDBファイルシステム領域は両方(現用系及び予備系)のHiRDBから同じパス名で参照できるように設定してください。1:1スタンバイレス型系切り替え機能の場合は,正規BESユニットと代替BESユニットの両方から同じパス名で参照できるように設定してください。影響分散スタンバイレス型系切り替え機能でも同様に,HAグループ内のすべてのユニットから同一パス名で参照できるように設定してください。ただし,影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の場合,ユニットステータスファイルはサーバステータスファイル,システムログファイル,シンクポイントダンプファイルと異なる独立した非共有ディスクに作成してください。
  • 共用RDエリア用HiRDBファイルシステム領域を作成した共有ディスクは全ユニットから読み書きモードでアクティブにしておく必要があります。このため,系切り替え機能に伴って非アクティブ化,及びアクティブ化をしてはなりません。
  • 通常ファイルでは,ディスクに反映されない状態(例えば,HiRDBで書き込み完了していても,OSキャッシュ上に残っている状態など)で系が切り替わると,更新内容が失われることがあるため,キャラクタ型スペシャルファイルを推奨します。ただし,系切り替えが発生してもOSがデータを保証する通常ファイル(ジャーナルファイルシステム)であれば,次に示すファイルを共有ディスク上に配置してもかまいません。
    ・pdlogunldコマンド又は自動ログアンロード機能でアンロードするアンロードログファイル
    ・データベース複写ユティリティ(pdcopy)で取得するバックアップファイル
    ・データベース再編成ユティリティ(pdrorg)で作成するアンロードデータファイル

(2) 共有ディスクのアクセス制御

系切り替え機能を使用する場合,系の切り替え元と切り替え先の両方から同時に共有ディスクにアクセスが行われると,データベースが壊れる可能性があります。そのため,両方の系から共有ディスクをアクセスできないように制御を行う必要があります。共有ディスクのアクセス制御は,クラスタソフトウェアが行うか,又はHiRDBが行います。

なお,通常は,「(a)クラスタソフトウェアによる共有ディスクのアクセス制御」の方法で共有ディスクのアクセス制御を行います。「(b)HiRDBによる共有ディスクのアクセス制御」の方法は,HAモニタ 01-08以降が前提条件になります。

(a) クラスタソフトウェアによる共有ディスクのアクセス制御

クラスタソフトウェアが共有ディスクのアクセス制御を行います。実行系をアクティブに,待機系及び停止中の系を非アクティブに制御し,実行系だけが共有ディスクにアクセスできるようにします。クラスタソフトウェアによる共有ディスクのアクセス制御を次の図に示します。

図26-33 クラスタソフトウェアによる共有ディスクのアクセス制御

[図データ]

〔説明〕
非アクティブの系からは共有ディスクをアクセスできません。そのため,実行系だけが共有ディスクにアクセスできます。

共有ディスクの切り替え方法(アクティブ,非アクティブの切り替え方法)については,クラスタソフトウェアのマニュアルを参照してください。

なお,HAモニタを使用している場合は,HAモニタのservers定義文のdiskオペランドを指定してください。

(b) HiRDBによる共有ディスクのアクセス制御

HiRDBによる共有ディスクのアクセス制御は,HAモニタ 01-08以降が前提条件になります。

HiRDBが共有ディスクのアクセス制御を行います。この場合,共有ディスクの切り替え(アクティブ,非アクティブの切り替え)は行いません。次に示す流れで系が切り替わります。

  1. 系が切り替わる障害が発生しました。
  2. 切り替え元の系ですべてのサーバプロセスが終了したことをHiRDBが確認します。
  3. 系が切り替わります。
  4. 切り替え先の系から共有ディスクへのアクセスを開始します。

HiRDBによる共有ディスクのアクセス制御を次の図に示します。

図26-34 HiRDBによる共有ディスクのアクセス制御

[図データ]