スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム運用ガイド(UNIX(R)用)

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22.3.2 デファードライト処理に関する統計情報の見方

参照する情報
統計解析ユティリティ(pdstedit)で,デファードライト処理に関する統計情報のDAT形式ファイルを取得し,次に示す情報を参照してください。
  • 実行時間(DWTOTAL,DWTOTALM)
  • 合計WRITE時間(DWSUM,DWSUMM)
  • 並列WRITE時間(DWPARA,DWPARAM)
  • WRITE単価
    最小(DWMIN,DWMINM)
    最大(DWMAX,DWMAXM)
    平均(DWAVG,DWAVGM)
  • WRITE回数(DWEXEC)
<この項の構成>
(1) 実行時間(DWTOTAL,DWTOTALM)
(2) 合計WRITE時間(DWSUM,DWSUMM)
(3) 並列WRITE時間(DWPARA,DWPARAM)
(4) WRITE単価最小(DWMIN,DWMINM)
(5) WRITE単価最大(DWMAX,DWMAXM)
(6) WRITE単価平均(DWAVG,DWAVGM)
(7) WRITE回数(DWEXEC)

(1) 実行時間(DWTOTAL,DWTOTALM)

デファードライト処理に要した時間の合計です。DWTOTALは秒単位までの時間を表示し,DWTOTALMは秒よりけた下のマイクロ秒の部分だけを表示します。

確認する目的
デファードライト処理の性能が適切かどうか判断するために確認します。

解析結果の妥当性を判断する方法
デファードライト遅延メッセージ(KFPS02179-I factor code =A01-01)が出力される場合,次に示す対策方法に従ってください。

対策方法
対策方法については,「22.3.1 チューニングの手順」を参照してください。

(2) 合計WRITE時間(DWSUM,DWSUMM)

デファードライト処理の中で書き込み処理に要した時間の合計です。DWSUMは秒単位までの時間を表示し,DWSUMMは秒よりけた下のマイクロ秒の部分だけを表示します。

確認する目的
並列WRITE時間(DWPARA DWPARAM)と比較し,デファードライト処理用並列WRITEプロセス数のチューニング効果が現れているか確認します。

解析結果の妥当性を判断する方法
WRITE単価(最大)(DWMAX DWMAXM),WRITE単価(最小)(DWMIN DWMINM),及びWRITE回数(DWEXEC)の値を確認してください。

対策方法
WRITE単価(最大)(DWMAX DWMAXM),WRITE単価(最小)(DWMIN DWMINM),及びWRITE回数(DWEXEC)の値を確認し,その対策方法に従ってください。

(3) 並列WRITE時間(DWPARA,DWPARAM)

複数のデファードライト処理用並列WRITEプロセスの処理要求を送信してから,すべてのデファードライト処理用並列WRITEプロセスの完了通知を受信するまでの時間です。DWPARAは秒単位までの時間を表示し,DWPARAMは秒よりけた下のマイクロ秒の部分だけを表示します。並列WRITE時間の概念を次の図に示します。

図22-1 並列WRITE時間の概念

[図データ]

なお,デファードライト処理の並列WRITE機能を無効にしている場合,並列WRITE時間は0になります。

確認する目的
デファードライト処理の並列WRITE機能の適用効果を確認します。

解析結果の妥当性を判断する方法
次に示す条件式が成立する場合は,デファードライト処理の並列WRITE機能の適用効果があると判断できます。
  • 実行時間(DWTOTAL+DWTOTALMの値)>並列WRITE時間(DWPARA+DWPARAMの値)
なお,正確に判定するには,次に示すときの実行時間(DWTOTAL+DWTOTALMの値)を計測してください。
  • デファードライト処理の並列WRITE機能の適用前後
  • pd_dfw_awt_processオペランドの指定値の変更前後
実行時間が短縮されている場合は,デファードライト処理の並列WRITE機能の適用効果があると判断できます。

対策方法
適用効果がある場合は,「22.3.3(3)デファードライト処理用並列WRITEプロセス数を多くする」で説明しているチューニングを行ってください。
適用効果がない場合は次に示すどちらかの処置をしてください。
  • デファードライト処理の並列WRITE機能の使用を中止する
  • pd_dfw_awt_processオペランドの値を変更前の値に戻す

(4) WRITE単価最小(DWMIN,DWMINM)

複数のページに対して書き込み処理が発生した場合,書き込み処理時間が最も短いページの時間です。DWMINは秒単位までの時間を表示し,DWMINMは秒よりけた下のマイクロ秒の部分だけを表示します。

確認する目的
ディスクパフォーマンスの妥当性を確認します。

解析結果の妥当性を判断する方法
ディスク性能と比較して判断してください。デファードライト処理の並列WRITE機能を使用する場合,及びデファードライト処理用並列WRITEプロセス数を変更する場合は,使用前後又は変更前後でディスク性能を比較してください。

対策方法
ディスク性能に比べてパフォーマンスが悪い場合は,OSの機能を使用して入出力に関するチューニング情報を取得し,その情報を基にチューニングを行ってください。デファードライト処理の並列WRITE機能の使用前後,又はデファードライト処理用並列WRITEプロセス数の変更前後でディスクのパフォーマンスが低下した場合は,並列WRITE時間を確認してください。適用効果がない場合は,使用前又は変更前に戻してください。
ディスク性能を低下させる原因の一つにディスク競合が考えられます。ディスクの構成,RDエリアの構成,表の構成を見直して,特定のボリュームに入出力処理が集中しないようにしてください。ディスクの構成,RDエリアの構成,及び表の構成の設計方針については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド」を参照してください。

(5) WRITE単価最大(DWMAX,DWMAXM)

複数のページに対して書き込み処理が発生した場合,書き込み処理時間が最も長いページの時間です。DWMAXは秒単位までの時間を表示し,DWMAXMは秒よりけた下のマイクロ秒の部分だけを表示します。

確認する目的
ディスクパフォーマンスの妥当性を確認します。

解析結果の妥当性を判断する方法
ディスク性能と比較して判断してください。デファードライト処理の並列WRITE機能を使用する場合,及びデファードライト処理用並列WRITEプロセス数を変更する場合は,使用前後又は変更前後でディスク性能を比較してください。

対策方法
ディスク性能に比べてパフォーマンスが悪い場合は,OSの機能を使用して入出力に関するチューニング情報を取得し,その情報を基にチューニングを行ってください。デファードライト処理の並列WRITE機能の使用前後,又はデファードライト処理用並列WRITEプロセス数の変更前後でディスクのパフォーマンスが低下した場合は,並列WRITE時間を確認してください。適用効果がない場合は,使用前又は変更前に戻してください。
ディスク性能を低下させる原因の一つにディスク競合が考えられます。ディスクの構成,RDエリアの構成,表の構成を見直して,特定のボリュームに入出力処理が集中しないようにしてください。ディスクの構成,RDエリアの構成,及び表の構成の設計方針については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド」を参照してください。

(6) WRITE単価平均(DWAVG,DWAVGM)

複数のページに対して書き込み処理が発生した場合,書き込み処理に要した時間の平均です。DWAVGは秒単位までの時間を表示し,DWAVGMは秒よりけた下のマイクロ秒の部分だけを表示します。

確認する目的
ディスクパフォーマンスの妥当性を確認します。

解析結果の妥当性を判断する方法
ディスク性能と比較して判断してください。デファードライト処理の並列WRITE機能を使用する場合,及びデファードライト処理用並列WRITEプロセス数を変更する場合は,使用前後又は変更前後でディスク性能を比較してください。

対策方法
ディスク性能に比べてパフォーマンスが悪い場合は,OSの機能を使用して入出力に関するチューニング情報を取得し,その情報を基にチューニングを行ってください。デファードライト処理の並列WRITE機能の使用前後,又はデファードライト処理用並列WRITEプロセス数の変更前後でディスクのパフォーマンスが低下した場合は,並列WRITE時間を確認してください。適用効果がない場合は,使用前又は変更前に戻してください。
ディスク性能を低下させる原因の一つにディスク競合が考えられます。ディスクの構成,RDエリアの構成,表の構成を見直して,特定のボリュームに入出力処理が集中しないようにしてください。ディスクの構成,RDエリアの構成,及び表の構成の設計方針については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド」を参照してください。

(7) WRITE回数(DWEXEC)

動作要因(CAUSE)ごとの書き込み回数です。

確認する目的
次に示す原因によってデファードライト処理が遅延しているかどうかを確認します。
  • シンクポイント取得間隔内で処理可能な更新バッファ数を超えているため

解析結果の妥当性を判断する方法
動作要因(CAUSE)がS(シンクポイント)の場合は,WRITE回数(DWEXEC)が次に示す計算式の値以下であることを確認してください。計算式の値より大きい場合は対策方法に従って対策してください。
{シンクポイント取得間隔÷WRITE単価平均(DWAVG,DWAVGN)}×0.1
シンクポイントの取得間隔は,次に示すメッセージの出力時間の差分から求めてください。
  • KFPS02183-I(シンクポイント処理が完了したときに出力されるメッセージ)
  • KFPS02179-I(シンクポイント処理をスキップしたときに出力されるメッセージ)

対策方法
シンクポイント時の更新バッファ数を減らすチューニングを行ってください。チューニング方法については,「22.3.3(1)デファードライトトリガの実行間隔を短くする」及び「22.3.3(2)デファードライトトリガ時の更新ページの出力比率を高くする」を参照してください。
チューニングを行っても効果がない場合は,pd_dfw_syncpoint_skip_limitオペランドを指定して更新バッファ数を抑制してください。ただし,この場合,シンクポイント処理のスキップ回数が上限に達したとき,更新トランザクションの延長で更新バッファの出力を行うため,更新トランザクション性能が低下します。