スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム運用ガイド(UNIX(R)用)
RDエリアのオープン契機とは,HiRDBが行うRDエリアのオープン処理の実施時期のことです。通常,RDエリアのオープン処理はHiRDBの開始時に行われます。このため,RDエリアの数に比例してHiRDBの開始時間が長くなります。このRDエリアのオープン処理をHiRDB開始時に行わないで,RDエリアへのアクセス処理が発生したときに行うことができます。このようにRDエリアのオープン契機を変更できます。RDエリアのオープン契機には,次の表に示す三つの属性があります。
属性 | 初期状態 | オープン契機 | クローズ契機 | 長所 | 短所 |
---|---|---|---|---|---|
INITIAL | オープン状態 |
|
pdcloseコマンド実行時 | 初回SQLから高速実行 | システムの開始に時間が掛かる |
DEFER | クローズ状態 |
|
pdcloseコマンド実行時 |
|
各RDエリアの初回アクセスに時間が掛かる |
SCHEDULE | クローズ状態 |
|
|
|
各トランザクションごとにRDエリアの初回アクセスが高負荷となる |
RDエリアのオープン契機は,最初はINITIAL属性です。次に示す場合にRDエリアのオープン契機の変更を考えてください。
各属性の適する運用形態を次の表に示します。
表15-3 各属性の適する運用形態
属性 | 適する運用形態 |
---|---|
INITIAL | システム開始時にHiRDBファイルシステム領域をオープンして,RDエリア情報をメモリ上に常駐します。RDエリアの初回アクセス時にも,そのサーバプロセス上でオープンします。ただし,この場合にはRDエリア情報の再作成をしないため,初回SQLから高速な運用ができます。 システム開始時のRDエリア初期状態はオープン状態であり,以降は障害閉塞への遷移を除いて,運用コマンドの入力がないかぎりRDエリアの状態は遷移しません。 特殊な運用形態を用いない場合は,この属性を推奨します。 この属性のとき,クローズ状態のRDエリアに対してはアクセスできません。 |
DEFER | システム開始時にHiRDBファイルシステム領域のオープンをしないで,RDエリアに対する初回アクセス時にオープンし,RDエリア情報をメモリ上に常駐します。2回目以降のアクセスでは,HiRDBファイルシステム領域のオープン以降の処理をしないため,高速な運用ができます。 システム開始時のRDエリア初期状態はクローズ状態であり,各RDエリアに対する初回アクセス時に該当するRDエリアをオープン状態にします。以降は障害閉塞への遷移を除いて,運用コマンドの入力がないかぎりRDエリアの状態は遷移しません。 多数のHiRDBファイルシステム領域に対するオープンが重なるケースを回避したい場合や,HiRDBの開始時間を短縮したい場合に,この属性を指定します。 HiRDBを再開始する場合は,回復処理時に回復対象RDエリアをオープンします。 この属性を指定した場合,クローズ状態のRDエリアに対してもアクセスできます。 |
SCHEDULE | システム開始時にHiRDBファイルシステム領域のオープンをしないで,システム開始後,各トランザクション内でのRDエリアに対する初回アクセス時にオープンし,RDエリア情報をメモリ上に常駐します。トランザクションの終了時に,そのトランザクション内でオープンしたHiRDBファイルシステム領域をクローズします。以降もトランザクションが変わるとRDエリアに対する初回アクセス時にオープン以降の処理をするため,トランザクションに掛かる負荷は増加します。 システム開始時のRDエリアの初期状態はクローズ状態であり,アクセスのあったRDエリアのトランザクション処理中だけオープン状態とします。トランザクション終了時に,トランザクション内でオープン状態としたすべてのRDエリアをクローズ状態にします。 pdopenコマンドを入力すると,次回閉塞クローズ状態になるまでの間オープン状態を継続できます。そのほかの運用コマンドを用いて,RDエリアのステータスを任意に遷移させることもできます。障害を検知したときは障害閉塞となります。 DVD-RAMライブラリ装置を使用するなど,多数のHiRDBファイルシステム領域のオープンが重なることを回避したい場合や,システムの開始時間を短縮したい場合に,この属性を指定します。 HiRDBを再開始する場合は,回復処理時に回復対象RDエリアをオープンして,回復処理の終了後にクローズします。 この属性を指定した場合,クローズ状態のRDエリアに対してもアクセスできます。 |
オープン契機を変更できるRDエリアを次に示します。
表15-4 オープン属性によるUAPのRDエリアへのアクセス可否
RDエリアの オープン契機 |
RDエリアの状態 | RDエリアの アクセス可否 |
|
---|---|---|---|
INITIAL | 閉塞なし | オープン | ○ |
クローズ | × | ||
コマンド閉塞 | オープン | × | |
クローズ | × | ||
参照可能閉塞 | オープン | △※1 | |
クローズ | × | ||
参照可能バックアップ閉塞 | オープン | △※1 | |
更新可能バックアップ閉塞 | オープン | ○ | |
障害閉塞 | オープン | × | |
クローズ | × | ||
ログレス閉塞 | オープン | △※2 | |
クローズ | × | ||
同期化閉塞 | オープン | ×※3 | |
クローズ | ×※3 | ||
オンライン再編成閉塞 | オープン | △※4 | |
クローズ | △※4 | ||
DEFER又は SCHEDULE |
閉塞なし | オープン | ○ |
クローズ | ○ | ||
コマンド閉塞 | オープン | × | |
クローズ | × | ||
参照可能閉塞 | オープン | △※1 | |
クローズ | △※1 | ||
参照可能バックアップ閉塞 | オープン | △※1 | |
クローズ | × | ||
更新可能バックアップ閉塞 | オープン | × | |
クローズ | ○ | ||
障害閉塞 | オープン | × | |
クローズ | × | ||
ログレス閉塞 | オープン | △※2 | |
クローズ | △※2 | ||
同期化閉塞 | オープン | ×※3 | |
クローズ | ×※3 | ||
オンライン再編成閉塞 | オープン | △※4 | |
クローズ | △※4 |
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