スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム運用ガイド(UNIX(R)用)

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4.1 基本項目

ここでは,シンクポイントダンプファイルを運用する前に理解して欲しいことについて説明します。

<この節の構成>
(1) シンクポイントとは
(2) シンクポイントダンプファイルの状態
(3) HiRDB開始時のシンクポイントダンプファイルの状態
(4) シンクポイントダンプファイルの状態が変わるときは?
(5) 有効保証世代数とファイルの状態との関係
(6) シンクポイントダンプファイルを操作するコマンド

(1) シンクポイントとは

HiRDBが異常終了した場合,システムログだけで回復処理をすると,HiRDB開始からのすべてのシステムログが必要となり,システムの回復に多大な時間が掛かります。そこで,HiRDB稼働中に一定の間隔でポイントを設け,そのポイントで回復する必要のあるHiRDB管理情報を保存することで,ポイント以前のシステムログは不要になり,システムの回復時間を短縮できます。このポイントをシンクポイント,シンクポイントで取得するHiRDB管理情報をシンクポイントダンプ,シンクポイントダンプを格納するファイルをシンクポイントダンプファイルといいます。

HiRDBは前回のシンクポイント以降又はHiRDB開始以降のデータベース更新内容をシンクポイント時にデータベースに反映します。HiRDB管理者は,障害発生に備えてシンクポイントダンプファイルを作成してください。

(2) シンクポイントダンプファイルの状態

HiRDBはシンクポイントダンプファイルを次の表に示す状態に分けて管理しています。

表4-1 シンクポイントダンプファイルの状態

状態 説明
書き込み中 シンクポイントダンプが出力されているファイルです。
上書きできる状態 ファイル中にシステムの回復に必要なシンクポイントダンプを含まないため,上書きできる状態のファイルです。有効保証世代の対象外となるファイルの状態です。
上書きできない状態 ファイル中にシステムの回復に必要なシンクポイントダンプを含んでいるため,上書きできない状態のファイルです。有効保証世代の対象となるファイルの状態です。
予約 この状態のファイルは,シンクポイントダンプの出力対象になりません。ファイルはクローズ中の状態です。
また,HiRDBシステム定義にシンクポイントダンプファイル名称を指定しただけで,その名称に対応するシンクポイントダンプファイルを作成していない場合もこの状態となります。

(3) HiRDB開始時のシンクポイントダンプファイルの状態

HiRDBを開始すると,pdlogadfg -d spdオペランドで指定したシンクポイントダンプファイルのうち,ONLと指定したファイルがすべてオープンされて,上書きできる状態になります。

なお,オープン処理に失敗したファイル,及びONLと指定しなかったファイルは予約の状態になります。

(4) シンクポイントダンプファイルの状態が変わるときは?

シンクポイントダンプが取得されて有効化されると,シンクポイントダンプファイルの状態が変わります。シンクポイントダンプは,次に示すときに取得されます。

  1. サーバの開始,又は再開始処理が完了したとき
  2. サーバの終了準備処理が完了したとき
  3. システムログファイルがスワップしたとき
  4. 前回のシンクポイントダンプを取得してから,pd_log_sdintervalオペランドで指定したログブロック数のシステムログを取得したとき
  5. 前回のシンクポイントダンプを取得してから,pd_log_sdintervalオペランドで指定した時間が経過したとき
  6. pdlogsyncコマンドを実行したとき

注※
シンクポイントダンプが有効化されると,メッセージKFPS02183-Iが出力されます。ただし,pd_spd_assurance_msgオペランドでNを指定すると,メッセージKFPS02183-Iは出力されません。

(5) 有効保証世代数とファイルの状態との関係

HiRDBは,1世代のシンクポイントダンプを一つのシンクポイントダンプファイルに格納します。用意したファイルすべてにシンクポイントダンプを取得すると,最初のファイルに戻ってデータを上書きします。

HiRDBは,1世代前のシンクポイントダンプファイルを上書きできない状態にします。ただし,有効保証世代数を2世代にした場合,過去2世代のファイルを上書きできない状態にします。シンクポイントダンプの出力によるファイルの状態変化を図4-1及び図4-2に示します。

図4-1 シンクポイントダンプの出力によるファイルの状態変化(有効保証世代数を1世代にした場合)

[図データ]

図4-2 シンクポイントダンプの出力によるファイルの状態変化(有効保証世代数を2世代にした場合)

[図データ]

(6) シンクポイントダンプファイルを操作するコマンド

シンクポイントダンプファイルを操作するコマンドを次の表に示します。

表4-2 シンクポイントダンプファイルを操作するコマンド

コマンド名 説明
pdloginit シンクポイントダンプファイルを初期設定します。
pdlogadpf シンクポイントダンプファイルを,HiRDBシステム定義で指定したファイルグループに割り当てます。
pdlogopen クローズ状態のシンクポイントダンプファイルをオープンします。上書きできる状態のファイルを予約にします。
pdlogcls オープン状態のシンクポイントダンプファイルをクローズします。予約ファイルを上書きできる状態にします。
pdlogls シンクポイントダンプファイルの情報を表示します。
pdlogrm シンクポイントダンプファイルを削除します。
pdlogsync シンクポイントダンプを取得します。