スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム運用ガイド(UNIX(R)用)
ここでは,シンクポイントダンプファイルを運用する前に理解して欲しいことについて説明します。
HiRDBが異常終了した場合,システムログだけで回復処理をすると,HiRDB開始からのすべてのシステムログが必要となり,システムの回復に多大な時間が掛かります。そこで,HiRDB稼働中に一定の間隔でポイントを設け,そのポイントで回復する必要のあるHiRDB管理情報を保存することで,ポイント以前のシステムログは不要になり,システムの回復時間を短縮できます。このポイントをシンクポイント,シンクポイントで取得するHiRDB管理情報をシンクポイントダンプ,シンクポイントダンプを格納するファイルをシンクポイントダンプファイルといいます。
HiRDBは前回のシンクポイント以降又はHiRDB開始以降のデータベース更新内容をシンクポイント時にデータベースに反映します。HiRDB管理者は,障害発生に備えてシンクポイントダンプファイルを作成してください。
HiRDBはシンクポイントダンプファイルを次の表に示す状態に分けて管理しています。
表4-1 シンクポイントダンプファイルの状態
状態 | 説明 |
---|---|
書き込み中 | シンクポイントダンプが出力されているファイルです。 |
上書きできる状態 | ファイル中にシステムの回復に必要なシンクポイントダンプを含まないため,上書きできる状態のファイルです。有効保証世代の対象外となるファイルの状態です。 |
上書きできない状態 | ファイル中にシステムの回復に必要なシンクポイントダンプを含んでいるため,上書きできない状態のファイルです。有効保証世代の対象となるファイルの状態です。 |
予約 | この状態のファイルは,シンクポイントダンプの出力対象になりません。ファイルはクローズ中の状態です。 また,HiRDBシステム定義にシンクポイントダンプファイル名称を指定しただけで,その名称に対応するシンクポイントダンプファイルを作成していない場合もこの状態となります。 |
HiRDBを開始すると,pdlogadfg -d spdオペランドで指定したシンクポイントダンプファイルのうち,ONLと指定したファイルがすべてオープンされて,上書きできる状態になります。
なお,オープン処理に失敗したファイル,及びONLと指定しなかったファイルは予約の状態になります。
シンクポイントダンプが取得されて有効化※されると,シンクポイントダンプファイルの状態が変わります。シンクポイントダンプは,次に示すときに取得されます。
HiRDBは,1世代のシンクポイントダンプを一つのシンクポイントダンプファイルに格納します。用意したファイルすべてにシンクポイントダンプを取得すると,最初のファイルに戻ってデータを上書きします。
HiRDBは,1世代前のシンクポイントダンプファイルを上書きできない状態にします。ただし,有効保証世代数を2世代にした場合,過去2世代のファイルを上書きできない状態にします。シンクポイントダンプの出力によるファイルの状態変化を図4-1及び図4-2に示します。
図4-1 シンクポイントダンプの出力によるファイルの状態変化(有効保証世代数を1世代にした場合)
図4-2 シンクポイントダンプの出力によるファイルの状態変化(有効保証世代数を2世代にした場合)
シンクポイントダンプファイルを操作するコマンドを次の表に示します。
表4-2 シンクポイントダンプファイルを操作するコマンド
コマンド名 | 説明 |
---|---|
pdloginit | シンクポイントダンプファイルを初期設定します。 |
pdlogadpf | シンクポイントダンプファイルを,HiRDBシステム定義で指定したファイルグループに割り当てます。 |
pdlogopen | クローズ状態のシンクポイントダンプファイルをオープンします。上書きできる状態のファイルを予約にします。 |
pdlogcls | オープン状態のシンクポイントダンプファイルをクローズします。予約ファイルを上書きできる状態にします。 |
pdlogls | シンクポイントダンプファイルの情報を表示します。 |
pdlogrm | シンクポイントダンプファイルを削除します。 |
pdlogsync | シンクポイントダンプを取得します。 |
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