スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム運用ガイド(UNIX(R)用)
- 実行者 HiRDB管理者
HiRDBは,システムログファイルのアンロード状態を常にチェックしています。アンロード待ち状態のファイルは上書きできないようにしています。HiRDB管理者は,このアンロード待ち状態のファイルをアンロードするか,又はこのファイルを解放するかして,ファイルの状態をアンロード済み状態にする必要があります。
しかし,データベースの回復にシステムログ(アンロードログ)を使用しない場合は,このシステムログのアンロード操作又は解放操作(pdlogunldコマンド又はpdlogchgコマンドの実行)はむだな作業になります。このような場合は,HiRDBが行っているアンロード状態のチェックを解除することをお勧めします。そうすれば,HiRDB管理者のシステムログファイルのアンロード操作又は解放操作が不要になります。
- <この節の構成>
- (1) スワップ先にできる条件が変わります
- (2) 利点
- (3) 適用基準
- (4) 注意事項
- (5) 環境設定
- (6) 運用方法
- (7) システムログファイルに障害が発生した場合
(1) スワップ先にできる条件が変わります
アンロード状態のチェックを解除すると,スワップ先にできる条件は次の三つだけになります。
- 上書きできる状態
- 抽出完了状態(HiRDB Datareplicator)
- オンライン再編成上書き可能状態(HiRDB Staticizer Option)
アンロードの状態は,システムログファイルをスワップ先にできるかどうかの条件に関係がなくなります。
- システムログファイルのアンロード操作又は解放操作がなくなるため,運用方法が簡単になります。
- アンロードログファイルを保管するためのファイル容量が必要なくなります。
主に,参照系のデータベースの場合に適用します。
例えば,次に示すように,システムログを使用しなくてもデータベースを回復できる場合にこの運用をお勧めします。
- データを再ロードするだけでデータベースを回復できる場合
- バックアップだけでデータベースを回復できる場合
- データベースのバックアップを取得した時点以降の更新については,実行したUAP,ユティリティを再実行すればデータベースを回復できる場合
- HiRDB/パラレルサーバの場合
- この運用は,サーバ単位に実行できます。したがって,適用基準を満たしているバックエンドサーバごとにこの運用を適用してもかまいません。
- フロントエンドサーバのシステムログは,データベースの回復作業に必要ないのでアンロードする必要はありません。このため,フロントエンドサーバについてはこの運用を適用することをお勧めします。
(a) データベースの回復について
データベースの回復にシステムログが必要なのにこの運用をした場合は,データベースの回復手段がなくなります。
(b) システムログファイルの容量について
更新量が多いトランザクションを実行すると,トランザクションの開始から終了までの間にすべてのシステムログファイルを使用することが考えられます。この場合,HiRDBはすべてのシステムログファイルの上書きを禁止します(上書きできない状態にします)。そうすると,現用として割り当てられるシステムログファイルがなくなるため注意してください。
(c) pdlogunld及びpdlogchgコマンドに制限事項が発生します
- HiRDBの稼働中は次に示すコマンドが使用できなくなります。
- pdlogunld(-fオプションを指定する場合だけは使用できます)
- pdlogchg(-Rオプションを指定する場合だけは使用できます)
HiRDBの停止中はこれらのコマンドを通常通り使用できます(全オプションを指定できます)。
- pdlogunld又はpdlogchgコマンドの実行処理中にHiRDBを開始しないでください。開始すると,pdlogunld又はpdlogchgコマンドがエラーになります。なお,pdlogunldコマンドがエラーになっても,アンロードログファイルが作成されることがあります。しかし,このアンロードログファイルはデータベースを回復するときに使用できません。
この運用をする場合は,HiRDBシステム定義の各サーバ定義に次に示す指定をしてください。
HiRDB/シングルサーバの場合は,シングルサーバ定義でこのオペランドを指定します。
HiRDB/パラレルサーバの場合は,サーバ共通定義で一括して指定するか,又は次に示す各サーバ定義でそれぞれ指定してください。
- フロントエンドサーバ定義
- バックエンドサーバ定義
- ディクショナリサーバ定義
スワップ先にできる状態のファイルがあるかどうかを,pdloglsコマンドで確認してください。システムログファイルのアンロード操作又は解放操作は不要です。
- ●データベースを更新するUAPを実行するときの運用方法
- データベースを更新するUAPを実行するときは,次に示す手順に従ってください。
- 〈手順〉
- pdlogswapコマンドで,システムログファイルをスワップします。
pdlogswap -d sys -s b001
- pdcopyコマンドでRDエリアのバックアップを取得します。バックアップの取得については,「6. バックアップの取得方法」を参照してください。
pdcopy -m /rdarea/mast/mast01 -M r -a -b /pdcopy/backup01
- UAPを実行します。
- 障害発生時,表にデータを再度格納し,UAPとその後の処理が再実行できるような場合は,上記の〈手順〉は必要ありません。
- コマンドの実行後,実行結果が正しいかどうか確認することをお勧めします。コマンドの実行結果の確認方法については,マニュアル「HiRDB Version 8 コマンドリファレンス」を参照してください。
システムログファイルに障害が発生すると,障害の発生したシステムログファイルは予備となり,以降のHiRDB稼働時に現用として割り当てられません。ここでいう障害の発生したシステムログファイルとは,物理的な障害が発生したシステムログファイルのほかに,次に示すようなシステムログファイルも含まれます。
- HiRDBの異常終了後に強制正常開始(pdstart dbdestroy又はpdstart -i)をしたときに,前回のHiRDB稼働時に現用として使用したシステムログファイル
- 正常開始中に何らかの要因でユニットが開始できなかったときに,前回開始時に現用として割り当てられたシステムログファイル(開始完了までに現用ファイルを割り当てていたサーバに限ります)
上記のように,障害の発生したシステムログファイルは現用として割り当てられません。
なお,前回のHiRDB稼働時に現用として割り当てていたシステムログファイルは,pdlogchg又はpdlogunldコマンドを実行すると,再度現用ファイルとして割り当てられます。
ただし,物理的に障害の発生したシステムログファイルであっても,pdlogchg又はpdlogunldコマンドを実行すると,次回のHiRDB稼働時に現用ファイルの割り当て対象になります。障害の発生したシステムログファイルが現用になると,HiRDBの異常終了の原因となります。したがって,障害要因を取り除いた後にpdlogchg又はpdlogunldコマンドを実行してください。
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