スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム運用ガイド(UNIX(R)用)
ここでは,システムログファイルを運用する前に理解して欲しいことについて説明します。
システムログファイルにはデータベースの更新履歴情報(システムログ)が格納されます。このシステムログは次に示す目的に使用されます。
HiRDBはシステムログファイルを次の表に示す状態に分けて管理しています。
表3-1 システムログファイルの状態
状態 | 説明 | |
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現用 | システムログの出力対象になっているファイルです。この状態のファイルは常に一つです。 | |
待機(スワップ先にできる状態) | 現時点ではシステムログの出力対象ファイルになっていませんが,次に示す場合に現用ファイルとスワップするファイルです。 ・現用ファイルの容量が一杯になった場合 ・現用ファイルに障害が発生した場合 ・pdlogswapコマンドを入力した場合 この状態は次に示す条件をすべて満たしている必要があります。 |
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上書きできる状態 | ファイル中にシステムの全面回復に必要なシステムログ(有効保証世代数分のシンクポイントダンプに対応するシステムログ)を含んでいない状態です。 | |
アンロード済み状態 | 取得したシステムログをアンロードログファイルにアンロードした後の状態です。 | |
抽出完了状態(HiRDB Datareplicator) | 抽出側HiRDB Datareplicatorがシステムログファイル中のシステムログを完全に読み出した状態です。HiRDB Datareplicatorを使用する場合にこの状態になります。なお,HiRDBではシンクポイントダンプを取得するときに抽出状態を確認しています。つまり,抽出側HiRDB Datareplicatorがシステムログを完全に読み出した後に発生するシンクポイント時点で抽出完了状態になります。 | |
オンライン再編成上書き可能状態(HiRDB Staticizer Option) | システムログファイル中に追い付き反映処理に必要なシステムログを含んでいない状態です。更新可能なオンライン再編成をする場合にこの状態になります。 | |
待機(スワップ先にできない状態) | この状態のファイルはシステムログの出力対象になりません(現用ファイルになりません)。現用ファイルがスワップした後の状態です。この状態は次に示す条件のどれかを満たしている必要があります。 | |
上書きできない状態 | ファイル中にシステムの全面回復に必要なシステムログ(有効保証世代数分のシンクポイントダンプに対応するシステムログ)を含んでいる状態です。 | |
アンロード待ち状態 | 取得したシステムログをアンロードログファイルにアンロードしていない状態です。 | |
抽出未完了状態(HiRDB Datareplicator) | 抽出側HiRDB Datareplicatorがシステムログファイル中のシステムログを完全に読み出していない(残りがある)状態です。HiRDB Datareplicatorを使用する場合にこの状態になります。 | |
オンライン再編成上書き禁止状態(HiRDB Staticizer Option) | システムログファイル中に追い付き反映処理に必要なシステムログを含んでいる状態です。更新可能なオンライン再編成をする場合にこの状態になります。 | |
予約 | この状態のファイルはシステムログの出力対象になりません。 |
HiRDBを稼働するとシステムログが出力されます。一つのシステムログファイルの容量一杯にシステムログが出力されると,スワップ先にできる状態のファイルにシステムログの出力先が変更されます。このとき,現用ファイルはスワップ先にできない状態に,スワップ先にできる状態のファイルは現用になります。これをシステムログファイルのスワップといいます。このようにHiRDBを稼働すると,システムログファイルの状態が変わっていきます。
HiRDB管理者は,スワップ先にできる状態のファイルが常にあるようにシステムログファイルを運用してください。スワップ先にできる状態のファイルがないときにスワップ処理が発生すると,HiRDB(HiRDB/パラレルサーバの場合はユニット)が異常終了します。
なお,HiRDBではシステムログファイルの空き容量を監視する機能(システムログファイルの空き容量監視機能)を用意しています。システムログファイルの空き容量監視機能については,「3.9 システムログファイルの空き容量監視機能の運用方法」を参照してください。
HiRDBの稼働時,次に示すようにシステムログファイルの状態が変わります。なお,ここではHiRDB Staticizer Optionの更新可能なオンライン再編成を使用していないとします。したがって,システムログファイルの状態にオンライン再編成上書き可能状態及びオンライン再編成上書き禁止状態はでてきません。更新可能なオンライン再編成中のシステムログファイルの状態については,マニュアル「インナレプリカ機能 HiRDB Staticizer Option Version 8」を参照してください。
HiRDBを正常開始すると,pdlogadfg -d sysオペランドで指定したシステムログファイルのうち,ONLと指定したファイルがすべてオープンされます。オープンされたファイルのうち,最初に指定したファイルが現用となります。そのほかはスワップ先にできる状態になります。オープン処理に失敗したファイル,及びONLと指定しなかったファイルは予約の状態になります。なお,HiRDBを再開始した場合は前回稼働時の現用ファイルが引き継がれます。
現用ファイルが一杯になると,スワップ先にできる状態のファイルに出力先が変わります(システムログファイルがスワップします)。ファイルの状態は次のように変わります。
システムログファイルがスワップすると,HiRDBはシンクポイントダンプの有効化処理を実施します。シンクポイントダンプが有効化されると,シンクポイントダンプ有効化以前に取得されたシステムログは,HiRDBの再開始のときに不要になります。ファイルに格納されているすべてのシステムログが不要になると,そのファイルは上書きできない状態から,上書きできる状態に変わります。
なお,実行中のトランザクションがあると,そのトランザクションが終了するまで,シンクポイントダンプは有効化されません。次に示すような長時間掛かるトランザクションの実行中は,そのトランザクションが終了するまでシンクポイントダンプが有効化されないため,ほかのトランザクションとの同時実行を避けてください。
ここで説明する操作はHiRDB管理者が行います。
アンロード待ち状態のファイルに格納されているシステムログを,pdlogunldコマンドでアンロードすると,そのファイルはアンロード待ち状態からアンロード済み状態に変わります。ここでアンロードしたシステムログは,データベースを回復するときに使用されます。
アンロードレスシステムログ運用をする場合は,pdlogchg -zコマンドでシステムログファイルを解放すると,ファイルの状態がアンロード待ち状態からアンロード済み状態に変わります。
抽出側HiRDB Datareplicatorがシステムログの抽出を完了すると,ファイルの状態が抽出未完了状態から抽出完了状態に変わります。
ファイルの状態が次に示す状態になったため,スワップ先にできない状態からスワップ先にできる状態に変わります。
HiRDB管理者は,このようにスワップ先にできる状態のファイルを常に作るようにシステムログファイルを運用してください。
システムログファイルの運用方法には,次の表に示す方法があります。HiRDB管理者はどれかの運用方法を選択してください。
表3-2 システムログファイルの運用方法
運用の種類 | 運用方法 | データベースの回復方法 |
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システムログをアンロードする運用※ |
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アンロードレスシステムログ運用 |
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アンロード状態のチェックを解除する運用 |
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システムログファイルに障害が発生したときの対処方法については,「19.6 システムログファイルに障害が発生したときの対処方法」を参照してください。
なお,システムログファイルの障害対策で,よくある質問をQ&Aにまとめました。システムログファイルのQ&Aについては,「付録A.1 システムログファイルに関する質問」を参照してください。
システムログファイルを操作するコマンドを次の表に示します。HiRDB管理者は,これらのコマンドを使用してシステムログファイルを操作します。
表3-3 システムログファイルを操作するコマンド
コマンド名 | 説明 |
---|---|
pdloginit | システムログファイルを初期設定します。 |
pdlogls | システムログファイルの情報を表示します。 |
pdlogunld |
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pdlogchg | システムログファイルの状態を強制的に,次に示す状態にします。
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pdlogswap | システムログファイルをスワップさせます。現用ファイルをスワップ先にできない状態にします。 |
pdlogopen | クローズ状態のシステムログファイルをオープンします。 予約ファイルを上書きできる状態にします。 |
pdlogcls | オープン状態のシステムログファイルをクローズします。 上書きできる状態のファイルを予約にします。 |
pdlogrm | システムログファイルを削除します。 |
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