スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム運用ガイド(UNIX(R)用)

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2.1 機密保護とは

データベースを外部の人にアクセスされないように,HiRDBでは機密保護機能を用意しています。機密保護機能ではユーザ権限という概念を使用していて,必要な権限を持っていないとデータベースにアクセスできないようになっています。

<この節の構成>
(1) ユーザ権限の種類
(2) 改竄防止表との関係
(3) 監査証跡表との関係

(1) ユーザ権限の種類

ユーザ権限の種類を次の表に示します。

表2-1 ユーザ権限の種類

ユーザ権限の種類 説明 この権限を持っているとできること 権限付与者
H D
DBA権限 DBA権限,CONNECT権限,及びスキーマ定義権限を与えたり,取り消したりするのに必要な権限です。
  • ほかの人にDBA権限,CONNECT権限,及びスキーマ定義権限を与えられます。
  • 与えたDBA権限,CONNECT権限,及びスキーマ定義権限を取り消せます。
  • ほかの人のスキーマを定義できます。
    スキーマを定義すると,スキーマ所有者は実表,ビュー表,インデクス,抽象データ型,外部表※2,外部インデクス※2,ストアドプロシジャ※4,ストアドファンクション※4,及びトリガを定義できるようになります。
  • ほかの人のスキーマ,実表,ビュー表,インデクス,抽象データ型,外部表※2,外部インデクス※2,ストアドプロシジャ※4,ストアドファンクション※4,及びトリガを削除できます。
  • ユーザマッピングの定義ができます。※2
  • 外部サーバの定義,変更ができます。※2
  • CONNECT関連セキュリティ機能に関する項目を定義できます。
  • HiRDBに接続できます(CONNECT権限を持っています※1)。
×
監査権限 監査人に必要な権限です。セキュリティ監査機能を使用する場合に監査権限を設定します。セキュリティ監査機能については,「23.セキュリティ監査機能の運用」を参照してください。
監査権限を持つユーザは次に示す権限を持っています。
  • CONNECT権限※1
  • スキーマ定義権限

  • 監査証跡表へのアクセス※3
  • 監査証跡表へのデータロード
  • 監査証跡表のSELECT権限の付与及び削除
  • 監査証跡表の削除
  • 監査人のパスワード変更
  • 監査対象イベントの定義及び削除
× ×
CONNECT権限 HiRDBを利用するために必要な権限です。CONNECT権限を持たないユーザがHiRDBを利用しようとするとエラーになります。 データベースに接続(CONNECT)できるようになります。 × ×
スキーマ定義権限 スキーマを定義するために必要な権限です。
  • 自分のスキーマを定義できます。
    スキーマを定義すると,スキーマ所有者は実表,ビュー表,インデクス,抽象データ型,外部表※2,外部インデクス※2,ストアドプロシジャ※4,ストアドファンクション※4,及びトリガを定義できるようになります。
  • 自分のスキーマ,実表,ビュー表,インデクス,抽象データ型,外部表※2,外部インデクス※2,ストアドプロシジャ※4,ストアドファンクション※4,及びトリガを削除できます。
× ×
RDエリア利用権限 私用RDエリアを利用するために必要な権限です。
公用RDエリアに表又はインデクスを作成する場合は,RDエリア利用権限は不要です。
私用RDエリアに表及びインデクスを作成できます。 ×
アクセス権限 表(実表,ビュー表,及び外部表)をアクセスするために必要な権限です。アクセス権限は表単位に設定し,次に示す4種類があります。 ほかの人の表をアクセスできます。 × ×
SELECT権限 表の検索(SELECT)ができます。 × ×
INSERT権限 表に行データを追加(INSERT)できます。 × ×
DELETE権限 表の行データを削除(DELETE)できます。 × ×
UPDATE権限 表の行データを更新(UPDATE)できます。 × ×

(凡例)
H:HiRDB管理者
D:DBA権限保持者
ス:スキーマ所有者
○:権限を与えられます。
×:権限を与えられません。

注※1
ディレクトリサーバ連携機能を使用する場合は,CONNECT権限を持っていません。ディレクトリサーバ連携機能については,「25.ディレクトリサーバ連携機能の運用」を参照してください。

注※2
HiRDB External Data Access機能使用時にできる操作です。HiRDB External Data Access機能については,マニュアル「HiRDB External Data Access Version 8」を参照してください。

注※3
監査証跡表へのデータの追加及び変更(INSERT及びUPDATE)はできません。

注※4
パブリックプロシジャ及びパブリックファンクションも定義,削除できます。

(2) 改竄防止表との関係

表のアクセス権限以外にも,表に対するセキュリティ機能の一つに改竄防止機能があります。表を定義するときに改竄防止オプション(INSERT ONLY)を指定すると,その表は改竄防止表になります。改竄防止表の目的と特徴を次に示します。

目的
  • 人為的なミスによるデータの削除又は更新を防げます。
  • 不正なデータ更新又は削除からデータを守ることができます。

特徴
  • UPDATE権限がある場合でも表を更新できません。また,表の所有者も表を更新できません。
  • DELETE権限がある場合でも,行削除禁止期間を過ぎていないデータは削除できません。表の所有者も削除できません。
  • INSERT権限があれば行を挿入できます。
  • SELECT権限があれば表を検索できます。

改竄防止機能については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド」を参照してください。

(3) 監査証跡表との関係

HiRDBのリソースにアクセスするイベントが発生したとき,セキュリティに関してチェックした内容を監査証跡として監査証跡表に登録する機能(セキュリティ監査機能)をHiRDBではサポートしています。監査証跡表には,だれが,いつ,どのリソースにアクセスし,セキュリティ上のチェックが成功又は失敗したかが記録されるため,不正なアクセスなどを監査するときの資料として利用できます。

また,監査証跡表を不正に改竄できないように監査証跡表を操作できるユーザが次の表に示すように制限されています。

表2-2 監査証跡表を操作できるユーザ

監査証跡表に対する操作 操作できるユーザ
データを参照(SELECT)する
  • 監査人
  • 監査証跡表にSELECT権限があるユーザ
データを削除(DELETE及びPURGE)する 監査人
データを追加又は変更(INSERT又はUPDATE)する なし

セキュリティ監査機能については,「23.セキュリティ監査機能の運用」を参照してください。