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OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 TP1/Server Base Enterprise Option 使用の手引


7.2.2 TP1/Server Baseのシステムサービス定義の内容

TP1/EEを使用する場合,以降の表に示すTP1/Server Baseのシステムサービス定義を定義する必要があります。TP1/Server Baseのシステムサービス定義の詳細については,マニュアル「OpenTP1 システム定義」を参照してください。

TP1/EEを使用する場合のTP1/Server Baseのシステムサービス定義には,指定値が固定のオペランド,任意の値を指定するオペランド,および指定を省略できるオペランドがあります。

〈この項の構成〉

(1) TP1/Server Baseのシステム共通定義の内容

TP1/EEを使用する場合のTP1/Server Baseのシステム共通定義の内容を,次の表に示します。表中のオペランドには,指定値に示す値を必ず入力してください。表中にないシステム共通定義のオペランドには,TP1/EEを含めたTP1/Server Baseの環境を考慮した値を任意に指定してください。

表7‒4 システム共通定義の内容

形式

オペランド/環境変数

定義内容

指定値

putenv

LANG

環境変数LANG

6.3.6(4) 出力するメッセージログの言語種別の設定」を参照してください。

(2) TP1/Server Baseのネームサービス定義の内容

TP1/EEを使用する場合のTP1/Server Baseのネームサービス定義の内容を,次の表に示します。表中のオペランドには,指定値に示す値を必ず入力してください。指定値の範囲内で,TP1/EEを実行するための最適値を任意に指定できます。表中にないネームサービス定義のオペランドは,TP1/EEには影響しないので,指定する必要はありません。

表7‒5 ネームサービス定義の内容

形式

オペランド/環境変数

定義内容

指定値

set

name_total_size

サービス情報領域の大きさ

〈符号なし整数〉((1〜32767))(単位:キロバイト)※1

name_cache_size

サービス情報キャッシュ領域の大きさ

〈符号なし整数〉((1〜32767))(単位:キロバイト)※2

max_socket_descriptors

ソケット用ファイル記述子の最大数

〈符号なし整数〉((32〜2032))※3

注※1

name_total_sizeオペランドには,システムサービス,TP1/EEを含むTP1/Server Baseの各ユーザサーバなどのサービス情報数を基に算出した値を指定してください。TP1/EEがネームサービス機能を使用する場合(TP1/EEのRPC関連定義のname_useオペランドにYを指定),通常のユーザサーバのサービス情報数に1を加算した値をTP1/EEのサービス情報数として計算してください。

注※2

TP1/EEがネームサービス機能を使用する場合(TP1/EEのRPC関連定義のname_useオペランドにYを指定),name_cache_sizeオペランドには,TP1/EEを含む自ノードから検索する,他ノードのサービス情報数を基に算出した値を指定してください。

注※3

TP1/EEがネームサービス機能を使用する場合(TP1/EEのRPC関連定義のname_useオペランドにYを指定),max_socket_descriptorsオペランドには,自ノードのTP1/EEの数を加算してください。

自ノードのユーザサーバ(TP1/EEを含む)と,他ノードのTP1/EEとの間でトランザクショナルRPCを行う場合,接続する他ノードのTP1/EEの数を加算してください。

(3) TP1/Server Baseのログサービス定義の内容

TP1/EEを使用する場合のTP1/Server Baseのログサービス定義の内容を,次の表に示します。表中のオペランドには,指定値に示す値を必ず入力してください。表中にないログサービス定義のオペランドには,TP1/EEを含めたTP1/Server Baseの環境を考慮した値を任意に指定してください。

表7‒6 ログサービス定義の内容

形式

オペランド/環境変数

定義内容

指定値

putenv

TZ

タイムゾーン

JST-9

(4) TP1/Server Baseのユーザサービス定義の内容

TP1/EEを使用する場合のTP1/Server Baseのユーザサービス定義の内容を,次の表に示します。表中のオペランドには,指定値に示す値を必ず入力してください。指定値に範囲があるオペランドは,範囲内でTP1/EEを実行するための最適値を任意に指定できます。表中にないユーザサービス定義のオペランドは,TP1/EEには影響しないので,指定する必要はありません。

なお,TP1/Server Baseのユーザサービス定義のうち,指定値が固定のオペランドおよび任意の値を指定するオペランドについては,サンプルファイルが/インストールディレクトリ/examples/tp1ee/conf/sbusrsmpディレクトリ下に提供されています。サンプルファイルは,TP1/Server Baseのバージョンが06-01以降の場合に使用できますので,必要に応じてご利用ください。

表7‒7 ユーザサービス定義の内容

形式

オペランド/環境変数

定義内容

指定値

set

service_group

サービスグループ名

〈1〜31文字の識別子〉※1

module

このサービスグループを実行する実行形式プログラム名

〈1〜14文字の識別子〉※2

service

このサービスグループに属するサービス名とそのサービスを提供するエントリポインタ名の組み合わせ

tp1_Enterprise_Option_service=tp1ee

nice

プロセスの優先順位の変更

〈符号なし整数〉((0〜39))

parallel_count

常駐プロセス数と最大プロセス数

1

hold

UAPが異常終了した場合にサービスグループまたはサービスを閉塞するかどうかを指定

N

hold_recovery

サービスグループまたはサービスの閉塞状態をプロセスの回復時に引き継ぐかどうかを指定

N

message_buflen

最大メッセージ長

1024(単位:バイト)

message_store_buflen

メッセージ格納プール長

1024(単位:バイト)

trn_expiration_time

トランザクションブランチの限界経過時間

0(単位:秒)

trn_expiration_time_suspend

トランザクションブランチの時間監視の範囲

N

watch_next_chain_time

連鎖RPC間隔監視時間

0(単位:秒)

atomic_update

サービスをトランザクションとして実行するかどうかを指定

N

receive_from

スケジュールキュー,またはUNIXドメインもしくはインターネットドメインを使用するかどうかを指定

queue

uap_trace_max

UAPトレース格納最大数

0

term_watch_time

連続異常終了限界経過時間

1(単位:分)

mcf_jnl_buff_size

MCFのジャーナルバッファの大きさ

4096(単位:バイト)

type

このサービスグループの種別

other

critical

UAPが異常終了した場合のシステムの処置

Y|N

trn_cpu_time

トランザクションブランチが同期点処理までに使用できるCPU時間

0(単位:秒)

service_hold

サービス単位に閉塞管理するかどうかを指定

N

service_priority_control

サービス要求単位の優先順位に従ってスケジュールするかどうかを指定

N

trf_put

トランザクションが出力したジャーナルをトランザクションリカバリジャーナルファイルへ出力するかどうかを指定

N

trn_statistics_item

トランザクションブランチの統計情報項目

nothing

node_down_restart

ユーザサーバを自動起動するかどうかを指定

Y|N

rpc_response_statistics

レスポンス統計情報を取得するかどうかを指定

N

cancel_normal_terminate

dcsvstopコマンドによる正常終了を抑止するかどうかを指定

N

prc_abort_signal

サーバのアボート用シグナル番号

3

max_socket_descriptors

ソケット用ファイル記述子の最大数

〈符号なし整数〉128以上

max_open_fds

UAPプロセスでアクセスするファイルおよびパイプの最大数

〈符号なし整数〉128以上※3

service_term_watch_time

連続サービス異常終了限界経過時間

0(単位:分)

xat_osi_usr

OSI TP通信用のスタブを使用するかどうかを指定

N

watch_time

RPCの応答に対する最大待ち時間

180(単位:秒)

rpc_trace

RPCトレースを取得するかどうかを指定

N

schedule_method

ユーザサーバのスケジューリング方式

msgque

mcf_spp_oj

SPPでのOJの履歴情報を取得するかどうかを指定

N

adm_message_option

メッセージ出力指定

〈1けたの16進数〉

trn_watch_time

トランザクション同期点処理時の最大通信待ち時間

120(単位:秒)

trn_limit_time

トランザクションブランチ最大実行可能時間

0(単位:秒)

trn_rollback_response_receive

ロールバック完了通知を受信するかどうかを指定

N

trn_partial_recovery_type

UAP障害時のトランザクション同期点処理方式

type1

rpc_destination_mode

サービスの送信先を決定する方法

definition

rpc_rap_auto_connect

UAPとリモートAPI制御プロセスの間のコネクションを自動的に管理するかどうかを指定

N

rpc_rap_inquire_time

リモートAPI機能を使用して要求するサービスの問い合わせ間隔最大時間

0(単位:秒)

rpc_request_cancel_for_timedout

クライアントUAPの応答待ち時間をサーバに意識させるかどうかを指定

N

status_change_when_terming

次回再開始時に最終的な状態の変化を反映するかどうかを指定

Y

service_expiration_time

サービス関数開始から終了までの実行監視時間

0(単位:秒)

multi_schedule

マルチスケジューラ機能を使用してスケジューリングするかどうかを指定

N

make_queue_on_starting

非常駐のサービスグループに割り当てるスケジュールキューをサーバ起動時に割り当てるかどうかを指定

N

polling_control_data

一時クローズ処理要求の到着を検査するかどうかを指定

N

groups

サービスグループのグループアクセスリストを設定

〈符号なし整数〉((0〜4294967294))

loadlevel_message

負荷レベル通知メッセージを出力するかどうかを指定

N

ipc_backlog_count

コネクション確立要求を格納するキューの長さ

0

schedule_delay_abort

スケジュール遅延時にシステムダウンするかどうかを指定

N

rap_autoconnect_con_error_msg

APIの代理実行要求時,rapサーバとのコネクションが切断されていた場合に,エラーメッセージを出力するかどうかを指定

N

putenv

任意

環境変数名 環境変数値

〈文字列〉

EEDEFFILE

TP1/EEサービス定義ファイル名

〈文字列〉※4

EETHDUNALIGN

アドレス境界不正検出時の動作を指定(Linux版限定)

《N》|O※5

PDSWAITTIME

トランザクション処理中のサーバの最大待ち時間

〈符号なし整数〉((0〜65535))(単位:秒)

PDSWATCHTIME

トランザクション処理以外のサーバの最大待ち時間

〈符号なし整数〉((0〜65535))(単位:秒)

PDXAMODE

トランザクションの移行機能

0

EEPARM1※6

TP1/EEデバッグ用のパラメタ

〈8けたの符号なし整数〉

dcputenv

任意

環境変数名 環境変数値

〈文字列〉

EEDEFFILE

TP1/EEサービス定義ファイル名

〈文字列〉※4

EETHDUNALIGN

アドレス境界不正検出時の動作を指定(Linux版限定)

《N》|O※5

PDSWAITTIME

トランザクション処理中のサーバの最大待ち時間

〈符号なし整数〉((0〜65535))(単位:秒)

PDSWATCHTIME

トランザクション処理以外のサーバの最大待ち時間

〈符号なし整数〉((0〜65535))(単位:秒)

PDXAMODE

トランザクションの移行機能

0

注※1

service_groupオペランドに指定するサービスグループ名は,ネットワークで接続されるすべてのOpenTP1システムの中で一意になるように指定してください。TP1/EEのプロセス関連定義のservice_groupオペランドの指定値と同じサービスグループ名は指定しないでください。

注※2

moduleオペランドには,このサービスグループを実行するUAP(TP1/EE)の実行形式ファイル名を指定します。この実行形式ファイルは,TP1/Server Baseのプロセスサービス定義のprcsvpath定義コマンドで指定したディレクトリにあります。

注※3

max_open_fds設定値が次の計算式の値より大きくなるように設定してください。満たさなければファイルディスクリプタ数の関係でTP1/EEの起動ができなくなる場合があります。

(MCPのUDPスレッドグループ数(MCP構成定義eemcpthdgrp定義数)×2)
+(MCPのTCP(server)のユニークアドレス数(MCP構成定義での
   サーバ型コネクション(MCP構成定義eemcpcn -yのmodeオペランドで
   serverを指定)であるeemcpcn定義の-rオプションに指定した
   IPアドレスまたはホスト名とポート番号の組み合わせ数
   (受信スレッド数))×3)+(mysvgdef定義数)
+XTCのUDP数(XTCサービス定義myudpsnddefオペランドの
   -pオプションに指定したポート番号数またはXTCサービス定義
   myudpsnddefオペランドの-pオプション指定値
+XTCサービス定義myudprcvdefオペランドの-pオプションに指定した
   ポート番号数)+30

設定可能なmax_open_fds定義の上限値に関しては,OpenTP1のマニュアルおよび関連ドキュメントを参照してください。

注※4

環境変数名にEEDEFFILEを,環境変数の値にTP1/EEサービス定義ファイル名を指定してください。EEDEFFILEで指定したTP1/EEサービス定義ファイル名と,DCCONFPATHまたはDCUAPCONFPATHで指定したTP1/EEサービス定義ファイルの絶対パス名との文字列の合計が,1023文字以下になるように,TP1/EEサービス定義ファイル名を指定してください。

注※5

Nを指定すると,アドレス境界不正検出時のsyslogメッセージ出力を抑止します。

Oを指定すると,OSの指定値で動作します。OSのデフォルト値では,アドレス境界不正検出時のsyslogメッセージを出力し,処理を続行します。

注※6

環境変数名にEEPARM1を指定し,環境変数の値に次の値を指定します。複数の指定値を有効にする場合は,符号なし整数の和で指定します。

  • 00000001:処理スレッド単位での,COBOL用メモリ管理機能の使用状況メッセージの表示

    処理スレッド単位でCOBOL用メモリ管理機能を使用する(TP1/EEサービス定義のmemory_cobol_area_thd_sizeオペランドの指定あり)場合,システム終了時にKFSB85102-Iメッセージで最も大きなプールを使用した処理スレッドのプール利用率を表示します。memory_cobol_area_thd_sizeオペランドの指定がない場合は,指定を無視します。

  • 00000002:UAP履歴情報取得機能のテストモードの使用

  • 00000004:SDBハンドラ機能のDML実行失敗メッセージの表示

    SDBハンドラ機能を使用する(SDBハンドラ関連定義のsdh_useオペランドにYを指定)場合に,SDBハンドラ機能の関数の延長で構造型データベースに要求したDMLが失敗すると,KFSB54304-Eメッセージを表示します。sdh_useオペランドの指定がない場合,およびsdh_useオペランドにNを指定した場合は,指定を無視します。

指定値00000002,および00000004の詳細については,TP1/FSPの関連ドキュメントを参照してください。