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OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 TP1/Server Base Enterprise Option 使用の手引


4.1.1 TP1EEファイルシステムとTP1EEファイル

OSが入出力するディスクは連続領域ごとに分割され,それぞれの領域をパーティションと呼びます。それぞれのパーティションを,OSが提供するファイルシステムまたはTP1EEファイルシステムに使用できます。

TP1EEファイルシステムは,OSが提供するファイルシステムとは独立した,TP1/EE専用のファイルシステムです。キャラクタ型スペシャルファイル,ブロック型スペシャルファイル,または通常ファイル上にTP1EEファイルシステムを作成します。TP1/EEシステムの信頼性に関係する重要な情報を格納するファイルは,TP1EEファイルシステム上に作成します。TP1EEファイルシステム上に作成するファイルを,TP1EEファイルといいます。

TP1EEファイルを次の表に示します。

表4‒1 TP1EEファイルの一覧

ファイル名

ファイルの使用方法

ステータスファイル

システムサービスの稼働状態やシステム制御情報を格納して,障害が起こったときにTP1/EEを回復するときに使います。

TP1EEファイルシステムとOSが提供するファイルシステムの関係を図4-1に示します。また,TP1EEファイルシステムとOSが提供するファイルシステムとの違いを表4-2に,TP1EEファイルシステムを作成するファイルの選択方法を図4-2に示します。

図4‒1 TP1EEファイルシステムとOSが提供するファイルシステムの関係

[図データ]

表4‒2 TP1EEファイルシステムとOSが提供するファイルシステムとの違い

比較項目

TP1EEファイルシステム

OSが提供するファイルシステム

キャラクタ型スペシャルファイルまたはブロック型スペシャルファイル上

通常ファイル上

信頼性

TP1/EEが異常終了したとき直前に正常終了した書き込み要求で指定したデータ

書き込まれている

不定

ファイル領域の連続性

TP1EEファイルシステム作成時に連続領域を確保

TP1EEファイルシステム作成時にファイル領域を確保するが,連続領域である保証はない

TP1EEファイルシステム作成時にファイル領域を確保するが,連続領域である保証はない

性能

ディスク領域の使用効率

TP1EEファイル中のレコードが書き込まれていない領域も,そのファイルのために確保済みのため,ほかのファイルに割り当てることはできない

ファイルのサイズが大きくなるときに1ブロックずつ確保するため,TP1EEファイルと比べて使用効率が良い

読み込みの実行時間(関数がリターンするまでの時間)

OSが提供するファイルシステムより遅い

バッファ上でヒットするとディスクから読まないので速い

書き込みの実行時間(関数がリターンするまでの時間)

OSが提供するファイルシステムより遅い

キャラクタ型スペシャルファイルまたはブロック型スペシャルファイル上のTP1EEファイルシステムより遅い

遅延書き込みのため速い

アクセス時間のばらつき

均等

ばらつきあり

ばらつきあり

運用

ファイル容量の見積もり

ファイルの作成時に容量を指定する必要がある

ファイルの容量を指定する必要はない

ファイル容量の動的増分

増分できない

増分できる

ディレクトリによるファイルの分類

できない

できる

図4‒2 TP1EEファイルシステムを作成するファイルの選択方法

[図データ]