4.5.5 実行環境の構築
OpenTP1管理者でセットアップを実施するホストにログインし,Windowsの[スタート]メニューから,[プログラム]−[uCosminexus Grid Processing Server - Manager]−[セットアップ]を選択して[セットアップ]ダイアログボックスを表示します。[セットアップ]ダイアログボックスの[セットアップ種別]で[新規構築]を選択し,設定項目を入力して[OK]ボタンをクリックすることで,実行環境を構築します。実行環境の構築では,本項で説明する定義ファイル生成と環境構築をします。[セットアップ]ダイアログボックスの詳細については,7章の「[セットアップ]ダイアログボックス」を参照してください。
- 〈この項の構成〉
(1) 環境を構築する際に指定する項目
[新規構築]でセットアップを実施する際に指定する内容を次の表に示します。
設定項目 |
内容 |
指定 |
---|---|---|
ホスト種別 |
ホストの種別として,次のどれかを指定します。
|
必須 |
ジョブの実行規模 |
同時に実行するグリッドジョブとサブジョブの規模に応じて,次のどれかを指定します。
|
必須 |
uGPSディレクトリ |
uGPSが使う各種ファイル,またはディレクトリを格納するディレクトリを指定します。指定を省略した場合,「%ALLUSERSPROFILE%\HITACHI\ugpsm」が仮定されます。 |
任意 |
自ホスト名 |
セットアップするホストのホスト名を指定します。クラスタ構成で使用するホストの場合,論理ホスト名を指定します。指定を省略した場合,hostnameコマンドで取得できる名称が仮定されます。 |
任意 |
通信するすべてのホスト名 |
通信するすべてのホスト名を指定します。ホスト種別によって次のように指定します。
|
|
ノード識別子 |
ノード(ホスト)を識別する識別子を指定します。システム内でユニークとなる識別子を指定する必要があります。 |
必須 |
ノードマネージャSPPのサービスグループ名 |
ノードマネージャSPPのサービスグループ名を指定します。システム内でユニークとなる名称を指定する必要があります。ホストの種別で「実行ノード」または「兼用ホスト」を選択した場合だけ設定できます。設定できるときに指定を省略した場合,hostnameコマンドで取得できる名称が仮定されます。 |
任意 |
(2) 定義ファイル生成
[セットアップ]ダイアログボックスの[新規構築]では,uGPSがモデルとして保持する各規模の定義ファイルを基に,各種の定義ファイルを生成します。[新規構築]によって生成される定義ファイルを次の表に示します。
定義項目 |
名称 |
出力先ディレクトリ |
所有者/パーミッション |
内容 |
ホスト |
|
---|---|---|---|---|---|---|
管理ホスト |
実行ノード |
|||||
設定ファイル |
ugpsm.conf |
<uGPS - Managerのインストール先ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
設定ファイル |
○ |
○ |
システム環境定義 |
env |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
サーバ定義 |
○ |
○ |
システムサービス構成定義 |
sysconf |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
サーバ定義 |
○ |
○ |
ユーザサービス構成定義 |
usrconf |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
サーバ定義 |
○ |
○ |
システム共通定義 |
betranrc |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
サーバ定義 |
○ |
○ |
タイマサービス定義 |
tim |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
サーバ定義 |
○ |
○ |
ネームサービス定義 |
nam |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
サーバ定義 |
○ |
○ |
プロセスサービス定義 |
prc |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
サーバ定義 |
○ |
○ |
スケジュールサービス定義 |
scd |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
サーバ定義 |
○ |
○ |
トランザクションサービス定義 |
trn |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
サーバ定義 |
○ |
○ |
ステータスサービス定義 |
sts |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
サーバ定義 |
○ |
○ |
ジャーナルサービス定義 |
jnl |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
サーバ定義 |
○ |
○ |
システムジャーナルサービス定義 |
sysjnl |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
サーバ定義 |
○ |
○ |
チェックポイントダンプサービス定義 |
cdtrn |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
サーバ定義 |
○ |
○ |
ログサービス定義 |
log |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
サーバ定義 |
○ |
○ |
性能検証用トレース定義 |
prf |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
サーバ定義 |
○ |
○ |
ジョブマネージャSPP定義 |
UGPSMjbm |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
ジョブマネージャSPPの定義 |
○ |
− |
UGPSMjbmee |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
ジョブマネージャSPPの定義 |
○ |
− |
|
ノードマネージャSPP定義 |
UGPSMndm |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
ノードマネージャSPPの定義 |
− |
○ |
データマネージャSPP定義 |
UGPSMdtm |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
データマネージャSPPの定義 |
○ |
− |
データマネージャGW定義 |
UGPSMdtg |
<OpenTP1ディレクトリ>\conf |
Administrators/親フォルダの属性を継承 |
データマネージャGWの定義 |
− |
○ |
環境を構築する際に指定する項目と,生成される定義ファイル中のパラメータやオペランドの指定値との関係を次の表に示します。環境を構築する際に指定する項目は「表4-9 [新規構築]で環境を構築するときに指定する内容」を参照してください。
定義ファイル |
パラメータ/オペランド |
設定される値 |
---|---|---|
設定ファイル(ugpsm.conf) |
LOG_DIR |
<uGPSディレクトリ>\log |
SPOOL_DIR |
<uGPSディレクトリ>\spool |
|
TRACE_DIR |
<uGPSディレクトリ>\trace |
|
JM_THREAD_NUM |
|
|
NM_PROC_NUM |
|
|
DM_HOST |
|
|
CLT_TRC_PATH |
<uGPSディレクトリ>\dclog |
|
DISTRIBUTE_DIR |
<uGPSディレクトリ>\divdata |
|
SORT_TMPDIR |
<uGPSディレクトリ>\tmp |
|
ユーザサービス構成定義(usrconf) |
dcsvstart(-uオプション) |
|
システム共通定義(betranrc) |
node_id |
GP<ノード識別子> |
my_host |
<自ホスト名> |
|
all_node |
<通信するすべてのホスト名> |
|
ジョブマネージャSPPのユーザサービス定義(UGPSMjbm) |
UGPSM_DIR |
<uGPSディレクトリ> |
ジョブマネージャSPPのユーザサービス定義(UGPSMjbmee) |
node_id |
JM<ノード識別子> |
service(同時実行グリッドジョブ数) |
|
|
mysvgdef(-hオプション) |
<自ホスト名> |
|
myreplydef(-hオプション) |
<自ホスト名> |
|
ノードマネージャSPPのユーザサービス定義(UGPSMndm) |
service_group |
<ノードマネージャSPPのサービスグループ名> |
parallel_count |
|
|
UGPSM_TOTALSUBJOB |
|
|
UGPSM_DIR |
<uGPSディレクトリ> |
|
データマネージャSPPのユーザサービス定義(UGPSMdtm) |
UGPSM_DIR |
<uGPSディレクトリ> |
(3) 環境構築
[セットアップ]ダイアログボックスの[新規構築]では,生成した定義ファイルを基に,環境構築をします。
環境構築では,まず,各マネージャでSPPとして動作するモジュールを「<OpenTP1ディレクトリ>\aplib」下に配置します。配置するモジュールは「表3-2 各マネージャでSPPとして動作するモジュール」を参照してください。
次に,サーバ実行環境(OpenTP1の実行環境)を作成します。ここでは,生成した定義ファイルの「<OpenTP1ディレクトリ>\conf」下への配置や,サーバ実行環境に必要なモジュールやステータスファイルなどの「<OpenTP1ディレクトリ>」下への配置や作成をします。
そして,uGPSディレクトリなどの各種ディレクトリを作成します。作成するディレクトリを次の表に示します。環境構築時にすでにディレクトリが存在する場合は,所有者やパーミッションはそのままで,再作成はしません。
ディレクトリ |
ファイルまたはディレクトリ名 |
所有者/パーミッション |
ホスト |
|
---|---|---|---|---|
管理ホスト |
実行ノード |
|||
uGPSディレクトリ |
[セットアップ]ダイアログボックスで指定した内容 |
Administrators/OpenTP1管理者およびAdministratorsにフルコントロール許可 |
○ |
○ |
メッセージログ用ディレクトリ |
設定ファイル(ugpsm.conf)のLOG_DIRパラメータに指定した内容 |
Administrators/Everyoneにフルコントロール許可 |
○ |
○ |
トレース用ディレクトリ |
設定ファイル(ugpsm.conf)のTRACE_DIRパラメータに指定した内容 |
Administrators/Everyoneにフルコントロール許可 |
○ |
○ |
スプール用ディレクトリ |
設定ファイル(ugpsm.conf)のSPOOL_DIRパラメータに指定した内容 |
Administrators/Everyoneにフルコントロール許可 |
− |
○ |
クライアント用ログディレクトリ |
設定ファイル(ugpsm.conf)のCLT_TRC_PATHパラメータに指定した内容 |
Administrators/Everyone にフルコントロール許可 |
○ |
○ |
分割ファイル格納ディレクトリ |
設定ファイル(ugpsm.conf)のDISTRIBUTE_DIRパラメータに指定した内容 |
Administrators/Everyoneにフルコントロール許可 |
○ |
− |
ファイル分割用一時ファイル格納ディレクトリ |
設定ファイル(ugpsm.conf)のSORT_TMPDIRパラメータに指定した内容 |
Administrators/Everyoneにフルコントロール許可 |
○ |
− |
グリッドプロパティ格納用ディレクトリ |
データマネージャSPPのユーザサービス定義(UGPSMdtm)のUGPSM_DIR環境変数に指定した内容 |
Administrators/OpenTP1管理者およびAdministratorsにフルコントロール許可 |
○ |
− |
ジョブマネージャステータスファイル格納用ディレクトリ |
ジョブマネージャSPPのユーザサービス定義(UGPSMjbm)のUGPSM_DIR環境変数に指定した内容 |
Administrators/OpenTP1管理者およびAdministratorsにフルコントロール許可 |
○ |
− |
ノードマネージャステータスファイル格納用ディレクトリ |
ノードマネージャSPPのユーザサービス定義(UGPSMndm)のUGPSM_DIR環境変数に指定した内容 |
Administrators/OpenTP1管理者およびAdministratorsにフルコントロール許可 |
− |
○ |
(4) 注意事項
-
ノードマネージャSPPを複数面化する場合の注意
ノードマネージャSPPを複数面化する場合は,複数面化するノードマネージャSPPの定義ファイル(UGPSMndm)を手作業で複製して作成してください。このとき,複製した定義ファイル名(ユーザサーバ名)は,ディレクトリ内でユニークな名称としてください。また,定義ファイル内のservice_groupオペランド(サービスグループ名)は,システム内でユニークな名称に変更してください。
-
実行環境の構築を実施する前に,必ずセットアップを実施するホストのシステムサーバとジョブマネージャデーモンおよびノードマネージャデーモンを停止してください。
-
[セットアップ]ダイアログボックスの[新規構築]で生成する定義ファイルは,次に示すすべての条件を満たしたシステムで使用する必要があります。条件を満たさないシステムで使用した場合の動作は保障できません。なお,条件中の小規模,中規模,大規模とは,[ジョブの実行規模]で選択した規模のことです。
-
システムを構成するホスト数は,管理ホストおよび実行ノードに合わせて最大20台としてください。ただし,クラスタ構成とするホストの場合,実行系だけ(1台)をこのホスト数に含めてください。
-
次の2つの条件式を満たすように多重度を設定してください。
条件式1:同時実行グリッドジョブ数≦規模ごとの上限値(小規模=4,中規模=8,大規模=16)
条件式2:フォーマット識別子によって条件が異なります。
フォーマット識別子が0101以前または0201の場合:
同時実行グリッドジョブ数≦ノード内総同時実行サブジョブ数(UGPSM_TOTALSUBJOB)の指定値(指定できる上限値:小規模=16,中規模=32,大規模=64)
フォーマット識別子が0102または0202の場合:
同時実行グリッドジョブ数×業務プログラム同時実行数(UGPSM_DEFMAXSUBJOB)≦ノード内総同時実行サブジョブ数(UGPSM_TOTALSUBJOB)の指定値(指定できる上限値:小規模=16,中規模=32,大規模=64)
-
ノードマネージャSPPの複数面化は,実行ノードあたり4面までとしてください。ただし,複数面化する場合は,必ず次の条件式を満たすように多重度を設定してください。
条件式:実行ノード内のノード内総同時実行サブジョブ数(UGPSM_TOTALSUBJOB)の総和≦実行ノード内の最大同時実行サブジョブ数(NODE_MAX_SUBJOB)の規模ごとの上限値(小規模=16,中規模=32,大規模=64)
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実行ノード共有機能を適用する場合,システムを構成する管理ホストは4台までとしてください。ただし,機能を適用する場合は,必ず次の条件式を満たすように多重度を設定してください。
条件式:システムを構成する各管理ホストの同時実行グリッドジョブ数の総和≦規模ごとの上限値(小規模=4,中規模=8,大規模=16)
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-
次のどちらかの方法で,定義ファイル内の新規構築時に作成されるディレクトリのパス名をデフォルト値(%ALLUSERSPROFILE%\HITACHI\ugpsm)から変更した場合,ジョブ実行時またはコマンド実行時にアクセス許可不足によりエラーが発生することがあります。
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[セットアップ]ダイアログボックスの[新規構築]を行う際にuGPSディレクトリにデフォルト値以外のパス名を指定する。
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定義ファイル内の新規環境構築時に作成されるディレクトリのパス名を,ジョブを実行するユーザまたはコマンドを実行するユーザに対するアクセス権のないディレクトリを含むパス名に変更し,[セットアップ]ダイアログボックスの[ディレクトリ変更の反映]を実行する。
該当する場合は,定義ファイル内の新規環境構築時に作成されるディレクトリのパス名に含まれるすべてのディレクトリに対して,Administratorsグループ,OpenTP1管理者,ジョブを実行するユーザ,コマンドを実行するユーザのアクセス許可がフルコントロールになっているか確認し,フルコントロールになっていなければ設定をしてください。
新規環境構築時に作成されるディレクトリについては,「表4-12 [新規構築]で作成されるディレクトリと設定内容」を参照してください。
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