Hitachi

uCosminexus Batch Job Execution Server 使用の手引


5.3.2 JP1/FTPを使った印刷データ転送

スプールジョブ転送サービスは,JP1/FTPを使用してバッチジョブの実行結果である印刷データ(SYSOUTデータファイル)をプリントサーバに転送する。ここでは,印刷データの転送方法について説明する。

〈この項の構成〉

(1) バッチジョブ実行システムの設定

バッチジョブ実行システムでの設定について次に示す。

(a) 設定ファイル(bjex.conf)

出力クラスごとの転送先についての情報を設定する。

設定ファイルの設定例を次に示す。

<SysoutClass クラス名>
 :
 JP1FTPCARD 伝送カード名
 FTPCNTL スプールジョブ管理ファイル転送先ディレクトリ名
 FTPDATA SYSOUTデータファイル転送先ディレクトリ名
 :
</SysoutClass>

設定ファイルの指定例を次に示す。

<SysoutClass A>
 :
 JP1FTPCARD cardA
 FTPCNTL A/CNTL
 FTPDATA A/DATA
 :
</SysoutClass>

(b) ジョブ定義XMLファイル

DD要素のSYSOUT属性で,出力クラスを設定する。ジョブ定義XMLファイルの設定例を次に示す。

 :
<DD NAME="SYSPRINT" TYPE="SYSOUT" SYSOUT="A" />
 :

(2) JP1/FTPの設定

転送ホスト,ログインユーザ名などのFTP転送に関するパラメータは,設定ファイルの出力クラスで指定する伝送カード名で定義する。

伝送カードの詳細については,JP1のマニュアルを参照のこと。

バッチジョブ実行システムで使用する伝送カードに設定する内容について次の表に示す。

表5‒3 バッチジョブ実行システムで使用する伝送カード設定項目

設定パラメータ

ユーザ指定

設定時の注意事項

カード名

クラスに対応するカード名を使用する。

接続先ホスト名

接続先ポート番号

ログインユーザ名

ログインパスワード

送受信種別

※1

SENDを指定する。

転送時に設定を上書きして使用する。

伝送モード

※1

BINARYを指定する。

転送時に設定を上書きして使用する。

圧縮モード

サイズ確認

CHECKを指定することを推奨する。

単/複伝送

※1

転送時に設定を上書きして使用する。

ローカルファイル名

※1

カードにはダミーで登録する(必須パラメータのため)。

転送時に上書きして使用する。

リモートファイル名

※1

カードにはダミーで登録する(必須パラメータのため)。

転送時に上書きして使用する。

正常時に起動するプログラム名

×

異常時に起動するプログラム名

×

FTPコマンド

×

コメント

(凡例)

○:バッチジョブ実行システムを使用するための必須パラメータである。

△:任意に指定できるパラメータである。

×:指定できないパラメータ※2である。

−:注意事項なし。

注※1

スプールジョブ転送サービスが指定を上書きするため,カードの登録時はダミーでよい。

注※2

指定されてもバッチジョブ実行システムではエラーとしない。なお,この項目を指定した場合は,PDEサーバ上でファイルアクセスの競合が発生し,PDEの動作に悪影響を与えるおそれがあるので注意が必要である。

JP1/FTPの設定例を次に示す。

ftsregc -N -TC cardA -TH prtserv -TP 20125 -TU prtuser -TW prtpasswd -TY BINARY 
-TL dummy -TR dummy -TT SEND
**伝送カード情報**
伝送カード名:cardA
相手ホスト名:prtserv
ポート番号:20125
ログインユーザ名:prtuser
パスワード:********
送受信種別:送信(上書き)
伝送モード:BINARY
圧縮モード:非圧縮
サイズチェック:なし
単/複伝送:自動切り替え
ローカルファイル名:dummy
リモートファイル名:dummy
終了プロシジャ名(正常):
終了プロシジャ名(異常):
コマンド:コメント:

(3) Prinfina MANAGER SPおよびPDEの設定

Prinfina MANAGER SPおよびPDEの設定について次に示す。

(a) バッチジョブ実行システムとPrinfina MANAGER SPおよびPDEとの連携

バッチジョブ実行システムから出力クラス情報に従った転送先にスプールジョブ管理ファイルとSYSOUTデータファイルを転送する。

Prinfina MANAGER SPおよびPDEは,スプールジョブ管理ファイルの受信を監視することで,印刷ジョブの受信を完了したと判断し,印刷処理を開始する。また,Prinfina MANAGER SPおよびPDEの監視ディレクトリの設定で,バッチジョブ実行システムの設定ファイルのFTPCNTLで指定したスプールジョブ管理ファイル転送先ディレクトリを設定しておく必要がある。

(b) 転送のための準備

バッチジョブ実行システムからSYSOUTデータファイルを転送するために,Prinfina MANAGER SPおよびPDEでは次に示す準備が必要である。

詳細については,マニュアル「PRINT DATA EXCHANGE for Open」,「PRINT DATA EXCHANGE - Form Designer」,またはPrinfina MANAGER SPおよびPDEのドキュメントを参照のこと。

  • ディレクトリの作成

    バッチジョブ実行システムの設定ファイル(bjex.conf)の出力クラスごとに指定する,スプールジョブ管理ファイルとSYSOUTデータファイルの転送先ディレクトリをそれぞれ作成する。

  • ディレクトリアクセス権の設定

    転送で使用するJP1/FTPには,転送先のユーザ(JP1/FTPで定義するユーザ)のホームディレクトリ以下にだけ転送可能とするオプションがある。このオプション指定時には,転送先ディレクトリについてPrinfina MANAGER SP,またはPDEの監視サービスから参照可能になっている必要がある。

  • プリンタ制御情報の準備

    PDE-Form Designerを使用してプリンタ制御情報を作成する。なお,PRINT DATA EXCHANGE - Form DesignerはWindowsで動作する。

    PCでの制御イメージ作成の作業を次に示す。

    • 書式を作成および修正して書式オーバレイイメージを生成

    • FCBイメージを作成および修正

    • デフォルト機能キャラクタイメージを作成および修正

    • プリントサーバへ転送

(4) 注意事項

スプールジョブ転送サービスは,FTP転送処理中にエラーが発生した場合,エラー要因が取り除かれるまで,設定ファイルのパラメータJP1FTP_RETRY_INTERVALおよびJP1FTP_RETRY_TIMESで指定した待ち時間の間隔と回数でリトライを繰り返す。このとき,スプールジョブ転送サービスは次のエラーメッセージをリトライするたびに出力する。

メッセージ

出力先

KAKC3004-E

実行ログ,JP1/IM - View

KAKC3123-E

実行ログ

上記のメッセージが出力された場合は,メッセージの出力情報からエラー要因を取り除くこと。ただし,リソース不足や論理矛盾など回復困難なエラーの場合は,スプールジョブ転送サービスを再起動したあとで,次のどちらかを実施すること。

詳細は「6.6 JP1/FTPを使った印刷データ転送での障害対応」を参照すること。