分散トランザクション処理機能 TP1/Connector for .NET Framework 使用の手引

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1.9.1 WCF連携機能の機能概要

WCFでは,クライアントとサービスとの間でどのように通信するかをBindingとしてアプリケーション構成ファイルに定義することで,クライアントとサービス間の通信方式を決定します。WCF連携機能では,OpenTP1にサービスを要求できるように,WCFのBindingとしてTP1IntegrationBindingを提供します。

BindingにTP1IntegrationBindingを設定することで,WCFクライアントからOpenTP1上のSPPおよびSPP.NETにサービスを要求できます。ただし,サービスを要求できるSPP.NETは,.NETインタフェース定義を使用していないSPP.NETだけです。

なお,WCF連携機能はWCFクライアントからOpenTP1にサービスを要求するための機能であり,WCFサービスの開発はできません。そのため,WCFを利用する際に必要なサービスコントラクトおよびそのプロキシクラスは,Connector .NETのTP1IntegrationBindingであらかじめ提供しています。

WCF連携機能の概要を次の図に示します。

図1-39 WCF連携機能の概要

[図データ]

<この項の構成>
(1) 前提条件
(2) 使用できるプログラム言語
(3) WCF連携機能で使用できるConnector .NETの機能

(1) 前提条件

(a) 適用OS

WCF連携機能は,次に示すOSで使用できます。

(b) 前提ソフトウェア

WCF連携機能を使用する場合,次に示すソフトウェアのどちらかが必要です。

(2) 使用できるプログラム言語

WCF連携機能を使用してUAPを開発する場合,次のプログラム言語が使用できます。

(3) WCF連携機能で使用できるConnector .NETの機能

WCF連携機能を使用してサービスを要求する場合,Connector .NETの機能で使用できる機能と使用できない機能があります。

(a) 使用できるConnector .NETの機能

WCF連携機能を使用する場合,Connector .NETの機能はConnector .NET構成定義に定義することで使用できます。

WCF連携機能で使用できるConnector .NETの機能と構成定義での定義を次の表に示します。

表1-16 WCF連携機能で使用できるConnector .NETの機能と構成定義での定義

Connector .NETの機能 使用可否 構成定義での定義
リモートプロシジャコール(RPC) <client>要素
トランザクション制御機能(ローカルトランザクション) ×
トランザクション制御機能(分散トランザクション) <distributedTransaction>要素
TCP/IP通信機能 ×
コネクションプーリング機能 <connection>要素
バッファプーリング機能
  • <buffer>要素
  • <largestBufferPool>要素
  • <bufferPool>要素
TSP自動生成機能 ×
リソース監視機能
  • <perfCounter>要素
  • <buffer>要素のthreshold属性
  • <largestBufferPool>のthreshold属性
  • <bufferPool>要素のthreshold属性
接続障害軽減機能 <connection>要素のfailureInfoSharing属性およびfailureCheckInterval属性
(凡例)
○:使用できます。
×:使用できません。
−:該当しません。

(b) サービスを要求できるサーバUAPの種類

WCF連携機能を使用してサービスを要求できるサーバUAPの種類を次の表に示します。

表1-17 サービスを要求できるサーバUAPの種類

サーバUAPの種類 使用可否
SPP
SPP.NET(.NETインタフェース定義を使用した場合) ×
SPP.NET(.NETインタフェース定義を使用しない場合)
MHP ×
(凡例)
○:使用できます。
×:使用できません。

(c) サービスを要求する際のRPC形態と種類

WCF連携機能を使用してサービスを要求する際のRPCの形態と種類を次の表に示します。

表1-18 サービスを要求する際のRPCの形態と種類

分類 RPCの形態と種類 使用可否
RPCの形態 同期応答型RPC ※1
非同期応答型RPC ×
非応答型RPC ×
連鎖RPC ×
RPCの種類※2 リモートAPI機能を使用したRPC
ネームサービスを使用したRPC
スケジューラダイレクト機能を使用したRPC
(凡例)
○:使用できます。
×:使用できません。
注※1
プロキシクラスのメソッド(Call)を利用してサービスを要求します。
注※2
RPCの種類は,Client .NET構成定義に定義することで自由に選択できます。