COBOL2002 使用の手引 操作編

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7.2.1 コマンドによる方法

端末からコマンドを入力して,カバレージ情報を蓄積します。

カバレージ情報については,「6.2.1 カバレージ情報」を参照してください。

<この項の構成>
(1) カバレージ情報の蓄積の手順
(2) cblcv2kコマンド
(3) 環境変数の指定

(1) カバレージ情報の蓄積の手順

バッチモードでカバレージ情報を蓄積するときの作業の流れを説明します。

  1. コンパイル時にはコンパイラオプションを指定する。
    -CVInfコンパイラオプションを必ず指定してください。
  2. カバレージ情報の蓄積およびカバレージ情報の蓄積対象プログラムの実行に必要な環境変数を設定する。
    プログラムの実行に必要な環境変数と,カバレージに必要な環境変数を指定します。カバレージに必要な環境変数については,「7.2.1 コマンドによる方法」の「(3) 環境変数の指定」を参照してください。プログラムの実行に必要な環境変数については,マニュアル「COBOL2002 使用の手引 手引編」を参照してください。
  3. cblcv2kコマンドを指定して,実行する。
    cblcv2kコマンドについては,「7.2.1 コマンドによる方法」の「(2) cblcv2kコマンド」を参照してください。
  4. 実行結果を端末に出力されるメッセージで確認する。カバレージ情報の蓄積結果は,カバレージ情報の表示機能を用いて確認する。
    カバレージ情報の表示機能については,「6.2 カバレージ情報の表示と操作」を参照してください。

(2) cblcv2kコマンド

cblcv2kコマンドの形式を次に示します。

形式1
[図データ]

形式2
[図データ]
-NoSave
プログラム情報ファイルへ書き込みをする前にバックアップをしません。
-Library
カバレージ情報を蓄積するプログラムがある共用ライブラリ名を指定します。
-Execute
カバレージ情報を蓄積するプログラムがある実行可能ファイル名を指定します。
プログラムへ渡す引数
カバレージ情報を蓄積するプログラムへ渡す引数を指定します。
-Help
cblcv2kコマンドの構文を表示します。-Helpオプションを指定すると,ほかの引数はすべて無視されます。

注意事項
  • -NoSaveオプションの指定がないときは,プログラム情報ファイルへ書き込みを行う前にバックアップのファイルを生成します。バックアップのファイルは,プログラム情報ファイルへの書き込みでエラーが発生したときに残り,正常に終了したときは残りません。バックアップのファイル名は,システムが生成する,ほかに合致しない名称のファイルであり,カレントディレクトリに生成します。
  • -Libraryオプションは,複数のファイル名を指定できます。
  • -Executeオプションは,必ず最後に指定します。-Executeオプション以外のオプションの指定順序は任意です。
  • 実行可能ファイル名のあとにある文字列は,すべてプログラムへ渡す引数とみなします。
  • 起動後のカレントディレクトリは,cblcv2kコマンドを実行したディレクトリです。
  • cblcv2kコマンドのメッセージは標準エラー出力へ出力します。
  • cblcv2kコマンド名は,英小文字で指定します。
  • cblcv2kコマンド名だけを指定した場合は,cblcv2kコマンドの構文を表示します。
  • オプションは,英大文字,英小文字のどちらでも指定できます。オプションの始まりは,ハイフン(-)とします。
  • オプションの区切り記号は空白文字およびタブです。空白文字およびタブを区切り記号としたくないときは,オプションをダブルコーテーション(")で囲みます。
  • 同じオプションを複数指定した場合は,最後に指定したオプションを有効とします。
  • オプションにパスの付かないファイル名を指定したときは,カレントディレクトリのファイルとします。相対パスの付いたファイル名を指定したときは,カレントディレクトリを起点とする相対パスのディレクトリにあるファイルとします。
  • オプションに複数のファイル名を指定するときは,コンマ(,)または空白で区切ります。また,アスタリスク(*)をファイル名の一部に指定することによって,(*)以外の文字が一致するすべてのファイルを指定できます。
  • cblcv2kコマンドが返す終了コードは,次のとおりです。
    終了コード 内容
    0 正常終了
    1 エラー発生による終了
    2 キー操作による割り込みによる終了
  • -Helpオプションによるコマンドの構文は,標準出力へ出力します。それ以外のメッセージは,標準エラー出力へ出力します。
  • 次に示すどれかに該当する場合,単独で実行したユーザプログラムが異常終了すると,「セグメンテーション違反です」などのメッセージがシステムから表示されます。カバレージからユーザプログラムを起動すると,システムからのこのメッセージは表示されません。
    ・HP-UX(IPF) 01-02以降,AIX(32) 01-02以降,Linux(x86),Solaris(SPARC),UNIX64の場合で実行時環境変数CBLEXCEPTにNOSIGNALを指定した場合
    ・次に示すコンパイラオプションのどれか一つも指定しないでコンパイルしたプログラムの場合
     -DebugInf,-DebugInf,Trace,-DebugCompati,-DebugData,-TDInf,-CVInf,-DebugRangeコンパイラオプション
    ・COBOLが例外(スタックオーバーフローなど)を検出できない場合

(3) 環境変数の指定

カバレージ情報の蓄積に必要な環境変数を指定します。

表7-1 環境変数一覧(カバレージ情報の蓄積)

環境変数名 概要
CBLPIDIR プログラム情報ファイルがあるディレクトリ名を指定する。
CBLLSLIB 共用ライブラリファイルのファイル名を指定する。
CBLLPATH※1 共用ライブラリファイルがあるディレクトリ名を指定する。
LD_LIBRARY_PATH※2 共用ライブラリファイルがあるディレクトリ名を指定する。

注※1
HP-UX(IPF),HP-UX(IPF64),AIX(32),およびAIX(64)で有効

注※2
Linux(x86),Linux(x64),Linux(IPF64),およびSolaris(SPARC)で有効

プログラムの実行に関するその他の環境変数は,マニュアル「COBOL2002 使用の手引 手引編」を参照してください。

注意事項

  1. カバレージ情報の蓄積のプログラム情報ファイルを次に示す検索順序で検索します。検索した結果,見つからないときは,プログラム情報ファイルに該当するプログラムはカバレージ情報の蓄積およびカウント情報表示の対象となりません。
    検索順序
    (1)環境変数CBLPIDIRで指定したディレクトリ
    (2)実行可能ファイルに含まれるプログラムは,実行可能ファイルのあるディレクトリ
     共用ライブラリファイルに含まれるプログラムは,共用ライブラリファイルのあるディレクトリ
    (3)カレントディレクトリ
  2. プログラムが-CVInfコンパイラオプションでコンパイルされていない場合,カバレージ情報の蓄積の対象となりません。
  3. カバレージ情報の蓄積の対象となるプログラム情報ファイルが一つもない場合は,カバレージ情報の蓄積のためのプログラムを実行しません。
  4. 環境変数CBLLSLIB,環境変数CBLLPATH,および環境変数LD_LIBRARY_PATHについては,「6.4.2 共用ライブラリ」を参照してください。