トランザクショナル分散オブジェクト基盤 TPBroker Object Transaction Monitor ユーザーズガイド

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2.2.4 マルチノードリトライ接続の接続対象

マルチノードリトライ接続の対象となるための条件は,接続方式がファイル検索方式なのか,API優先方式なのかによって異なります。マルチノードリトライ接続では,条件を満たす接続対象のTSCノードに対して接続および再接続を実行します。なお,マルチノードリトライ接続の接続方式は,クライアントアプリケーションの開始時に-TSCRetryWayオプションで指定します。

ここでは,接続の対象となるための条件を接続方式ごとに示します。さらに,接続方式を指定する方法を示します。

<この項の構成>
(1) ファイル検索方式の場合の接続対象
(2) API優先方式の場合の接続対象
(3) マルチノードリトライ接続の接続方式を指定する方法

(1) ファイル検索方式の場合の接続対象

ファイル検索方式は,-TSCRetryWayオプションの指定値が"0000"または"0001"の場合,または-TSCRetryWayオプションの指定を省略して"0000"が仮定された場合に採用される接続方式です。この場合は,次に示すすべての条件を満たす接続先情報ファイル中のTSCノードが接続対象となります。

ファイル検索方式の場合の接続対象を次の表に示します。

表2-6 ファイル検索方式の場合の接続対象

TSCDomainコンストラクタの引数 接続対象
TSCドメイン名称 TSC識別子
NULL NULLまたは指定なし 接続経路が等しいすべてのTSCノード
NULL NULL以外 TSC識別子および接続経路が等しいすべてのTSCノード
NULL以外 NULLまたは指定なし TSCドメイン名称および接続経路が等しいすべてのTSCノード
NULL以外 NULL以外 TSCドメイン名称,TSC識別子,および接続経路が等しいすべてのTSCノード

注※
接続先情報ファイルに設定される,クライアントアプリケーションとTSCデーモン間の接続経路です。TSCデーモンに直結する方法と,TSCレギュレータを経由してTSCデーモンに接続する方法の2種類があります。

(2) API優先方式の場合の接続対象

API優先方式は,-TSCRetryWayオプションの指定値が"0010"または"0011"の場合に採用される接続方式です。

この場合,最初の接続にはTPBrokerのスマートエージェントを使用します。このときの接続対象は,TSCAdmクラスのgetTSCClient()メソッドに指定したTSCノードです。最初の接続での接続対象を表2-7に示します。

以降の接続では,接続先情報ファイル中のTSCAdmクラスのgetTSCClient()メソッドに指定した接続経路を持つTSCノードが接続対象となります。getTSCClient()メソッドに指定がない場合は,-TSCRequestWayオプションの指定値に従います。

表2-7 API優先方式の場合の最初の接続対象

TSCDomainコンストラクタの引数 接続対象
TSCドメイン名称 TSC識別子
NULL 指定なし -TSCDomainオプションに指定したTSCドメイン名称を持つ任意のTSCノード
NULL NULL -TSCDomainオプションに指定したTSCドメイン名称,および-TSCIDオプションに指定したTSC識別子を持つTSCノード
NULL NULL以外 -TSCDomainオプションに指定したTSCドメイン名称,およびTSCDomainコンストラクタに指定したTSC識別子を持つTSCノード
NULL以外 指定なし TSCDomainコンストラクタに指定したTSCドメイン名称を持つ任意のTSCノード
NULL以外 NULL TSCDomainコンストラクタに指定したTSCドメイン名称,および-TSCIDオプションに指定したTSC識別子を持つTSCノード
NULL以外 NULL以外 TSCDomainコンストラクタに指定したTSCドメイン名称,およびTSC識別子を持つTSCノード

注※
TSCノードへの接続経路は,TSCAdmクラスのgetTSCClient()メソッドの指定に従います。getTSCClient()メソッドに指定がない場合は,-TSCRequestWayオプションの指定に従います。

(3) マルチノードリトライ接続の接続方式を指定する方法

マルチノードリトライ接続の接続方式を指定するには,クライアントアプリケーションの開始時に-TSCRetryWayオプションで,4けたの符号なし整数を指定します。-TSCRetryWayオプションは,必ず-TSCRetryReferenceオプションと同時に指定しなければなりません。

接続方式の指定方法を次の表に示します。

表2-8 マルチノードリトライ接続での接続方式の指定方法

クライアントアプリケーションの開始時の指定オプション マルチノードリトライ接続の有効性 マルチノードリトライ順序 マルチノードリトライ方式
なし 無効
-TSCRetryWay 00xx 無効
-TSCRetryReference filename 有効 順次方式 ファイル検索方式
-TSCRetryReference filename
-TSCRetryWay 0000
有効 順次方式 ファイル検索方式
-TSCRetryReference filename
-TSCRetryWay 0001
有効 ランダム方式 ファイル検索方式
-TSCRetryReference filename
-TSCRetryWay 0010
有効 順次方式 API優先方式
-TSCRetryReference filename
-TSCRetryWay 0011
有効 ランダム方式 API優先方式

(凡例)
x :0または1
filename:接続先情報ファイルの名称
−:該当しません。