Groupmax Object Server Version 6 システム管理者ガイド
- <この項の構成>
- (1) ステータスファイルの目的
- (2) ステータスファイルの構成
- (3) ステータスファイルの状態
- (4) ステータスファイルの作成と定義
- (5) ステータスファイルの操作
- (6) ステータスファイルのコマンド
ステータスファイルはシステムの稼働状態や構成状態を格納して,システムに障害が発生した場合の回復に使用します。ステータスファイルには,前回の終了形態を判断して自動的に再開始するためのデータが格納されます。
High-end Object Serverを開始するために引き継ぐ情報を,システムステータス情報といいます。システムステータス情報は,サーバの開始時や終了時及びファイルのオープンやクローズなど,状態が変化した時点で格納されます。システムステータス情報は上書きされるため,最新の情報だけが格納されます。
ステータスファイルに格納されるシステムステータス情報は,次のとおりです。
- システムの開始形態を自動的に決定するための情報
- サーバの構成情報
- 前回の終了形態
- システムの状態情報
- システムファイル状態
- その他の構成情報
ステータスファイルはOSのファイルシステム上に作成します。作成したステータスファイルをステータスサービス定義ファイルに定義します。
ステータスファイルは,障害が起こったときにHigh-end Object Serverを開始するための重要なファイルです。ステータスファイルに障害が起こった場合でもHigh-end Object Serverを開始できるように,二つのステータスファイルを組みにして二重化します。二つのステータスファイルを合わせた組みを論理ファイルといいます。また,個々のステータスファイルをそれぞれA系,B系と区別します。
ステータスファイルは,論理ファイル単位で運用します。例えば,論理ファイル名を使用して,A系及びB系のステータスファイルを同時にオープンしたりクローズしたりできます。
ステータスファイルは,ステータスサービス定義で定義します。定義する主な内容は次のとおりです。
- 論理ファイル名の指定
- 論理ファイルとステータスファイルの対応付け
ステータスファイルの構成を,図5-2に示します。
図5-2 ステータスファイルの構成
ステータスファイルは,次の状態に分けられます。
- 現用:
- 現時点でシステムステータス情報の出力対象になっている状態です。このときステータスファイルはオープンしています。
- 現用の状態のステータスファイルを現用ファイルといいます。
- 予備:
- 現用のステータスファイルが入出力障害などで使用できなくなったとき,現用のステータスファイルと切り替えるための状態です。この状態のステータスファイルはオープンしています。
- 予備の状態のステータスファイルを予備ファイルといいます。
- 予約:
- ステータスサービス定義に定義されていますが,クローズされている状態です。オープンしないと使用できません。
- 閉塞:
- 障害が発生して,クローズされている状態です。
High-end Object Serverの開始(正常開始)時には,ステータスサービス定義で定義したすべてのステータスファイルがオープンされます。
ステータスサービス定義で最初に指定したステータスファイルが現用になります。残りのステータスファイルのうち,オープンできたものは予備になります。オープンできなかったものは予約になります。ただし障害が発生してオープンできなかったものは,閉塞になります。再開始すると,前回の現用ファイルが引き継がれます。
ステータスファイルに障害が発生しないかぎり,システムステータス情報は同じファイルに格納されます。
システムステータス情報は,まずA系のステータスファイルに書き込まれ,その後,B系のファイルに書き込まれます。このため,A系ファイルに書き込み中にHigh-end Object Serverが異常終了しても,B系ファイルは元の状態を保っています。したがって,全面回復時にB系ファイルを使用して再開始できます。
(4) ステータスファイルの作成と定義
ステータスファイルは,OSのファイルシステム上に作成します。High-end Object Serverのシステム管理者は,High-end Object Serverを開始する前に,xodstsinitコマンドでステータスファイルを作成します。その後,作成したステータスファイルの名称と論理ファイルの名称を,ステータスサービス定義で定義します。
High-end Object Serverは,ステータスファイルをA系とB系の組みにして管理します。ステータスファイルは,ステータスサービス定義でA系,B系それぞれ7個まで指定できます。また,A系とB系のステータスファイル名を一組みにするため,論理ファイル名を指定します。
現用ファイル(A系又はB系)に入出力障害が起こったとき,High-end Object Serverは予備のステータスファイルにステータス情報の出力先を切り替えます。これをスワップといいます。なお,xodstsswpコマンドでもステータスファイルをスワップできます。
ステータスファイルは論理ファイルの単位でスワップします。
A系又はB系のファイルに障害が発生した場合,まず正常な系のファイルから予備のA系ファイルにシステムステータス情報を複写します。次に予備のB系ファイルに複写します。複写が終わった時点で,予備と現用を切り替えます。
ステータスファイルのスワップを,図5-3に示します。
図5-3 ステータスファイルのスワップ
障害が発生してスワップしたステータスファイルは,閉塞の状態になります。閉塞したステータスファイルは,次の手順で予備の状態にできます。
- 閉塞したステータスファイルをxodstsrmコマンドで削除します。
- xodstsinitコマンドで初期設定します。
- xodstsopnコマンドでオープンします。
また,ステータスファイル内のシステムステータス情報は,スワップするとステータスファイルの先頭から再編成されます。High-end Object Serverの開始と終了を繰り返すと,ステータスファイルにフラグメンテーションが発生することがあります。このため,High-end Object Serverは必要に応じて自動的にステータスファイルをスワップして,フラグメンテーションを解消します。
ステータスファイルの使用状況は,xodstslsコマンドで表示できます。表示内容は,論理ファイル状態,ファイル内のレコード使用率などです。
ファイルの実体が現用又は予備の状態のことを,オープンといいます。これに対して,ファイルの実体が予約又は閉塞の状態のことを,クローズといいます。
予約のステータスファイルをxodstsopnコマンドでオープンすると,予備になります。
予備のステータスファイルをxodstsclsコマンドでクローズすると,予約になります。
予約及び障害が発生して閉塞の状態になったステータスファイルは,xodstsrmコマンドで削除できます。現用と予備の状態のステータスファイルは削除できません。
ステータスファイルの状態遷移を,図5-4に示します。
図5-4 ステータスファイルの状態遷移
ステータスファイルの運用に使用できるコマンドを,表5-1に示します。
コマンド名 機 能 xodstsinit ステータスファイルの作成と初期化 xodstsopn ステータスファイルのオープン xodstscls ステータスファイルのクローズ xodstsrm ステータスファイルの削除 xodstsswp ステータスファイルのスワップ xodstsls ステータスファイルの情報表示
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